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THE WORLD 作者:SEASONS

4月10日

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実食

「ねえねえ、総魔」

「何だ?」

「そのお肉の炒め物と私のお魚、交換してもいい?」

「…何の為に?」

「何っていうか、興味本位?」

格安定食のお味をちょっぴり経験してみたいのよね~。

「ダメかな?」

「いや、欲しければ好きなだけ食べればいい」

「ホント?じゃあ、私のお魚の煮物をちょこっとあげるわね~」

今日の私は朝食はお魚の煮物の定食なのよ。

その定食から3分の1くらい取り分けて総魔のお皿に移してから、
何の味付けなのかさえ分からない謎のお肉の炒め物を少しもらってみる。

「それじゃあ、いただきま~す。」

まずは分けてもらったお肉の炒め物を一口味見してみる。

…って、なにこれっ!?

食べてみて更なる疑問。

何らかの調味料で炒めてあるのは分かるのに、
何味なのかが全然分からないのよ。

「これって…。何なの?」

思わず総魔に尋ねちゃったわ。

だけど…。

「さあな」

総魔もわからないみたい。

でもね?でもね?

ホントに食べても何なのかが分からないのよ。

こんな不思議な味付けは初めてだったわ。

「甘いような…辛いような…」

だけどしょっぱい気もするし、どことなく酸味もあるような…。

とにかく表現しがたい謎の味付けだったのよ。

「ま、まあ、食べれなくはないわよね…。」

正直に言って美味しくはないけれど、
だからと言ってまずいっていうほどでもなかったわ。

何て言うのかな?

可もなく不可もなく?

そんな感じ。

これならあれよ。

私でも勝てる気がするわ。

というか、これなら少々失敗しても私が作って総魔に食べさせてあげたほうが良いんじゃないかな?

そう思えるくらい独特の味付けに思えたのよ。

…だから、かな?

「そんなに美味しくないの?」

沙織も興味が出たみたい。

「少し貰ってもいい?」

「え?あ、あ~うん。」

一応、総魔に視線で訴えてみる。

沙織にあげてもいい?ってね。

交換して貰ったものだけど。

もともとは総魔の物だから確認はしようと思ったのよ。

その結果。

総魔は特に何も言わずに一度だけ頷いてくれたわ。

うん。

これで許可は得たわ。

とりあえず沙織にも一口あげることにして。

「これ使っていいわよ~」

隣にいる沙織に私のお箸を貸してあげたわ。

沙織の朝食はパンとコーヒーだからお箸がないのよ。

だからお箸を貸してあげたんだけど。

お箸を受け取った沙織は、
ものすごく丁寧な仕草でお肉の炒め物を掴んで口に運んでた。

そして…。

「………。………。………。」

ものすごく長い沈黙。

一口食べて…と言うか。

口に入れた瞬間に眉間にシワが寄ってたわ。

味わうまでもなく、沙織の中ではありえない味付けだったようね。

それでも吐き出したりせずに、
時間をかけて味見をしてからゆっくりと飲み込んでた。

「ど、どうだった?」

恐る恐る聞いてみる。

総魔は対して気にしてないようだけど、
向かい合う龍馬も興味深そうに沙織を見つめているわね。

私と龍馬の二人の視線を受けながら。

沙織はようやく感想を一言。

「炒め物を、炒め直した、炒め物ね」

う~。

あ~。

…うん。

私も同じ感想かな。

これって多分。

そういうことだと思うのよね。

味付けに失敗したとかそういう問題じゃなくて。

幾つかの料理で余った炒め物を全てまとめて炒め直した感じ?

だから味がごちゃごちゃになってて色々な味がするのよね。

それでもまずいって思わないのは一つ一つの炒め物がちゃんと作られているからよ。

だから個別に味わえば普通に近い味付けなのよ。

だけどそれを適当に掴んで、
複数同時に味わっちゃうと物凄く違和感を感じちゃうのよね…。

だったら最初から個別に炒めて小鉢に並べるとかすればいいのにって思うけど。

そこまで手間をかけてたら格安定食にはならないわよね。

普通に美味しい定食になると思うから、そこそこの手間賃を取られると思うわ。

その辺りの手抜きを考慮した上での格安設定なんでしょうね…。
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