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THE WORLD 作者:SEASONS

4月3日

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場違いな雰囲気

ようやくたどり着いた今回の試合場はBー3だ。

手続きを終えた後に試合場に到着してしばらくすると、
今回の対戦相手である工藤美弥子がやってきた。

「あなたが挑戦者?」

俺の番号を確認したことで美弥子は驚いた様子を見せたものの。

特に追求する気はないようで、静かに俺に視線を向けている。

番号が離れすぎているせいで敵意を感じることもないという感じだろうか?

こちらを見下しはしないが美春のような友好的な態度も感じられなかった。

おそらくは格下とも思われていないのだろう。

完全に場違いな生徒を相手に義務で応じているという雰囲気が感じられる。

そしてそれは周りを見渡してみても同じような雰囲気だ。

他の生徒達も俺に興味はないらしく、
これから始まる試合に視線を向ける者はごく小数しかいない。

翔子と、たまたま通りかかった通行人程度だ。

その様子から分かること。

どうやらここにはまだ噂が広がっていないということだ。

隣の会場を素通りした事も関係があるかもしれない。

ざっと見た限り。

どうやらこの会場までは噂が流れてきていないようで、
単なる無謀な挑戦者という扱いのようだ。

この状況はむしろ好都合かもしれないな。

周りがどう思うかに興味はないが、
お互いに手の内がわからない状況の方が相手も真剣になれるだろう。

中途半端な噂で判断されてばかりで面白くないからな。

何も知らないのなら、そのほうが都合がいい。

予備知識がない状況でどういう対応をとるのかを見るほうがより価値のある実験結果になるからな。

まずは最上位の一歩手前の実力を見せてもらおう。

上位陣の実力に期待しながらいつもと同じように黙って試合場に足を踏み入れる。

その間。

美弥子はどう話しかけるかで迷っているような複雑な表情を浮かべていたのだが、
おそらくは無理に話しかける必要はないと判断したのだろう。

結局一言も話さないまま試合場に立った。

お互いに何も話さない。

そんな二人の準備が整った事を確認したことで審判員が試合開始を宣言する。

「それでは!試合、始めっ!」

「頑張れ~!総魔~!」

試合開始の合図と共に大声で叫ぶ翔子の声援が聞こえた気がしたが、
当然のように無視してまずは圧縮魔術を展開してみる。

「エクスカリバー!!」

掛け声と共に突き出した両手から数千に及ぶ風の刃が飛び出す。

「う、うそっ!?圧縮魔術っ!?」

ただの格下と思っていたのだろう。

こちらの攻撃を見たことで美弥子の表情に驚愕の色が浮かぶ。

「ちょっ!もう、間に合わない!?」

なんとか直撃を避けようと回避の行動にでようとするものの。

上手く逃げ切れずに衝撃の余波を受けた美弥子は大きく後方へと吹き飛んだ。

「きゃぁぁぁぁっ!!」

周囲に響き渡るほどの声で悲鳴を上げながら試合場を転がっていった美弥子は、
数メートルの距離を吹き飛ばされてからぴたりと動きを止めた。

いや、正確に言うなら試合場を包み込む防御結界に遮られて強制的に止められたというべきか。

「っ…うっ…!!」

痛む体をふらつかせながらも必死に立ち上がろうとする美弥子の様子を静かに眺めながら俺は別の事を考えていた。

やはりこの程度のようだ。

予想していた通りの結果になってしまった。

詠唱時間を短縮したところで通常の速度で放たれる魔術は完璧ではなくとも回避が可能なのだ。

もしも相手の魔術が追いつけば相殺が可能である事も判明した。

もちろん圧縮して使用する魔術によって結果は様々に変わっていくだろう。

だが、どんな魔術を使用したとしてもおおよそ似たような結果になると思われる。

予想はしていたものの。

やはり圧縮魔術のみでは有効的な効果は期待出来ない。

さらに踏み込んで考えるなら自分以外にも圧縮魔術の使い手はいるはずだからな。

この程度の能力では頂点を目指せないだろう。

たった一撃。

実験のつもりで圧縮魔術を放ったのだが、
それだけで圧縮魔術の欠点を実感してしまう。

…だが…。

若干不満そうな表情を見せる俺から少し離れた場所にいる翔子は、
美弥子と同様に驚愕の表情を浮かべているようだった。
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