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THE WORLD 作者:SEASONS

4月10日

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天然

「ま、まあ、これはこれとして、もうお昼なんだけど、二人はご飯を食べに行かないの?」

「え?あら?もうそんな時間なの?」

もう、って…今頃気付いたの?

沙織は時計を確認してから愛想笑いを浮かべてる。

予想はしてたけど、本当に時間を気にしてなかったみたいね。

「ごめんね。全然気にしてなかったわ」

…でしょうね。

たぶん、そうだろうな~って思ってたから、わざわざここまで呼びに来たのよ。

まあ、沙織のそういうところも可愛いとは思うけどね。

何でもできる優等生だけど、結構天然だとも思う瞬間だったわ。

こういうのをマイペースって言うのかな?

超が付くくらいお嬢様な感じがするわね。

「それで、どうするの?」

「う~ん。そうね…。休憩も大事だし、そろそろお昼に行きましょうか」

「ああ、そうだな」

沙織の一言がきっかけになって、
書類を机の上に戻した総魔も立ち上がったわ。

「まだ全てを読み終えたわけではないが、おおよその流れは理解できたと思う。あとは時間がある時にでも考えておく」

「ありがとう。そう言って貰えるとすごく助かるわ。ここ最近、色々と行き詰まっていたところだから、何か一つでも意見が聞ければそれだけでも嬉しいわ」

総魔の協力が得られそうなことで笑顔を見せた沙織は本当に嬉しそうだったわ。

まあ、その気持ちは私もわかるけどね。

成美ちゃんの瞳は私も何とかしてあげたいって思ってるから、
沙織の気持ちはすごくよくわかるのよ。

一応、私も成美ちゃんのためにと思って色々と考えてはいるんだけど…。

総魔や沙織みたいに頭がいいわけじゃないから、
この手の研究って苦手なのよね~。

だから私としても総魔が協力してくれるのは本当に嬉しいと思うわ。

「ねえ、総魔」

「ん?なんだ?」

「もしも出来るのなら、私からもお願いしていい?」

「何の願いだ?」

「もちろん沙織の研究よ。」

本当なら私も協力したいんだけど、
医学とか技術とかそういう難しいことは私には分からないから手伝えないのよ。

でもね?

総魔なら出来そうな気がするの。

だから、お願いしたいのよ。

「今すぐじゃなくていいから、治療方法を考えてもらえないかな?」

「翔子も知り合いなのか?」

「うん。沙織の妹とは友達だと思ってる。と言うか、私にとっても妹のような存在なの。だからお願い。成美ちゃんの目を治してあげて」

総魔ならできるって信じてる。

だから頭を下げてしっかりとお願いしたの。

「お願いします」

私にはお願いすることしかできないから。

総魔のように何でも出来ちゃうわけじゃないから。

だから真面目にお願いしたわ。

そのせいかな?

私に続いて、沙織も頭を下げてた。

「難しいことだとは思うけど、私からもお願いするわ。妹のために、力を貸してください」

礼儀正しく頭を下げる沙織だけど。

「頭を下げる必要はない。これは俺にとっても挑戦する価値のある研究だからな。自分自身のために協力させてもらうつもりでいる。ただそれだけだ。だから礼も謝罪も必要ない」

総魔はお礼なんていらないって言ってくれたわ。

だから、かな。

その言葉を聞いた瞬間にね。

本当はダメかもしれないけど、我慢できずに笑っちゃったのよ。

「あはははっ。総魔らしい言葉よね~」

「ふふっ。ええ、そうね」

沙織も私と同じ気持ちみたいね。

だけど総魔は分からないみたい。

「どういう意味だ?」

どうして私達が笑ってるのかがわからなくて首をかしげてた。

でもね?

そんな総魔だから信頼できるのよ。

誰かのためになんて言わない総魔だから信じられるの。

だけど説明したとしても総魔は納得してくれないでしょうね。

だから今は…。

「さあ?自分で考えてみれば?」

あえて総魔の疑問に答えないことにしたわ。

もちろん心の中ではちゃんと感謝してるけどね。

あの日と同じように。

私や沙織を助けてくれた時と同じように。

ちゃんと感謝しているわ。

だけど総魔が望まないなら何も言わないし。

私達のために手を貸すなんて絶対に言わない総魔に余計なことは言わないわ。

だから今ここで言うべき言葉はきっとこれね。

「総魔が次にどんな奇跡を起こすのか、最後まで見届けさせてもらうわ」

これまで幾つもの魔術を完成させてきたように。

成美ちゃんの瞳を治す方法も考えてくれると信じて、総魔の今後を見守ることにしたのよ。

「だから、よろしくね」

「………。何が言いたいのかは知らないが、一度引き受けた以上は途中で放り投げるつもりはない」

うんうん。

それでいいんじゃないかな?

そんな総魔だから好きなのよ…なんて、言えないけどね。

だけどこれで上手くいけば成美ちゃんの問題も解決するし。

私としては良いことだらけなのは間違いないわ。

「結果が楽しみね~」

「ええ、そうね。」

沙織も満足そうな表情で微笑んでる。

そんな私達を見つめる総魔はまだ色々と私の発言に対して考えてるみたいだけど。

たぶんきっと、総魔にはわからないでしょうね。

まあ、それも総魔らしいってことで、それでいいんじゃないかな?

とりあえずは区切りもついたことだし。

この話はここでおしまい。

あとはこれからの話をするべきよ。

そう考えて、改めて総魔に話しかけることにしたわ。

「とりあえず総魔もお昼に行かない?」

「ああ、そうだな。食事を終えてから研究所に行く方が良いかも知れないな」

私の誘いに乗ってくれた総魔が歩き出す。

沙織は資料を保管場所に片付けてから神崎さんに歩み寄っていたわ。

「今からみんなと昼食に行ってきます」

「おお、そうかそうか。もうそんな時間か…」

沙織の言葉を聞いたことで、
今になって神崎さんもお昼に気付いたみたいね。

う~ん。

あんまりこういう場所に来ることってないけど。

研究所にこもっていると時間の流れに疎くなるのかもしれないわね。

そんなことを考えながらも、
ひとまず総魔と沙織を引き連れて研究室を出ることにしたわ。
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