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THE WORLD 作者:SEASONS

4月7日

312/4820

恐怖と不安

《サイド:近藤悠理》

ふんふふ~ん♪

検定会場を出た私達は次の会場へと向かってるところよ。

天城総魔と翔子先輩。

そして優奈と私でね。

でもね、でもね。

今は最初の会場を抜け出せたことで、
私の心は色々な意味で開放感に満ち溢れていたわ。

だってさ~。

やっと…!

やっと…!!

やっとなのよ!!!

やっとあの馬鹿から解放されたのよ!!

ただそれだけのことが尋常じゃないくらい嬉しかったわ。

だけど、ね。

一つだけ心残りなのが御堂先輩が会場に残ってしまったことよ。

それ自体は仕方がないことなのかもしれないけど。

その理由が私の恐怖を煽るのよね…。

何故か先輩はあの馬鹿への協力を続行するつもりらしくて、
一人で会場に残ってしまったからよ。

辛うじてようやく1勝できただけの底なし馬鹿。

あの馬鹿が試合を勝ち進んで私を追い掛けて来るなんて考えられないことだけど。

先輩が手を貸す限りは決して油断なんて出来ないわよね?

考えたくはないけど。

次の検定試験会場まで追い掛けて来る可能性は否定出来ないわ。

だから手放しで喜べる状況じゃないのよね。

ううぅぅ~。

まさか次の会場まで追いかけてこないわよね?

有り得ないと言い切れないところが面倒くさいのよ。

だから、どうか…。

どうか…。

どうか…!!!!!!!!

間違っても馬鹿が成長しませんようにっ!!

って、全力で祈りに祈って祈り倒してみたわ。

まあ、どうなるかは分からないんだけどね。

とりあえずは馬鹿が追い掛けて来る前に先行して逃げ切りたいと思うわね。

さっさと試合を勝ち進んで先行して逃げ切りたいのよ。

でもね?

そうは思うんだけどね。

そこまで考えてから私はひっそりとため息を吐いたわ。

だってね?

ちゃんとね。

自分でも分かってるからよ。

…ううん。

違うわね。

最初から気付いてるって言うべきかな?

たった一つの事実。

私は決して強くないっていうことよ。

天城総魔のような天才でもなければ、翔子先輩のような力もないわ。

それに優奈のような能力さえも私にはないのよ。

どうしてこの4人で行動しているのかが分からなくなるくらい。

私は圧倒的に落ちこぼれているの。

ここまで勝ち進めたこと自体が奇跡的なことかもって思えるくらいにね。

私は自分自身の実力を理解してるのよ。

明らかに劣る私の実力だと、
どれだけ願っても次の会場を勝ち抜ける自信はないわ。

みんなとは違うからよ。

私はここで脱落するかもしれないの。

そんなふうに考えてしまうのよ。

だから…。

私の心は後ろめたい気持ちで一杯になってた。

住む世界が違うって思えるくらい凄い人達の中で、ポツンと佇むような感覚って言えばいいのかな?。

私はこの中に入れるような人間じゃない、ってね。

自然とそう感じてた。

「ねえ、優奈…。」

思わず呟いてしまったことで。

「ん?どうかしたの?悠理ちゃん」

優奈は私に振り返って不思議そうに首を傾げてた。

だけど…。

「えっ?あ、ううん。何でもないの」

言えなかった。

この気持ちは…言えるわけがないから。

「ごめんね」

謝ることしかできなかったのよ。

「ちょっと呼んでみただけ」

「そうなの?」

「うん。ごめんね」

「ううん。いいよ」

疑問を感じながらも優奈は前を向いて歩き続けてる。

ねえ、優奈。

優奈は今、何を考えてるの?

聞けない質問と言えない言葉。

色々なことを考えている間に、
目的の会場へとたどり着いてしまったわ。

ここにはどんな生徒がいるのかな?

そして私はいつまでみんなと一緒にいられるのかな?

いつか離れることになってしまう恐怖。

みんなに置いて行かれてしまう不安。

そんな絶望的な気持ちを抱えながら…。

私は二つ目の会場へと足を進めたわ。
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