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THE WORLD 作者:SEASONS

4月7日

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深海優奈

で、手続きを終えてからたどり着いたのは試合場Bー2番よ。

ここが今回の私の試合場なんだけど。

対戦相手の姿はまだ見えないわね。

審判の人に少し待つように言われたから、
総魔と一緒に対戦相手が来るのを待つことにしたわ。

…って言ってもまあ、
相変わらず私が一方的に総魔に話しかけてるだけなんだけどね。

そんなふうに時間を潰していると。

しばらくして、一人の少女が試合場に近付いてきたわ。

「ん?」

どこかで見た覚えのある女の子なのよ。

髪を『ポニーテール』にまとめてる女の子。

う~ん。

どこで見たんだっけ?

すぐに忘れちゃうのが私の悪いところなのよね~。

自分でも分かってるんだけど、
忘れちゃうものは仕方がないわよね?

「あの子が対戦相手ですか?」

彼女が対戦相手かな?って思ったんだけど。

「いえ、違いますよ」

審判は首を横に振ってた。

どうも違うみたいね。

だとしたら観客か迷子かな?

そんなふうに思っていると。

別の女の子がポニーテールの子に歩み寄ってきたのよ。

ん?

あれ~?

あの子も見覚えがあるわね。

何となく二人一緒だったような気が…。

って!?

あぁぁ~!!!

そうそう!

確か昨日よ。

図書室だったと思うわ。

いつも総魔が使っていた席にいた子よ!

そこまで思い出した時に、
あとから来た女の子が私に歩み寄ってきたのよ。

「あ、あの…。深海優奈ふかみゆうなと言います。よろしくお願いします」

控え目に挨拶をしてきたこの子が私の対戦相手みたいね。

「私は美袋翔子みなぎしょうこよ。よろしくね♪」

笑顔を浮かべながら握手をしようと思って右手を差し出してみると。

「はい。よろしくお願いします」

遠慮がちに手を差し出した優奈ちゃんが優しく握手を交わしてくれたわ。

うんうん。

見た感じ、良い子よね~。

少し幼い感じだけど。

そこが可愛らしさを引き立てていて、
すっごく可愛い子だと思うわ。

どことなく雰囲気が成美ちゃんに近いものを感じるかもね。

大人しくて、可憐な美少女って感じ?

沙織みたいな清楚せいそな感じとはまたちょっと違うのよね~。

何て言うのかな?

こう…。

守ってあげたいって思うような子なのよ。

母性本能をくすぐる感じかな?

う~ん。

ちょっと違うかな?

でも、似たようなものだと思うわ。

「お互いに頑張りましょ」

「は、はいっ」

微笑む私を見て緊張する優奈ちゃん。

不安そうな表情を浮かべている優奈ちゃんに。

「ちょっと優奈~?そんなに緊張しなくても大丈夫だって」

ポニーテールの女の子が話し掛けていたわ。

「だいじょぶ、だいじょぶ」

「…で、でも~」

応援してくれてる女の子に優奈ちゃんは助けを求めるような視線を向けるわね。

その態度を見て少し気になったんだけど…

もしかして?

これってそういうことなの?

だとしたらちょぴり可哀想なことをしたかもね。

実際にどうかは知らないけど。

ひとまず確認のために何気なく感じた疑問を聞いてみることにしたわ。

「もしかして。優奈ちゃんって試合が初めてなの?」

たぶんそうだろうな~なんて思いながら訊ねてみると。

「あ、はい、そうです。すみません」

優奈ちゃんは不安げな表情で小さく頷いていたわ。

そして何故か謝られてしまったのよ。

別に謝ってもらう理由なんて何もないんだけどね~。

だけど、そっか。

まだ試合は未経験なのね。

でもね?

入学してからまだ一週間も経ってないんだから、
試合を未経験でも別におかしくはないとは思うわ。

たぶん…おかしくない、はずよ。

だって総魔みたいにいまだに講義を受けたことがない生徒だっているわけだし。

試合をしたことがない生徒がいたとしても別にいいと思うのよね。

ただ。

優奈ちゃんとしては初めて挑戦されたことで不安で一杯なのかもしれないわ。

「う~ん。無理そうなら他の人を探すけど?」

初心者を虐めても仕方がないから遠慮しようかな?って思ったんだけど。

「優奈!どうせいつかはやらなきゃいけないことなんだから、ここは思いきって試合をしてみるべきよ!」

ポニーテールの女の子が私の言葉を遮ってくれたわ。

「それにこの人なら良い人っぽいし。きっと大丈夫!」

ちょっと、ちょっと。

この人扱いはひどくない?

これでも一応、先輩なわけだし。

もうちょっと別の言い方があるんじゃないかな?

ってまあ、目の前の女の子達がその事実に気付いているかどうかは知らないけどね。

う~ん。

なんだかちょっぴり面倒臭くなってきたわね。

試合経験のないような子と戦っても意味はなさそうだし。

今回は止めとこうかな?

試合中止を宣言すると黒星が一つ増えちゃうけど。

別に無敗記録を作りたいわけでもないし。

そんな記録に興味もないしね。

「どうしよっか?」

さりげなく総魔に視線を向けてみる。

だけど総魔もこの子達には興味がなさそうな感じだったわ。

「翔子の好きにすればいい」

特に気にした様子もないまま周囲の試合場に視線を向けてるのよ。

うぅ~ん。

本当にどうしよう?

とりあえず、二人に視線を戻してみる。

緊張から抜け出せる様子が全く感じられない優奈ちゃん。

その隣で全力で応援する女の子。

優奈ちゃんは不安そうな表情のまま、私と向き合ってる。

「あ、あの…。」

「ん?」

「私でも、いいんですか?」

「え?あ、うん。私は別に誰でも良いのよ」

というか、わりと本気で誰でもいいと思ってるわ。

それこそ総魔と龍馬以外ならこの会場にいる全生徒と戦っても勝てちゃう自信があるしね。

「どうする?試合する?しない?」

「えっと、その…。『ご迷惑』をおかけするかも知れませんが、それでもよければ…」

ん?

迷惑?

どういうこと?

よく分からないけど。

試合をする気にはなったみたいね。

「試合を受けるっていうことでいいのね?」

「あ、はい。精一杯頑張ります」

申し訳なさそうに頭を下げる優奈ちゃんだけど。

その行動の意味がよくわからないわ。

そして何だかよく分からないまま。

とりあえず試合場へと足を進めることになったのよ。
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