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THE WORLD 作者:SEASONS

4月9日

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やっぱり親友

《サイド:美袋翔子》

「う~ん」

小さく唸ってみる。

…って言っても、別に不満があるわけじゃないわよ?

そうじゃなくて、単純に困ってるの。

だってずっと会わなかったのよ?

それも会えなかったんじゃなくて、会わなかったの。

私の個人的な都合で会わずにいたのよ。

だから、どうしようかな?って悩んでるだけど。

傍にいる沙織は悩む私を面白そうに眺めていたわ。

その態度はどうなの?って思わなくもないけど。

沙織に八つ当たりしても仕方ないのよね~。

う~ん。

どうしようかな~?

延々と悩み続けていると、
さすがに沙織が少し呆れた感じで話しかけてきたわ。

「そんなに心配しなくても大丈夫よ?」

あ~、うん。

まあ、ね~。

「それは分かってるんだけど、でもね~」

色々と考えちゃうのよ。

そのせいで唸り続けてるわけだけど。

私が悩んでる理由は沙織にはバレバレなんでしょうね。

何も言ってないのに的確に指摘してくれるあたり、やっぱり親友だと思うわ。

だけどね?

大丈夫って言われても気にしちゃうのよ。

だって『丸々3日間』も成美ちゃんと会ってないのよ?

魔術大会に参加する日程の都合で会えないことは何度かあったけど。

この町にいながら成美ちゃんと会わなかったことなんて、
出会ってから今日までの半年間で初めてのことなのよ?

どう接すれば良いのかが分からなくなっちゃうわ。

事情があって来れなかった訳じゃなくて、
個人的な理由で関わりを避けてしまっただけだから申し訳ない気持ちで一杯なのよ。

「何て話せば良いのかな~?」

不安になる私に、沙織は微笑みながら優しく答えてくれる。

「正直に翔子の思ったことを話せば良いのよ。きっと成美は分かってくれるから」

「う~ん。そうかな~?」

そうだといいけど、そうじゃなかったら悲しいのよね~。

それこそ成美ちゃんに泣かれでもしたら焦って慌てふためく自信があるわ。

「怒らないかな?」

「怒ったりなんてしないわよ」

「泣いたりしないかな?」

「それは翔子次第ね」

「そこを悩んでるんだけど?」

「だから言ってるでしょ?素直に話せばいいのよ」

「そういうもの?」

「ええ、そういうものよ」

「う~ん」

ひたすらうなり続けてしまうわね。

別に会いたくないわけじゃないのよ?

どちらかと聞かれたら間違いなく成美ちゃんには会いたいと思うわ。

それはもうこんなところで迷ってる場合じゃなくて、
今すぐにでも成美ちゃんに会って思いっきり抱きしめたいくらいなのよ。

成美ちゃんに会いたい!ってね。

本気で思うの。

でもね…。

そうは思うんだけど、どうすればいいのかが分からないのよね~。

怒ってはいない…と思うわ。

怒られるようなことはしてない…こともないけど。

また来るって言って来なかったわけだから、何を言われても仕方がないわよね?

だから怒られても仕方がないとは思うけれど…。

成美ちゃんが怒る姿は想像できないわ。

だけど悲しませたんじゃないかな?とは思うのよ。

そのせいで。

罪悪感にも似た気持ちが私の心の中にあるの。

…で。

巡り巡って、最初に戻って、どう話し掛けるべきなのかな~?って考えてるわけ。

それだけが私の頭の中を駆け巡っているのよ。

学園から沙織の家まで延々と唸りながら歩き続けてるんだけど。

不意に沙織が足を止めたわ。

「着いたわよ、翔子」

「えっ!?もう!?」

慌てて周囲を確認すると、気が付けば見慣れた家の前にたどり着いていたわ。

表札に記された名前は間違いなく『常盤』って書かれてるから
沙織の家に着いたのは間違いないわね。

「入るわよ」

「はう~」

遠慮なく玄関に向かう沙織が玄関の扉に手をかけようとしてる。

うぅ~。

心の準備がまだなのよ…。

なんて。

心の中で訴えてみても沙織には通じないわよね。

だけど戸惑う私に沙織は一度だけ振り返ってから優しく微笑んでくれたわ。

「大丈夫。何も心配しなくていいのよ」

私を励ましてから玄関の扉を開けた沙織はそのままお家の中へと歩みを進めて…

「ただいま」

って、声をかけてた。

その直後に、家の奥から聞きなれた声が返ってきたわ。
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