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THE WORLD 作者:SEASONS

4月9日

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ルーン名

《サイド:深海優奈》

彼方さんとの試合が終了したあとで。

私と総魔さんと芹沢先輩と矢野先輩の4人は
試合場を離れてから一旦、受付付近まで戻ってきました。

「圧勝だったわね~」

芹沢先輩は興味深そうに私に視線を向けています。

そして試合を観戦していた矢野先輩も驚いているようでした。

「私の時とは違うけれど、本来の吸収の能力はあんなふうに発動するのね」

矢野先輩の時?

それはつまり…。

「総魔さんと試合をした時ですか?」

「ええ、そうよ。あの時は彼のルーンで斬られたから、あなたとは状況が違うけれどね」

ルーン?

思い返してみれば今までにも何度か耳にした言葉だと思います。

ですがいまだにその意味を知りません。

ルーンという言葉が何か分からないままなのですが、
それが私の成長に必要なことなのでしょうか?

尋ねてみようと思って、総魔さんに振り返ります。

「あの、今更なんですけどルーンって何ですか?」

疑問を感じる私に、総魔さんが説明してくれました。

「特性や属性などの個人の総合的な能力が反映される武器であり、魔力の結晶でもある。それをルーンと呼んでいる」

「魔力の結晶、ですか?」

「ああ、そうだ。魔術のように発動出来る独自の力だと思えば良い。ただしその能力は術者が決めるものではなく、総合的な能力として必然的に決まるものだがな」

「自分では決められないんですか?」

「ああ、基本的にはそうだ。一人につきただ一つの力。それがルーンだ」

ただ一つと総魔さんは言いました。

そしてそれがルーンだと教えてくれました。

ですが、説明を受けてもまだ想像しにくい話です。

何か具体的な例えがあれば良いんですが、見せてもらうことはできないのでしょうか?

「総魔さんはルーンを使えるんですか?」

「それはこれから実験を行うつもりでいる。次の試合で確認してみようと考えているからな」

次の試合で総魔さんのルーンは確認出来るそうです。

もしもそれを見ることが出来たなら
私も自分のルーンを手にすることが出来るのでしょうか?

心の中で密かに期待してみる私に、芹沢先輩が話し掛けてくれました。

「興味があるなら、見せてあげようか?」

「えっ?芹沢先輩もルーンを使えるんですか?」

聞き返してみると、芹沢先輩は笑顔で頷いていました。

「一応、私も所持者の一人だから、いつでも見せられるわよ」

所持者?

どういう意味でしょうか?

「あ~えっと、言い方はどうでもいいんだけどね。ルーンの使い手を言いやすくする為に所持者って呼んでるの。まあ、あんまり気にしなくても良いんだけどね」

芹沢先輩は照れ臭そうに控え目に笑いながら言葉を続けます。

「あ~、あと、私のことは里沙で良いわよ。何か苗字で呼ばれるのって照れ臭いし」

そう言った里沙先輩に続いて…

「私のことも百花でいいわよ」

百花先輩もそう言ってくれました。

「あ、はい。分かりました」

素直に聞き入れた私は二人の先輩を名前で呼ぶことにしました。

「さっそくですけど、里沙先輩のルーンを見せてもらってもいいですか?」

「ええ!いいわよ」

快く頷いてくれた里沙先輩が、左手を前方に突き出しました。

「発動!」

里沙先輩の一声で、左手が輝き出します。

そして微かな光が左手に生まれてから、すぐに消えました。

その僅かな時間の間に、
里沙先輩の手元には一本の杖が現れたんです。

「はい、これがルーンよ」

差し出されたルーンを受け取ってみました。

見た目は金属のような綺麗な輝きを見せているのに不思議と全く重さを感じません。

元が魔力だからでしょうか?

重量というものが感じられません。

そして里沙先輩のルーンは『ハート』と『炎』の刻印が印象的で、
それらを引き立てるような装飾が全体に施されています。

「綺麗ですね」

ただ手にしているだけで心が癒されるようなそんな不思議な魅力がありました。

「そのルーンは私だけのものなのよ。他の誰にも使えないし、その形も真似出来ないわ。私だけの力。それがルーンなの」

里沙先輩のルーンに触れて。

里沙先輩の話を聞いて。

なんとなくですが、
私もルーンというものを知ることが出来たような気がします。

「ありがとうございました」

丁寧にルーンを返すと、里沙先輩はすぐに解除してしまいました。

「まあ、私の特性が反映されてるんだけどね。若干の攻撃能力もあるけど、基本的には回復系と言えるわ。治療能力を極限まで高めた力。そう思ってくれればいいかな」

里沙先輩のルーンは治療優先ということでしょうか?

それが具体的にどんな試合になるのか想像も出来ませんが、
この会場にいるということはそれだけの実力があるということでもあります。

「里沙先輩は何番なんですか?」

「私?私は19位よ。百花は29位」

言われて私は百花先輩にも視線を向けました。

「それじゃあ、百花先輩もルーンを使えるんですか?」

私の質問に百花先輩は静かに首を左右に振ります。

「いいえ、私はまだ使えないわ。だからこそ彼にあっさりと敗北したのよ。彼のルーンに対応出来ずに、ね」

なるほど。

確かに今はルーンを使えないかもしれない総魔さんですが、
力を失う前までは使えたはずです。

だったら…

「総魔さんのルーンは、どんな感じだったんですか?」

尋ねてみると、総魔さんは私の瞳を見つめながら話してくれました。

「ルーン名はソウルイーター。あらゆる魔力を喰らう魔剣だ」

魔力を喰らう魔剣?

『ソウルイーター』

それが総魔さんのルーンのようです。

「里沙先輩のルーンにも名前があるんですか?」

問い掛けたことで、里沙先輩は大きく頷きました。

「もちろんあるわよ。私のルーンはリカバリーロッド。文字通りの回復の杖ってことだけどね」

「へ~。色々あるんですね」

「そうね。有名なところで言えば御堂君のエンペラーソード。北条君のラングリッサー。沙織のマテリアル。翔子のパルティア。他にも沢山あるけど、ルーンに決まった形はなくて、所持者の思い通りの形に出来る。それが面白いところかもね」

所持者の思い通りの形にできる。

それがルーンのようです。

もしも私も使えるなら、私はどんなルーンを思い描くのでしょうか?

今はまだ分かりませんが、総魔さんはきっと待ってるんだと思います。

私がルーンを使える瞬間を…

私が私の力に気付くその時を…。

『総魔さんと戦う時の為に』

きっとその時の為に待っているんです。
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