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THE WORLD 作者:SEASONS

4月10日

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やんわりと

《サイド:深海優奈》

『キーン…コーン…カーン…コーン…。』

一日の終わりを告げる鐘の音が図書室に鳴り響きました。

「あれ?もう6時?」

鐘の音に気付いた悠理ちゃんが時計に視線を向けていますね。

つられて私も時計に視線を向けてみました。

時刻は6時になったばかりなのですが、
もうそんな時間なんですね。

常盤先輩に勉強を教えてもらっている間に、
いつのまにか窓の外も暗くなってきていました。

そろそろ図書室をでる準備を始めないといけません。

「あっという間だったわね」

「うん。そうだね」

悠理ちゃんの言葉は私も同じ意見です。

「ふふっ」

正面に座る常盤先輩は、
笑顔を浮かべながら私達を見つめていました。

「それじゃあ、そろそろ帰りましょうか」

「「はい!」」

私と悠理ちゃんが揃って返事をすると、
常盤先輩は席を立ってから魔導書を片付け始めました。

「それじゃあ、本を返して来るから、後片付けをしておいてね」

「「はいっ!」」

悠理ちゃんと一緒に筆記用具を片付けます。

そして常盤先輩が魔導書を片付け終わる頃には時計の針が5分ほど進んでいました。

「さあ、行きましょう」

常盤先輩を先頭にして図書室を出ます。

ですが。

「あっ!」

外に出てからすぐに悠理ちゃんが声を上げました。

足を止めた悠理ちゃんはどこかを見ているようですね。

私と常盤先輩が悠理ちゃんに振り返ると、
悠理ちゃんはすでに誰かに手を振っていました。

誰がいるの?

首を傾げながら悠理ちゃんの視線を先を追ってみます。

何人かの生徒が通り過ぎていく姿が見えるのですが、
その中で少し離れた場所を歩く翔子先輩の姿が見えました。

「せんぱ~い!」

元気良く呼び掛ける悠理ちゃんの声に気付いた翔子先輩が私達の方に振り向いてくれました。

そして進行方向を変えて、私達の方へと近づいてきてくれたんです。

そのおかげで、私達の距離はすぐに縮まりました。

「3人揃って一緒って、もしかして今終わったの?」

「「はい」」

私と悠理ちゃんが頷くと、
常盤先輩が翔子先輩に話しかけました。

「翔子はどこかに向かう途中なの?」

「え?ああ、うん。一応ね。龍馬に仕事を頼まれちゃったのよ。面倒だけど引き受けちゃった以上はやらないわけにはいかないし…」

「龍馬の仕事?私でよければ手伝うわよ?何をするの?」

「う~ん。詳しい話は聞いてないけど、書類整理じゃないかな~?どれくらいの仕事があるのかは分からないから行ってみないことには判断出来ないんだけどね~」

「だったら行きましょう。私も直接見た方が早く済むと思うから」

「いいの?」

「ええ」

「じゃあ、お願いしようかな」

翔子先輩がお願いしたことで、
二人のお話は終了したようですね。

何をするのか知りませんが、
もしも私に出来ることならお手伝いしたいと思います。

「あの、私でも良ければ手伝いますけど」

私に続いて、悠理ちゃんも先輩達に話しかけました。

「私も暇だから行きますよ!」

お手伝いする気でいる私と悠理ちゃんでしたが、
今回、私達の出番はないようですね。

「う~ん。気持ちは嬉しいんだけど、これは私達の仕事だから優奈ちゃんと悠理ちゃんを巻き込むわけには行かないわ。どうせすぐに終わると思うし、二人はゆっくり晩御飯でも食べてきていいわよ」

翔子先輩にやんわりと断られてしまったんです。

私達がいることが迷惑というわけではないと思いますが、
たぶん、所属の関係でお仕事に関われないんだと思います。

色々と極秘の情報とかもあるかもしれませんので、
部外者が見てはいけないのかもしれません。

なので先輩達と一緒に行くのは諦めるしかないようでした。

「そうですか…。」

少し残念だとは思いますが仕方ありませんね。

公私混同するわけにはいかないと思います。

ですが。

何もできない私達に気を使ってくれた翔子先輩が優しく微笑んでくれました。

「もし時間があえば、私も勉強を教えてあげるわね」

常磐先輩と同じように、
翔子先輩も勉強を教えてくれるそうです。

「は、はい。ありがとうございます!」

「是非、お願いしますっ!」

悠理ちゃんと二人で翔子先輩に頭を下げると、
様子を見ていた常盤先輩がお別れの挨拶をしてくれました。

「それじゃあ、またね」

「「はいっ!」」

「二人とも気をつけて帰るのよ~」

翔子先輩も声をかけてくれたんです。

そのあとで常盤先輩と翔子先輩は校舎に向かって行きました。

「私達はどうしようか?」

「ん~。まあ、他に行くとこもないし、とりあえず食堂でいいんじゃない?」

「うん。そうだね」

「優奈は何を食べたいの?」

「えっと~、何がいいかな~?」

「ま、とりあえず行ってから考えよっか?」

「うん!」

そんなふうに話しながら、
私と悠理ちゃんは二人で食堂に向かうことにしました。
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