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THE WORLD 作者:SEASONS

4月9日

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狙い打ち

知り合いのいなくなった会場で、一人、拳を握り締めてみる。

そして再び観察へと戻ることにした…んだけど。

その前に。

ついに私が待ち望んでいた瞬間が訪れたのよ。

「試合終了!!」

審判の声が聞こえたことで、
私は素早くすぐ傍の試合場に視線を向けてみたわ。

全く知らない人達が戦っていた試合場だけどね。

そこにいるのは勝者と敗者の二人よ。

どちらも面識のない二人だけど。

私はずっとこの試合が終わるのを待ってたのよ。

え?

どうしてって?

もちろん私が勝ち上がる方法がここにあるからよ。

試合が終わった直後に、二人の生徒の様子を確認してみる。

そして期待通りの展開を見て、密かに微笑む。

この状況を待っていたのよ。

沢山の生徒が集まる検定試験会場の中で、
私はただひたすらに『連戦中』の生徒を探してたの。

理由は説明するまでもないわよね?

魔力が減少しているからよ。

普通、何度も戦えば魔力がどんどん消費されるはずなのよ。

当然、勝つ自信があるから連戦するんでしょうけど。

自信があっても絶対に勝てるわけじゃないわ。

勇ましく挑んだ結果が『敗北』ということも十分にあり得るのよ。

だから、ね。

ここまで考えれば、あとはもう分かるわよね?

連戦して負けた生徒を狙い打つ。

それが私の考えた最後の作戦。

ここさえ勝ち抜ければセカンド・ステージは目前になるわ。

あと2回勝つだけでいいの。

そのあとのことはどうだっていいと思う。

今は数字さえ手に入ればそれでいいから。

だから、私は動き出したわ。

御堂先輩がいなくなった会場で、受付に向かって歩き出したのよ。

今ならまだ間に合うから。

今ならまだ格下からの挑戦を受けなければいけないという義務が
彼に残っていることを私は知っているから。

だから私は受付で申請するの。

「試合をお願いします」

受付で受け取る名簿。

そこには確かに彼の名前があったわ。

そしてその名前の横に✩印はないことを再確認してみる。

彼がまだ格下からの挑戦を受けていないことは確認していたから。

この状況は私の期待通りなのよ。

あとは彼が会場を出る前に手続きを終えてしまえば、
弱り切った彼が私の対戦相手になるはずなのよ。

「この人でお願いします」

名簿の一覧に記された名前を指名する。

彼の名前は梅宮昌志うめみやまさし

生徒番号は10102番。

彼を倒せば私の番号は一気に上昇するはず。

「試合、出来ますか?」

念の為に確認してみると、係員は即座に答えてくれたわ。

「あ、はい。大丈夫です。梅宮さんにはこちらから連絡を取りますので、試合場Eー3番でお待ちください」

「はい。ありがとうございます」

試合の許可が出たのよ。

こうして私の思い通りに手続きが終わったわ。

もちろん試合に勝てるかどうかは別問題だけど、
すでにまともに戦えないことは確認済みだから今なら負ける心配はないと思う。

やってることは卑怯かもしれないけど、こうでもしないと勝ち上がれないのよ。

私は強くなんてない。

だけど、弱いままでいたくはない。

だからせめて数字だけでも見栄を張りたいの。

そしてみんなに頑張ったねって褒めてもらいたいの。

そのあとのことはそのあとで考えればいいわ。

実力はあとからつければいいのよ。

今はただ優奈に追いつきたいだけだから。

だから、私は戦い続ける。

そして勝ち上がって見せる!!

先輩とも、また会えるって約束したんだから。

だから、もう一度、会いに行きます。

今度は偶然ではなくて、私から会いに行きます。

御堂先輩。
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