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THE WORLD 作者:SEASONS

4月8日

337/4820

何の為に

《サイド:深海優奈》

お昼を少し過ぎた頃。

私と総魔さんは食堂へと移動しました。

今日最初の会場を1時間程で勝ち抜けたことで、
そのまま次の会場に進んだのですが。

次の会場でも驚くほどの勢いで勝ち続けてために
午前中の間に3つ目の会場へと向かうことになりました。

二つ目の会場を終えた時点での私の番号は4033番でした。

総魔さんの番号は4028番です。

検定試験会場にいる間、総魔さんは『誰か』を探しているようでしたけど、
その人は見つからなかったようですね。

誰を探しているのかを訪ねてみても、
なんでもないと言われてしまって、そのまま会場を出ることになってしまいました。

そしてたどり着いた次の会場でも、私達は無敗のまま勝ち続けています。

最終的な結果として。

現在の私の番号は2013番です。

総魔さんは2015番でした。

そこまでの試合を終えたあとで、丁度お昼時ということもあって、
一旦休憩をかねて昼食をとることになりました。

今、食堂にいるのはそういう流れになります。

「あの…。自分でも驚いてるんですけど、これってすごいことですよね?」

お昼ご飯を購入しながら、総魔さんに尋ねてみました。

「こんなに簡単に勝ち上がれるなんて、普通なら有り得ないですよね?」

こんなことが普通に起こるのなら、
各試験会場での人の入れ替えはもっと激しくなると思うからです。

少なくとも、少しずつ成績を伸ばすという考えは存在しなくなるのではないでしょうか?

そう思ったことで尋ねてみたのですが。

「普通で在ることを望むのなら驚くのも勝手だが、普通でないことを望むのなら驚くのはまだ早い。俺達が目指すのは頂点であって途中経過ではないからな」

総魔さんは迷うことなく答えていました。

う~ん。

そうでしょうか?

言いたいことは分かりますが、私はそこまで割り切れません。

午前中だけでも数え切れない程の試合を重ねたからです。

対戦相手の中には普通の人もいれば、才能のある人もいたと思います。

ですが私達はそういう実力のある人達でさえも寄せつけないまま勝利を重ねてきたんです。

圧倒的な実力差と言えればまだ良いんですが、実際にはそうではないと思います。

総魔さんの実力は本物だと思いますが、私は違うからです。

『吸収』という能力に頼って『負けない』試合を繰り返しているだけなんです。

決して私が強いわけではなくて、ただただ負けないだけなんです。

考えれば考えるほど、自分が嫌になってしまいそうでした。

私がしていることは何なのでしょうか?

頑張って…
頑張って…
頑張って…

必死に努力をしている人達の苦労を全て否定して、
才能という能力だけで何の苦労もしないまま勝ち続けているんです。

その罪悪感は消えません。

私自身は強くなんてないからです。

本当の私は初心者以下の実力しかないんです。

思えば思うほど私は自分が嫌いになってしまいそうでした。

私は何をしているのでしょうか?

落ち込んでいく気持ちが止まりません。

そんな私の心に。

「優奈。お前は何の為に戦い続ける?」

総魔さんの言葉が突き刺さりました。

「えっ?」

突然の質問だったので何も答えられませんでした。

何も思い浮かばなかったんです。

「まずは目的を持つことだ。自分自身にとって価値があると思える目的をな」

「目的、ですか?」

「ああ、そうだ。自分自身で信じる何かがあるのなら、迷うことはないはずだ」

迷い?

言われて私は気付きました。

確かに私は迷っています。

自分の力に…。

そして戦うことにです。

私は一体、何の為に戦っているのでしょうか?

悠理ちゃんとも離れて、私は何を求めているのでしょうか?

それを探すことが私にとって大切なことなのかも知れません。

「今は戦い続ければいい。その結果としていつか気付く日がくるはずだ。自分の求めるモノが何なのか?という答えがな」

そう、ですね。

総魔さんの言葉には、確かな重みが感じられます。

言葉の一つ一つが私の心に積み重なっていくからです。

いつか、見つかるでしょうか?

私の求める『答え』が…。
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