挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月7日

302/4820

大きな違い

「まあ、優奈ちゃんのことは分かってたから、今更驚くほどのことじゃないんだけどね。でも、それよりも…」

呟いてから、穴が空くほど見つめるのは彼です。

私も感じていたことなのですが、
明らかに彼の雰囲気が今までとは違っているように思えます。

「何かあったの?」

「優奈の実験後に俺自身も実験を行っただけだ」

問いかける翔子に実験を行ったと前置きをしてから。

「以前から感じていた疑問と仮説が今日の実験で実証された。そして俺は自分の特性を理解した」

私達にとって驚くべき発言をしました。

「「「えっ!?」」」

彼の言葉を聞いたことで。

私と翔子だけではなくて、龍馬も驚愕の表情を浮かべていました。

今の発言は予想していなかった言葉だったからです。

彼は自信を持って断言しました。

自分の特性を理解した…と。

僅か一日です。

いえ、封印したのは一昨日の夜なので、
ほぼ二日と言えなくもないのですが…。

まさかこの短期間で、もう潜在能力を解明したのでしょうか?

正直に言って驚きです。

傍にいる翔子も同様のようですが、
最も驚いたのは龍馬かも知れませんね。

彼と同様に力を封印した龍馬ですが、
今は完全に彼に遅れをとっているからです。

だから呆然とする龍馬の気持ちは私にも分かります。

動揺したのは私も同じだからです。

彼に追いつこうと決意しても引き離されてしまう現実。

今の龍馬の絶望は相当なものだと思います。

ただ、翔子としては恐怖よりも興味が優っているようでした。

「何だったの!?」

問い詰める翔子に彼は一言で答えます。

「特性の名は『操作』だ」

えっ?

操作っ!?

一瞬、彼の言葉が信じられませんでした。

吸収の能力だけでも魔術の定義に反しているような特別な力なのに。

彼は更にその上を行こうとしているからです。

あらゆる理論と定義を除外して、
自由自在に魔術を操ることが出来ると宣言しているに等しい名前である操作。

それはとても簡単に納得出来る言葉ではありません。

「本当に可能なのですか?」

尋ねる私の声が震えていることを自分自身でも感じていました。

ですが。

聞かずにはいられなかったのです。

「本当に操作できるのですか?」

「ああ、実験結果から結論が出たからな。現段階では否定出来ない」

はっきりと答える彼の言葉を補うかのように優奈さんが語りだしました。

「あの、私も見ていました。その…今でも信じられない気はしますが、本当のことです」

優奈さんも肯定したことで私は…いえ。

私達は疑う余地さえなく、信じるしかありませんでした。

それでもまだ戸惑う私達なのですが、
今ひとつ状況の飲み込めていない悠理さんだけは彼に問い掛けていました。

「それってどんな魔術でも操れるっていうこと?」

その質問に対しての彼の答えは常軌を逸しています。

「あるいはどんな魔力でも操れるという意味だろうな」

「えっと、違いがイマイチ分からないんだけど?」

「現状ではこれ以上の実験が出来ないから正確な判断は出来ないが、魔術だけではなく、魔力そのものを操作出来るとすれば…あるいはその根源を自在に操れるのなら、他人の魔力でさえも自在に操作出来るということになるはずだ」

「えっ!?って?はぁっ!?」

彼の発言を聞いて、
さすがの悠理さんも彼の力を理解したようですね。

『魔術』と『魔力』。

そのどちらを操れるかによって、その意味は大きく変わります。

どんな魔術でも使える操作ではなくて、
どんな魔力でも使いこなせる操作であるなら。

その差はとても大きな違いです。

「吸収の能力が欠落している為に真の特性は判断出来ないが、現状では操作が最も確率の高い答えだと思っている」

説明を終えた天城君は、
もしかしたら私達が思っているよりもずっと高みにいるのかもしれません。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ