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THE WORLD 作者:SEASONS

4月7日

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最大の特徴

こうして一通りの自己紹介を終えた私達は、
今までのいきさつを交えながら少しの時間ですがお互いのことを話し合いました。

…と言っても。

彼は自分自身のことは何も語りませんでしたけどね。

翔子はしきりに尋ねていましたが、
彼は沈黙したままで一切語ることがありませんでした。

何か口に出すことの出来ないような事情でもあるのでしょうか?

詳しいことは分かりませんが、
彼に関すること以外は会話も弾んでいたと思います。

私のことで言えば、
妹がいることや両親がケーキ屋を営んでいること等など。

翔子のことで言えば、
特風での思い出話や失敗談なども場を盛り上げる要素だったと思います。

それとは別に。

近藤悠理さんが学園長のお孫さんであることや、
深海優奈さんのお家がお花屋さんという話もありました。

他にも私と龍馬が他国から亡命してきたという話も出ましたが、
あまり深くは追求されませんでした。

それでも私や龍馬が学園の治安維持に力を注ぐ理由を理解してもらえたと思います。

「へぇ~。じゃあ、翔子先輩はどうして特別風紀委員に入ったんですか?」

尋ねたのは悠理さんです。

翔子は手をパタパタと振りながら照れ臭そうに答えていました。

「私は別に特別な理由はない…っていうか、考えたこともないというか…。何となく面白そうだから、かな~?」

恥ずかしそうに笑う翔子ですが、本心は違うはずです。

決して何も考えていないわけではないと思います。

わざわざ言葉にはしませんでしたが、
私のために協力してくれていると思うからです。

「まあ、でも、一番の理由は『居心地が良いから』かな?」

「居心地ですか?」

不思議そうに首を傾げる悠理さんに、
翔子は少しだけ思い悩むような表情で説明を続けました。

「最初はね。沙織に誘われて始めたのよ。一緒にどう?って聞かれてね。それで沙織のためなら、って感じで参加したのよ。それからはまあ、何て言うか、それなりに結構楽しいし、みんなで馬鹿やってるのも私の性格に合うし、やってて悪くないな~っていう感じなの。まあ、それが理由ね」

よく分からない説明ですが、
翔子は翔子なりに特風での活動を楽しんでいるということでしょう。

皆が皆、世界平和を願っているわけではないことも事実です。

ですが…。

そこまで考えなくても誰かの役に立ちたいという気持ちさえあるなら、
どんな考えであってもいいと私は思います。

全員の意思を統一することは出来ないのですから、
歩むべき道は違っても方向さえ同じならそれで十分ではないでしょうか?

私はそう思っています。

「まあ、私のことはどうでもいいんだけどね~」

曖昧な説明のままで、
翔子は深海優奈さんに視線を向けました。

「それよりも…」

「どうかしましたか?」

疑問を浮かべる優奈さんに、
翔子はまじまじと見つめながら話しかけます。

「優奈ちゃん。今朝会った時と比べると、かなり魔力が上昇してるみたいだけど、何があったの?」

問いかけた翔子の発言をきっかけに、話が本題へと移り始めました。

「えっ…と…」

説明に悩む優奈さんは助けを求めるかのように、彼に視線を向けています。

その視線に気付いたのでしょうか?

ようやく彼が話し始めました。

「優奈の魔力は研究所の実験過程で吸収した魔力だ」

その言葉をきっかけに静まり返る室内。

一体、研究所で何があったのでしょうか?

私も魔術研究所にはいたのですが、部署が違うので何も知りません。

最も近くにいながら最も何も知らない私は、彼の話に思考を集中させることにしました。

「優奈の特性の真偽を確かめる為に研究所で実際に魔術を受けさせて吸収の能力が実在するかどうかを確かめた」

話し始めた彼に悠理さんが問い掛けます。

「その吸収って、結局どういう能力なの?」

疑問を口にする悠理さんの問いかけには優奈さんが答えました。

「えっと。魔術の核である魔力を吸収する能力ですよね?」

「ああ、そうだ」

優奈さんの言葉に頷いた彼は、
より分かりやすく説明を続けてくれました。

「どんな魔術だろうと元は『魔力』という一定の力だ。そこに善も悪も上も下もない。だからこそ、元となる力を操るすべがあれば、どんな魔術も意味を成さなくなる。つまり吸収という力は、その能力によってあらゆる魔術を無効化することが出来るということだ。」

無効化。

確かに結果的にはそうかも知れませんね。

ですが、それだけでは終わりません。

吸収した魔力は彼や優奈さんに残るからです。

消費しない限り、減ることのない魔力なのです。

その魔力の残存が優奈さんから感じる魔力の正体なのでしょう。

吸収した魔力を自在に使えるということ。

それが吸収の能力の最大の特徴です。

だからこそ。

全属性を掲げる私でさえも、
吸収に関してだけは手の届かない特殊な力なのです。

想定外であり、規格外といえる特別な力でもあります。

それほどの特殊な能力を扱える人物が、
今は二人も私の目の前にいるのです。

その事実が驚異的なことであると同時に、
興味とも言える感情が私の中には確かにありました。

もしも私にも吸収の能力があれば…と、思う気持ちがあることも事実だからです。

素直に羨ましいと思える力です。

私だけではなくて、きっと他の人も同じように願うと思います。

『魔力の吸収』は魔術師にとって最高の力です。

魔術戦においては無限にも等しい魔術が使えるわけですから。

吸収の能力は魔術師であれば誰もが願う力だと思います。

…と。

考え事をしている間に、翔子が話を続けました。
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