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THE WORLD 作者:SEASONS

4月9日

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スペル・デリート

《サイド:美袋翔子》

試合場で向かい合う総魔と真哉。

さすがに誰一人として、二人の審判を務めようとはしなかったわね。

まあ、どちらかが倒れるまでの試合なんだから。

審判なんて必要ないとは思うけどね。

「まあいいわ。開始の合図は私が出すわよ」

二人に話しかけつつ。

試合場の側に歩み寄ってみる。

「準備はいいわね?」

尋ねてみると。

「いつでもいい」

「さっさと始めようぜ!」

二人は迷わず返事を返してくれたわ。

だけどね~。

総魔は相変わらずだけど、真哉のやる気は何なのかしら?

一度は負けてるんだから、もっと殊勝しゅしょうな態度を見せるべきじゃない?

私はそう思うのよね。

「あんたは、はしゃぎすぎよ」

真哉にダメ出ししてから、右手を頭上にかかげてみる。

この手を振り下ろせば始まってしまうのよ。

真哉が勝てるとは到底思えないけどね。

だけど総魔が1位に立つことで、
本当の頂点を決める戦いがここから始まってしまうのよ。

今回の挑戦者は龍馬ね。

それに私と優奈ちゃんってところかしら?

まあ、私も優奈ちゃんも総魔と戦おうなんていう気はないけど、。

それでも挑戦者の一人であることに間違いないわ。

そんなことも考えながら、私は一度だけ深呼吸をしてから勢いよく右手を振り下ろしたのよ。

「試合、開始っ!!!!!」

「よっしゃああああっ!!!!」

気合い全開で飛び出す真哉。

その手には3メートルを越える長さを誇るラングリッサーが握り込まれてる。

薄い緑色の光を放つ槍なんだけど。

風属性を極限まで高めた真哉の速度特性の魔術突破が発動するのよ。

「手加減なしだ!最初から全力で行くぜっ!!」

総魔に向けて槍を向ける真哉。

緑色の光が微かに赤みを帯びていくわね。

これは、あれよ。

突撃の前兆ってやつよ。

「これが最速の一撃だ!行くぜ!必殺、ボルガノン!!」

体勢を低くして突撃の構えを見せた真哉の最速の一撃が、
摩擦抵抗によって槍全体に紅蓮の炎を発生させたわ。

炎を帯びた槍による真哉の最速の一撃が総魔に襲い掛かったのよ。

『ズドン!!』と鳴り響く重低音。

真哉の一撃は総魔の防御を突き抜けて、総魔を後方へと吹き飛ばしたわ。

「…っ!!!」

以前よりもさらに加速した一撃によって試合場の端まで吹き飛ばされた総魔は、
『ずざざざっ…』と、試合場を滑ってから結界に弾かれて動きを止めてた。

うわ~。

痛そう…。

ふらつきながら立ち上がる総魔の腹部が、
かなり深くまで斬られているのが見えたからよ。

溢れ出る流血は本物で、どう考えても演技には見えないわ。

これはつまり。

今の真哉の一撃によって、
総魔に攻撃が通じることが証明されたということよ。

「何でもかんでも跳ね返すってわけじゃねえみてえだな?」

笑顔を浮かべる真哉に。

「魔術の操作には2秒ほどの時間が必要だからな。北条の速度に追いつけないことは事実だ」

総魔は隠すことなく答えてた。

「はっ!随分と素直な言葉じゃねえか。降参でもするつもりか?」

「いや。その必要はない」

あっさりと否定した総魔は腹部の傷を治療してからルーンを真哉に向けて構え直してる。

「反撃は諦めよう。だが、俺自身の力に時間は必要ない」

ルーンを構えたままで、真哉に警告したのよ。

「全力で逃げろ」

「あぁ?」

首を傾げる真哉に対して、総魔はルーンの能力を発動させたようね。

「スペル・デリート!!」

沙織の時とは違う魔術よ。

また私の知らない力を解放した瞬間に、
小さな星のきらめきが試合場全域を埋め尽くしたわ。

なにこれ?

「なんだっ!?」

戸惑う真哉が焦りを見せてる。

試合場の外にいる私には分からないけれど。

何かが真哉を襲っているようね。

「ちっ!?」

真哉が動揺を見せた直後に、ラングリッサーが消失したのよ。

「なっ!?ラングリッサーが!?」

慌ててルーンを発動させようとする真哉だけど。

どれだけ願ってもルーンは発動しないようね。

「どういうことだっ!?」

総魔に視線を向ける真哉だけど。

総魔は何も答えないままゆっくりと真哉に歩み寄ってる。

「ちっ!!ならっ!エクスカリバー!!!」

苦し紛れの魔術だけど、真哉の魔術は発動しなかったわ。

「くそっ!発動しないだとっ!?」

慌てる真哉の側に総魔が接近してく。

そして、ルーンを真哉に向けたのよ。

「俺の結界の支配下において、いかなる魔力も稼働しない。それが俺の力だ。もちろん、俺自身を除いてだがな」

「なっ!?」

驚愕に染まる真哉の表情。

これはもう勝負が決まったわね。

「全力で逃げろと言ったはずだ」

警告の意味を説明してから、総魔は淡々と真哉を斬ったわ。

「ぐ、はぁ、っ!?」

重傷を負って倒れる真哉。

その直後に。

「ぐああああああああああああっ!!!」

沙織と同じように真哉の体も突然、鮮血にまみれたのよ。

「魔力の暴走。その被害は残存する魔力が大きければ大きいほど破壊力を増す」

倒れた真哉に説明してから。

総魔はルーンを解除してた。

同時に消え去る星のきらめき。

総魔の足元には意識を失って倒れた真哉がいる。

これで、総魔の勝利が確定したわね。

「試合終了っ!!」

真哉を倒したことで、総魔は再び生徒番号1番を獲得したのよ。
ここで第2話終了になります。
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