挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月10日

456/4820

逃走

《サイド:美袋翔子》

…で。

また特風会に来ちゃったわ。

仕事は一切してないのに、一日一回以上来てる気がするわね~。

出来ることならこのまま仕事をせずに帰りたいんだけど。

そうもいかないんでしょうね~。

ちょっぴり憂鬱な気分になりながら会議室に入って、
まっすぐ龍馬の机に向かってみたんだけど…。

机にたどり着く前からすでに『それ』は見えていたわ。

膨大な量の書類の束。

高さは30センチ以上あるわね。

一枚が1ミリだと計算した場合、
ざっと300枚の書類が積み重ねられているのことになるんじゃないかな?

その書類を、全部、処理しろ、っていうの?

うぁぁぁぁ…。

無理でしょ?

って言うか、冗談よね?

あまりの面倒臭さに冷や汗を流してしまうけれど。

隣にいる沙織はのほほんと笑顔を浮かべているわ。

山済みの書類を見ても、あまり気にしてないみたいね。

「あらあら、いつもより多いわね」

って、感想はそれだけなの?

いつもより多いとか、そういう問題じゃないでしょ?

もっとこう、他に言うべき言葉があるんじゃない?

「多いどころじゃなくて、こんなの終わるわけないじゃない!!」

叫んでみたけれど、なぜか沙織は笑顔を浮かべてる。

普通に終わるって信じてるみたいね。

「二人で頑張れば終わるわよ」

うああああああああああああああああああああっ!!

無~理~っ!!

面倒臭さ満載の書類の量なのよ!?

どう考えても頑張りたくない仕事だったわ。

「…はぁ…」

大きくため息を吐いてみる。

全力で落ち込んでみたけれど。

沙織は冷静な態度で時計の針と書類を見比べてから、私に振り返ったわ。

「さすがにすぐには終われそうにないから。一度家に帰ってから出直した方がいいかも知れないわね」

ん?

それってつまり。

沙織の家に行ってから、またここに来るってこと?

しんどすぎる…。

完全に残業よね?

っていうか、徹夜になるわよね?

うぁぁぁ…。

引き受けなきゃよかった。

…って!?

もしかして沙織が手伝ってくれなかったら、
これを全部、私一人でやらなきゃいけなかったの?

無理、無理、無理、無理っ!!!!

絶対に無理っっっ!!!!!!

10分と持たずに放り投げる自信があるわ。

そう考えれば沙織がいるだけまだましなのかもしれないわね。

改めて考え直して、
書類の山から視線を逸らしてみる。

出来ればもう見たくないのよ。

と言うか。

出来ることなら触りたくもないわ。

「と、とりあえず、出ない?一刻も早くっ!!!」

沙織を急かして会議室を出ることにしたわ。

『現実』を後ろに放置して、
『幻想』の幸せに逃げることにしたのよ。

別にいいでしょ?

沙織を巻き込んだ以上。

もうどう考えたって逃げられないんだから。

あとのことはあとで考えるわ。

だから今は成美ちゃんに会って、この心の疲れを癒すのよ!!!

そう心に決めた私は沙織の家に向かうことにしたのよ。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ