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THE WORLD 作者:SEASONS

4月7日

310/4820

僕の道

「お帰り総魔」

話しかけてみると。

「ああ」

総魔はほんの一瞬だけ笑顔を見せてくれたわ。

うんうん。

その笑顔が見たいのよ。

…なんて思ってると。

「お疲れ様です」

優奈ちゃんも声をかけてた。

「ああ」

優奈ちゃんにも微笑む総魔。

むむぅ…っ。

やっぱり優奈ちゃんは危険人物ね。

改めて思うわ。

だけど、むやみに追求も出来ないのよね~。

総魔の前で嫉妬に燃えるわけには行かないからよ。

だって。

そんなの格好悪いでしょ?

だからとりあえず、優奈ちゃんに負けないように頑張るしかないの!!

…なんて考えつつも。

とりあえずは一段落したのかな?

優奈ちゃんの実力を見れたし。

総魔の特性も確認出来たからよ。

現在この会場内に私達を越える生徒はあまりいないでしょうね。

そこで私はみんなに提案してみることにしたわ。

「そろそろ次の会場を目指さない?」

私の問い掛けに。

「「「………。」」」

みんなは沈黙してた。

もともとしゃべらない総魔はともかくとして。

優奈ちゃんと悠理ちゃんはどちらでもいいって思ってるのかもしれないわね。

ただ。

さっきからほとんど口を開かない龍馬が何を考えているのか、それだけが疑問だったわ。

「どうする龍馬?」

あえて直接聞き直してみる。

すると…。

龍馬はどこか遠くへと視線を向けたのよ。

う~ん?

首を傾げちゃう。

龍馬の視線の先を追ってみると、
少し離れた試合場に見慣れた少年の姿があったわ。

あれって…あれよね?

確か悠理の…って、そこまで考えてようやく少年の名前を思い出したわ。

そうそう!

武藤慎吾!

例の少年は諦めることなく、いまもまだ試合を続けてたみたい。

真剣に試合に挑むその気合いは認めるけれど。

その実力は圧倒的に劣っているわ。

試合の決着がつくのも時間の問題でしょうね。

そんなふうに思いながら龍馬に視線を戻してみる。

「あの子がどうかしたの?」

尋ねてみると。

「あー、うん…。」

龍馬はぎこちなく微笑みを返してた。

「ごめん、僕はまだここに残るよ」

「そうなの?」

あの子のことでも気になるのかな?

尋ねようとしたけど。

「一度始めたことだしね。出来る限りのことはしたいと思うんだ」

その前に龍馬が先に答えてくれたわ。

う~ん。

まあ、龍馬らしい考えかな?

無駄に責任感が強いのよね~。

「あの子の教育を続けるの?」

「ああ、うん。一応ね。それに…」

私達から距離をとる龍馬は少しだけ思い悩むような表情を見せてから言葉を続けたのよ。

「それにね。きみと一緒にいたらきっと成長出来ないと思うんだ。僕は僕自身の意思で上を目指すよ。だから今は…僕は僕の道を行こうと思う」

宣言した龍馬の顔に迷いは見えなかったわ。

本気で別行動を考えているようね。

「一人で大丈夫?」

「ははっ。心配はいらないよ。それに、一人というわけでもないしね」

まあ、問題児は一緒だろうけど…。

そこは頭数に入らないわよね?

そう思うけど。

総魔と離れる覚悟を決めた龍馬の意思を受け止めて、
私達は龍馬と別行動をすることにしたわ。

「龍馬は龍馬の自由にすればいいと思うけど、あまり無理はしないようにね?」

「ああ、大丈夫だよ。」

龍馬はいつものように優しく微笑んでくれてた。

「僕もすぐに追い掛けるつもりだからね。だから皆には先に行っていてほしい」

決意を示す龍馬の瞳を見て、それ以上追求するのは諦めたわ。

それぞれに考えがあると思うしね。

「ならいいけど。頑張ってね。龍馬」

「ああ、ありがとう」

こうしてひとまず龍馬と別行動をとることになったのよ。

だけどその前に。

「また、会えますよね?」

私達の会話を聞いてた悠理ちゃんが龍馬に話しかけてた。

「ああ、いつでも会えるよ」

「はい!じゃあ、またいつか…」

笑顔で挨拶をする二人。

私の後ろにいる総魔と優奈ちゃんは静かに状況を見守ってた。

だけどそれはホンの数秒だけで。

「行くぞ」

総魔は歩きだしてしまったわ。

龍馬に一言も声をかけることのないまま、出口に向かって歩きだしたのよ。

その背中を追い掛ける私と優奈ちゃんと悠理ちゃん。

たった一人で残る覚悟を決めた龍馬は…

「必ずきみに追いついてみせる!」

最後に一言だけ宣言してた。

「ああ、たどり着いて見せろ。そして俺を超えて見せろ」

龍馬の言葉を聞いた総魔は、楽しそうに微笑んでいたわ。
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