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THE WORLD 作者:SEASONS

4月8日

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これぞ、試合

「うーん。何がダメなんでしょうか?」

正午になってさすがに頭を抱え始めた武藤君。

それもそのはずだ。

最も危惧していたことが、現実となって起きてしまったからだ。

ただひたすらに突撃を続ける武藤君の努力の成果によって、
とうとう対戦相手がいなくなってしまった。

ほぼ全ての生徒が義務を終えた為に、
試合を挑める生徒がいなくなったしまったんだ。

「うーん。待ってればいいのかなー?」

試合が出来なくなって困り果てる武藤君。

こうなると僕の出番もなさそうだ。

「もう少し落ち着いて行動した方がいいと思うよ?」

何度目かの忠告をしてみるけれど。

武藤君は不思議そうな表情で首を傾げてた。

「うーん。そういうものですか?僕が思うに正面から堂々と突破する方が、かっこいいと思うんですけど…」

かっこいい、だろうか?

そもそもその前提すら僕には理解出来ないけれど、武藤君なりに考えがあるんだとは思う。

「向かって来る魔術を粉砕して、自分の魔術を叩き込む!それが、これぞ試合!!って感じだと思うんですけど…」

確かにね。

それが出来ればかっこいいと思わなくもないよ。

実際に真哉は実践しているしね。

…けれど…。

現実に行われているのは魔術の粉砕ではなくて『魔術での玉砕』だ。

武藤君の思い描く試合内容とは程遠いし。

はっきり言うなら真逆の状況だよね。

「まずは勝ちに行くことを優先した方が良いんじゃないかな?」

問い掛けてみたけれど。

「うーん。番号なんてどうでもいいじゃないですか。」

武藤君は当たり前のことのようにごくごく自然に答えていた。

「自分の望む戦いをして、それで勝つことが大事だと僕は思います」

はっきりとした意見だ。

普段の暴走ぶりからは想像出来ない発言だと思う。

だけど彼の言葉は不思議と僕の心の中に入ってきた。

自分の望む戦い。

彼は正面から立ち向かうことを望んでいる。

全てに向き合って、困難を乗り越える力を求めている。

だとしたら僕は…僕の望みは何だろうか?

強くなる為に僕の目指す力はなんだろうか?

武藤君と向き合いながら自分自身に問い掛けてみる。

僕の力。

僕の求める力。

それはやっぱり『力』だと思う。

言い方は悪いかも知れないけれど、暴力という名の破壊の力。

全てを押さえ込むほどの圧倒的な力。

吸収も…操作も…全てを認めない圧倒的な暴力。

そういう力だ。

『支配』に続く『暴力』

まるで暴君のような表現だけど、
何故かその言葉がもっとも自分にあっているような気がした。

だとすれば。

それが僕の力なんだろうか?

良く分からない。

ただの思いつきにすぎないから。

だけど何故か心がざわつく感覚を感じてしまう。

今まで感じた事のないような胸騒ぎだ。

もしかしたら僕は可能性を手にしたのかもしれない。

武藤君の言葉によって、だ。

「師匠はどうしたいんですか?」

彼の問い掛けに僕は…

「全てを越える力が欲しいと思う」

僕の想いを答えた。

「だったら僕と同じですね!」

確かに僕と武藤君は似ているのかもしれない。

何故か自然とそう思えるんだ。

だけど…。

笑顔を見せる武藤君の表情が少しだけ変化してしまう。

「師匠!」

笑っているように見えるのに、何故か彼の眼差しには強い悲しみを感じてしまったんだ。

「師匠は好きにして下さい!」

「えっ?」

武藤君が何を言いたいのか分からなかった。

「僕ならもう大丈夫です!色々なことを師匠から教わりましたからっ!!だから師匠は先へ進んでくださいっ!」

突然、武藤君が頭を下げたんだ。

「無理言ってばかりですみませんでしたっ!!でも僕、楽しかったんです!誰にも相手にされなかった僕に優しくしてくれたのは師匠だけだからですっ!!だから、だからこれ以上師匠に迷惑をかけることは出来ませんっ!!!」

地面に頭をこすりつけて、想いを言葉にしていく。

「師匠!ありがとうございますっ!!そして、お世話になりましたっ!!!」

お礼の言葉を残してから全力で駆け出した武藤君は、
そのままどこかへ走り去って行ってしまった。

僕の返事を聞くことなく、
どこかに行ってしまったんだ。

その結果として、一人残されることになってしまった。

うーん。

困ったね。

僕はこれからどうするべきだろうか?
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