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THE WORLD 作者:SEASONS

4月9日

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能力の分析

たどり着いたここはここは特風会だ。

中を覗いてみても、他には誰もいないようだね。

会議室に集まったのは僕と沙織と里沙と百花の4人だけのようだ。

まだ昼食を食べていないけど、
すでに時刻は午後1時を過ぎている。

今日はもう昼食は抜きかな?

それはそれで構わないと思う。

一食くらいなら特に問題はないし、
今はそれほどお腹が空いてないしね。

ひとまず今は沙織を優先しようと思う。

「ここでいいかな?」

今もまだ眠り続けている沙織を休ませてあげるために、
室内のソファーに寝かせてあげたんだけど…。

「う、ん…?」

ソファーに下ろしてから5分も経たないうちに、
沙織は意識を取り戻してくれた。

「あれ?私…」

沙織の声に気づいてすぐに駆け寄ってみる。

「良かった。無事に目が覚めたようだね」

声をかけてみたことで、
沙織は静かに体を起こしてから僕に振り向いてくれた。

「龍馬?」

「ああ、そうだよ。調子はどうかな?動けそうかい?」

見た感じはいつも通りだと思うけれど、
実際にどうなのかは本人にしかわからないからね。

「どこか痛いところはないかい?」

念のために確認してみると、
沙織は笑顔を浮かべながら小さく頷いてくれた。

「え、ええ。もう大丈夫みたい。ごめんね、心配かけて」

「いや、謝ることはないよ。沙織の方が大変だっただろうからね」

謙遜けんそんではなくて実際にそうだと思うんだ。

かつての試合とは圧倒的に異なる試合結果だったからね。

前回の試合では、沙織の攻撃は彼に致命傷を与えることが出来たはずだ。

僕はその場にいなかったから見てなかったけれど、
一通りの報告は受けていたからね。

沙織の実力なら彼を追い込むことが出来るはずだったんだ。

それなのに。

今回の試合は明らかに違っていたと思う。

それこそ惨敗と呼ぶべき戦いだったんじゃないかな?

新たなルーンを手にした彼は、あっさりと沙織を制してしまった。

かつて苦戦したはずの沙織を相手にしても、
彼は圧倒的な実力差で勝ち上がってしまったんだ。

「あのルーンは何だったんだろうか?」

疑問を呟いてみると、
側に歩み寄ってきた里沙が話を聞かせてくれた。

「私達も詳しい内容は知らないけど、天城総魔はルーンの名前をスペルブレイカーって呼んでたわよ」

スペルブレイカー?

それが彼のルーンの名前のようだ。

単純に考えれば『魔術破壊』ということなんだろうけど。

それだけなのだろうか?

沙織や真哉を倒した一撃は単なる魔術の破壊とは思えない。

もっと別の何かがあるような気がするんだ。

「沙織は彼のルーンをどう思う?」

「う~ん…そうね~。」

沙織は試合を思い出しながら答えてくれた。

「私の魔術を反射…いえ、反転させたことを考えれば、単純な破壊というよりも魔術の流れそのものを操って操作したと考えたほうがいいんじゃないかしら?」

破壊のルーンではなくて、操作のためのルーン。

だとすると…。

「彼の特性である操作の能力を反映させたルーンと考えるべきかな?」

「ええ。それ以外に考えられないと思うわ」

「里沙や百花は他に何か知らないかい?」

尋ねてみたけれど、二人は揃って首を傾げている。

どうやら何も知らないようだね。

単なる推測だけど、彼は何も説明しなかった可能性が高そうだ。

だからかな?

頭を悩ませる里沙の隣で、これまで黙って話を聞いていた百花が話してくれた。

「私達も実際にこの目でルーンを確認したけれど、そもそもの前提として操作という能力自体が存在として疑わしい部分だから私達には推測のしようがないわ」

ああ、確かにね。

僕もそう思う。

百花の意見はもっともだからだ。

本来なら吸収という能力だけでも理解し難い能力なのに。

魔術や魔力を自在に操る操作という能力は、
例えこの目で確認したとしても理解出来る範囲を大きく越えていると思う。

本来なら絶対に有り得ない現象を彼は実行しているからね。

それを議論なんて出来るはずもない。

「魔術の理論も、技術も、全てが理解不能なのよ。彼の能力を推測すること自体が、すでに不可能な話だと思うわ」

百花は推測が不可能だと断言した。

まあ、その気持ちは分からなくもないけどね。

だけど理解不能だからといって何も考えなければ進展は有り得ないと思う。

だからわからなくても考えるしかないんだ。

「沙織はどう思う?」

「…そうね~」

再び尋ねてみたことで、沙織は『ある事実』を口にした。

「最後の攻撃。彼はスキル・アウトと言っていたけれど。あれこそが魔力の操作じゃないかしら?」

魔力の操作?

「それがどうかしたのかい?」

魔力を吸収したり、魔力を供給できることを考慮すれば、今更という気がしなくもないけれど…。

そこに何か別の意味があるんだろうか?

「自分自身で受けたから分かるの。彼はきっと、他人の魔力でさえも自由に操れるのよ」

なっ!?

沙織の発言は驚きに価する内容だったと思う。

それこそ現在の魔術の理論に反するからだ。

人それぞれに魔力の波動は異なっている。

だからこそ人それぞれに魔力の特色が変化するんだ。

僕達全員の魔力特性がそれぞれ異なっているように。

自分以外の魔力を扱うことは絶対にできないはずなんだ。

それは他人のルーンが扱えないという理論が実証されているから間違いないと思う。

だけど。

もしも彼が他人の魔力さえも操れるとすれば、
僕や沙織のルーンを扱うことだって出来るということになってしまうんじゃないだろうか?

「最後の一撃は彼の力ではなかったわ。私の持つ魔力の破壊。おそらくは魔力の流れを妨害して暴走させるようなそんな能力だと思うの」

魔力の暴走か。

今、思い返せば確かに彼は言っていた。

真哉を倒した最後の一撃を魔力の暴走だと言っていたはずなんだ。

「だとしたら、他人の魔力を操作出来ることに関しては疑う余地がなさそうだね」

考えれば考えるほど、理解が追いつかなくなる。

現象そのものは理解出来るけれど、理論や技術はきっかけさえも掴めないんだ。

そんな状況にいる。

「彼の力を分析する為にはもう少し情報が必要かな?」

「ええ、私もそう思うわ」

僕と沙織が話を終えたその時に…『ガチャッ』と扉が開かれた。

その音に気づいて振り返ってみると、
会議室へと入ってきたのは一人の男子生徒だった。
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