挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月7日

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

322/4820

勝利の方程式

「準備はいいですか?」

「いつでもどうぞ」

尋ねてくる審判に余裕の笑顔を浮かべる桑原だけど。

私は一言も喋らずに静かに頷いたわ。

「それでは、試合始めっ!!」

合図と共に詠唱を始める私に対して、
桑原は余裕ぶって私の詠唱に耳を傾けてた。

「初歩的な魔術だな。相手にするまでもない」

うるさいわねっ!

私には私の考えがあるんだから、黙って戦ってればいいのよ!

心の中で叫びながら詠唱を終える。

だけど、発動させずに桑原に向かって走り出すことにしたのよ。

「はぁ!?何がしたいんだ?」

突然走り出した私を見て驚く桑原だけど。

困惑する桑原を無視して、私は一直線に駆け寄っていく。

距離をとろうとする桑原だけど。

接近する私の手が、桑原の体に届く。

「おいおい。物理的な攻撃は意味がない…」

余裕ぶって私を見下す桑原の言いたいことはわかるわよ。

確かに結界内部では物理攻撃は無効化されるわ。

だけどその無効化は『物理攻撃』ならっていう話であって、そうでなければ攻撃出来るのよ。

つまり。

桑原に右手を突き出して、『直接』魔術をぶち込むってことよ。

「ファイアー!!!」

『ドンッ!!』と掌底と同時に叩き込む初級火炎魔術。

この一撃は確実に直撃したはず。

「ぐ、あっ…!?」

調子にのって何もしなかった桑原に、炎の鉄拳をお見舞いしたのよ。

もちろん私の右手も炎の影響を受けるけれど。

油断している桑原に攻撃することには成功したわ。

「くそがっ!?」

炎を払い消して立ち上がる桑原の表情は怒りに満ちてる。

「女だと思って甘く見ていればっ!」

怒りをあらわにする桑原だけど、その様子を私は冷静に観察し続ける。

今の一撃は決して弱くはないはずよ。

確かに初歩的な魔術でそれほど効果は期待出来ないけれど。

確実に桑原の体に影響を及ぼしているはずなのよ。

実際、桑原の動きが確実に低下してるし。

まともに歩くっことさえ辛そうに見えるわ。

だからと言って油断できる状況ではないけれど。

桑原から逃げるように距離をとってから新たな魔術の詠唱を始めておく。

だけど私の魔術が完成する前に桑原の魔術が完成してしまうわね。

「もう手加減しねえ!食らえっ!!サンダー・ボール!!!」

雷撃を帯びた光の球が桑原の手に現れて、私に向かって放たれる。

放電する雷の玉よ。

当たれば一撃で負けるのは確実ね。

そう思いながらも私は詠唱していた魔術を発動させてみる。

この一瞬を狙っていたからよ!

全ての力を込めて魔術を発動させる。

進むべきは直線上。

目標は桑原。

狙いはただ一つ!!

「ウインド・クラッシュ!!!」

突風を起こすだけの魔術。

だけど、それだけで十分なのよ。

強風が生まれ、真っ直ぐに吹き付ける。

そして、向かい来る雷撃を飲み込んで、その角度を強制的に変えたわ。

180度の転回。

突風に吹かれたことで、雷撃の球が進行方向を変えたのよ。

「…な…っ!?」

驚く桑原だけど、もう遅いわ。

反転して桑原へと向かう雷撃はもう止まらないはず。

私に向かって放たれた雷の玉は、術者である桑原本人に直撃するのよ。

「ぐ…う、あっ…あああああああああっ!!!!!!!!」

絶叫の雄叫びをあげる桑原は、
自分で作り出した雷撃を受けて試合場に倒れ込んだわ。

「くっ。何故、だ?何故、俺よりも先に詠唱を始めたお前が…」

悔しそうに言葉を紡ぐ桑原は自分自身の雷撃の影響で動けないみたいね。

だから私は勝利を確信しながら桑原に話してあげたわ。

「ずっと見ていたからよ。これまでのあなたの戦いもずっとね。だから知っていたの。あなたはきっとその魔術を使うってね。今まで全ての試合でその魔術を使っていたでしょ?だから、私は考えたの。今の私にあなたを倒せる魔術はないけれど、あなた自身の魔術なら、あなたを倒せるはず…ってね」

淡々と告げてみる。

それが良かったのかどうかわからないけど。

桑原は全身を襲うしびれに耐え切れずに徐々に意識を失っていったわ。

「試合終了!勝者、近藤悠理!」

「…よしっ」

小さく拳を握り締める。

予想していた通りの展開だったからよ。

一気に順位を上げることに成功したわ。

危険な賭けだったとは思うけど。

予定通り『桑原の力を利用して』一撃をぶち込むことに成功したのよ。

とっておきの大魔術なんて私にはないけれど。

特筆するほどの才能も何もないけれど。

だけどこんな私でもね。

戦い方さえ工夫すれば格上の相手を倒すことが出来るのよ。

そのことを私は実証してみせたわ。

だから私はこうして勝ち上がっていこうと思うの。

相手を知り、自分に出来る最善を尽くせば勝ち目は十分にあるはずだから。

それが、私の戦い方なのよ。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ