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THE WORLD 作者:SEASONS

4月9日

386/4820

持ち越し

《サイド:深海優奈》

ふわぁ~。

すごいですね…。

常盤先輩が倒れたことで総魔さんが勝利しました。

そこまでなら見慣れた光景なのですが、
常磐先輩を治療した魔術は見事としか言い様がありません。

今まで私も総魔さんも全くと言っていいほど怪我をしなかったので、
回復魔術を見る機会がほとんどなかったのですが。

総魔さんは回復魔術も極めているんですね。

私とは違って何でもできる総魔さんが素直にすごいと思います。

「沙織っ!!!」

いつの間にか近くにいた御堂先輩が倒れ込んだ常盤先輩を心配して慌てて駆け寄っていましたが。

怪我自体は総魔さんの治療によって完全に治っているので心配いらないようでした。

「心配するな。治療は終わっている。今は眠っているだけだ。」

治療は終わっても常盤先輩はまだ目覚めないようですね。

目覚めないのか目覚めさないのかは分かりませんが、

「しばらく待てば意識を取り戻すだろう」

無理に起こすつもりはないようでした。

それでも治療は終わったと宣言する総魔さんの言葉を信じた御堂先輩は、
常盤先輩の体を抱き抱えてから試合場を離れることにしたようです。

場所を変えて常盤先輩を休ませるつもりのようですね。

そんな御堂先輩が試合場を離れたことで、
今度は翔子先輩が近づいてきました。

「やっほ~!総魔が勝ったわね」

「あっ!翔子先輩!」

「久し振りね。優奈ちゃん」

「はい!お久しぶりです!」

笑顔を浮かべる翔子先輩を見れたことで、私も笑顔になってしまいます。

ですが…。

以前とは何かが違うように思えました。

具体的にどことは言えませんが、
以前とは何かが違っているように思えるんです。

「翔子先輩、何か変わりました?」

「ん~?どうかな?自分では分からないけど、そう見える?」

「あ、はい。なんとなくですけど、以前よりも綺麗になった気がします」

ホントですよ?

嘘じゃないです。

「素敵さ3割増って感じです」

「え?あ、あははは…。それはどうか知らないけど、でもまあ、ちょっとは成長できたのかもね。だけどそれは優奈ちゃんも同じでしょ?それに…」

私から視線を逸らした翔子先輩は、悠理ちゃんへと視線を向けました。

…って?

あれ?

「悠理ちゃん!」

悠理ちゃんも来てたんですね。

全然、気が付きませんでした。

「ただいま!優奈!」

「おかえり、悠理ちゃん!」

悠理ちゃんと再会できたことが嬉しくて、
思わず抱きしめてしまったのですが。

悠理ちゃんも笑顔を浮かべながら、
私をしっかりと抱きしめてくれました。

「やっと追いついたわ」

「うん!ずっと待ってたよ」

「ごめんね、優奈」

「ううん。私こそごめんね」

悠理ちゃんに悲しい思いをさせてしまったのは私なんです。

だからこうして再会できたことがすごく嬉しく思えました。

「これからはずっと一緒だよね?」

「うん。そのつもりでいるわ」

「やった~」

「あはははっ」

悠理ちゃんが笑ってくれる。

そのことが何よりも嬉しく思えました。

「ふふっ。やっぱりあなた達はそうじゃないとね」

笑顔を浮かべる私達を眺めながら、
翔子先輩は悠理ちゃんにも微笑みを向けていました。

「悠理ちゃん。あなたも成長したようね」

「はいっ!!」

とても優しい笑顔で、翔子先輩は私達の成長を認めてくれたんです。

「おかえり、悠理ちゃん」

「は、はい!ありがとうございますっ!」

「ふふっ」

悠理ちゃんと挨拶をしたあとで、
翔子先輩はゆっくりと総魔さんに振り返りました。

「さて、と。待たせたかな?」

「いや、予想通りだ」

「そうなの?どんな予想かしらないけど、そう言ってもらえると嬉しいかな♪」

嬉しそうに微笑む翔子先輩の表情は、本当に素敵な笑顔に思えます。

迷いや悲しみなんて感じられない最高の笑顔に見えたんです。

「やっとこれで全員集合ね」

笑顔を浮かべる翔子先輩なのですが…。

翔子先輩の後ろには初めて会う方がいました。

「久し振りだな、龍馬。それと、天城総魔」

今まで感じたこともないような威圧感があるかたです。

総魔さんとも御堂先輩とも違う、圧倒的な存在感を放つ男性でした。

会うのは今日が初めてなのですが。

多分この人が現在1位のかただと思います。

「目覚めたんだね、真哉。ずっと待っていたんだよ」

御堂先輩が真哉と呼ぶこの人が、現在1位の北条真哉さんのようです。

「待たせて悪かったな。だが、もう十分休んだ。もう十分に、な」

御堂先輩と話しながらも総魔さんに視線を向ける北条先輩。

その視線を受け止めた総魔さんが、微かに微笑んだような気がします。

「その気があるのなら受けてたとう」

「はっ!受けて立つのは俺の方だろ?」

自信を持って反論する北条先輩が試合場へと進んでいきました。

「ちょっと、真哉!」

呼び止める翔子先輩ですが、
北条先輩は振り返ることなく歩みを進めています。

「無駄に寝過ぎたんでな。久々に運動がしたい気分なんだよ」

楽しそうに言ってから、北条先輩は試合場に立ちました。

「さあ!始めようぜ!!」

試合場で待つ北条先輩。

試合を行うために総魔さんもゆっくりと歩み出したのですが、
その途中ですれ違う御堂先輩に対して話し掛けていました。

「どうやら『決着』は持ち越しのようだな」

「…そうみたいだね。だけど僕は諦めないよ。必ずきみに追いついてみせる」

「ああ、だったら待ち続けよう。最強の座で、お前が俺に辿り着くその時までな」

御堂先輩との会話を終えてから、総魔さんは試合場に入りました。

現在1位の北条先輩と現在2位の総魔さん。

頂点を目指すための『最後』の戦いが、今から始まろうとしていました。
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