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THE WORLD 作者:SEASONS

4月9日

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猶予

「ねえ、優奈。今度作ってよ」

「え?あ、うん。いいよ」

悠理ちゃんの催促を受けて、優奈ちゃんがあっさりと引き受けてた。

…って。

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?

ちょっ、これってまずくない!?

悠理ちゃんに作るのは構わないけど、総魔には絶対に食べさせないでよね!!

わりと本気で願う私の視線の先で、二人の会話は進んでく。

「今度のお休みの日でもいい?」

「全然、問題なし!」

楽しげに語らう二人。

今の会話から察するに、優奈ちゃんの手料理披露会は次の休みってことみたいね。

…と言うことはまあ、だいぶ先になるわ。

この学園は全寮制というだけあって、曜日に関係なく毎日全ての施設が運営されているのよ。

週に一日とか休みを作っても食堂は必要だし。

図書室もいつも空いてるし。

医務室は休めないし。

購買とかの関係で校舎も自由に行き来できるし。

学園内のどこにでも行けるから休日っていうのは基本的にないのよ。

だから職員や清掃員とか係員とかも毎日必要だから、
何曜日だろうと授業は受けられるし試験も受けられるの。

そのおかげでわりと自由な生活が出来てるわけなんだけど。

それでも一応例外的に完全な休日が一日だけあるわ。

それが月末の最終日。

30日とか、31日とかよ。

この日だけは全ての施設が閉鎖されて施設の清掃や点検が行われるの。

だからさすがにこの日だけは全ての生徒が学園の外に出て
食事をしたり遊んだりすることができるのよ。

まあ、普段の日でも学園の外に出るのは自由なんだけどね。

だけど外に出なければ食事もできないっていう日はこの日だけなのよ。

で、今日が4月9日で月の前半だから、月末の休日まではまだまだ先が長いわ。

となれば、私に与えられた猶予も20日ほどあることになるのよ!

その間にお弁当を作れるようになれば、優奈ちゃんに敗北することはないはず。

おいしく作れるかどうかはわからないけど。

沙織の料理を覚えられればそうそう簡単に負けることはないはずよ!

だからなんとか月末までには覚えてみせるわ!

なんてね。

そんなことを考えている間にも二人の会話は進んでいくわね。

「楽しみにしておくわ」

「うん。待っててね。悠理ちゃん」

照れ臭そうに微笑む優奈ちゃんを見てた悠理ちゃんも微笑んでる。

こういう姿を見てると微笑ましいと思うわね。

ついさっき理事長との会話で見せた辛そうな表情を
今は微塵も感じさせないくらい楽しそうに微笑んでるのよ?

こうなると危険を冒してまで話を聞き出した甲斐はあったかもね。

そう思うんだけど…。

だからと言ってうやむやにするのもどうかと思うわ。

ちゃんと聞いたほうがいいかも知れないわよね。

でもね~。

聞かないほうが良いのかな?

聞いてあげた方が気持ちが楽になることもあるとは思うけど。

言いたくないことを無理に聞くのもどうかと思うのよね~。

どうなのかな?

どっちが正解なのかな?

よくわからないわね。

今はまだ友達と言えるほど仲がいいわけでもないし。

無理に聞き出すのは趣味じゃないわ。

だけど他人のことだからどうでもいいって言ってしまうのはどうかと思うし。

せっかく知り合いになれたのに知らないふりをするっていうのも気が引けるわよね。

色々と頭の中で色々と想像しながら、
悠理ちゃんに尋ねるかどうかを全力で考えてみる。

だけどたどり着く答えは
話を聞くことで悠理ちゃんを傷付けることになるかもしれないという部分なのよ。

そう思うとなかなか肝心の一言が言い出せなかったわ。

自分から話してくれるのを待つのもいいけど…。

悠理ちゃんだって話をするきっかけがなくて抱えているのかもしれないわよね?

だとしたら私から尋ねた方が話しやすいとは思うわ。

う~ん。

気を使うというか何と言うか。

どっちを選んでも間違っているような。

結局はどっちでもいいような。

そんなあやふやな気持ちになっちゃうのよね~。

その結果として。

結局、何も言い出せずにいると。

「悠理ちゃん。さっきの話なんだけど、何かあったの?」

私の悩みを軽く踏み越えちゃった優奈ちゃんが悠理ちゃんに尋ねてくれたわ。

さすが親友!!

話の核心にあっさりと踏み込んでいった優奈ちゃんを心の中で褒め倒しながら、
悠理ちゃんの言葉に耳を傾けてみる。

優奈ちゃんに尋ねられたことで、
一瞬だけ辛そうな表情を浮かべていた悠理ちゃんだけど。

「………。」

ホンの少しの間を置いてからようやく、何があったのかを話してくれたわ。
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