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THE WORLD 作者:SEASONS

4月6日

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永遠の野望

《サイド:美袋翔子》

さてさて。

なんだかんだで午後8時になりそうな時間に今日も沙織のお家にたどり着いたわ。

ここへ来る理由はもちろん一つ!!

成美ちゃんに会えるからよ!

考えるだけで楽しくなってくるのよね~。

あぁ、成美ちゃん、どうしてるのかな~?

ここに来るといつもいつも頭の中が成美ちゃんで一杯になるわ。

総魔と離れた寂しさを忘れちゃうくらい、
成美ちゃんに会える事が楽しみで仕方がないのよ。

成美ちゃん、成美ちゃん、成美ちゃん。

成美ちゃん、成美ちゃん、成美ちゃん。

あぁ~もう~。

成美ちゃんが好きすぎて待ち遠しいわね。

今すぐにでも成美ちゃんを抱きしめたくて両手がうずうずしてくるわ。

早く~早く~。

成美ちゃんを抱きしめさせて~。

なんて。

ちょっとした禁断症状さえ感じていると、
先行する沙織が玄関の扉を開けてくれたわ。

「ただいま」

玄関を開けて中に入っていく沙織。

そのすぐ後ろから玄関を覗き込んでみると、家の中から明るい声が聞こえくる。

「おかえりなさい!」

聞き慣れた成美ちゃんの声が玄関に届いてきたのよ。

まあ、いつも通りだからあまり大きな声とは言えないけどね。

それでも私と沙織には確かに聞こえたわ。

成美ちゃんの声を私達は絶対に聞き漏らさないからよ。

どうしてって?

成美ちゃんの声が聞きたいからに決まってるでしょ!!

ただそれだけなのよ。

だって、大好きなんだもん。

当然でしょ?

危なっかしい足取りだけど、
それでもしっかりと前に進もうとする成美ちゃんの可愛らしい声が私達にはちゃんと聞こえたわ。

だから私は笑顔になれるの。

今日も成美ちゃんに会えたから。

今日も成美ちゃんの声が聞けたから。

それだけで私は幸せを感じられるのよ。

いつものように杖を支えにしながらゆっくりと歩みを進める成美ちゃんの姿を見ているだけで、
私の心は幸せで一杯になれるの。

目の見えない成美ちゃんが、私達に向かって歩いてくれてるのよ?

これ以上の喜びなんて他にはないと思う。

そう思えるくらい私は成美ちゃんの気持ちが嬉しくて、心地よく感じているの。

「ただいま!成美ちゃん」

「あっ!翔子さん!!おかえりなさいっ」

精一杯の笑顔を浮かべてくれる成美ちゃんの嬉しそうな表情が見れただけで、
今日一日の疲れが全部吹き飛んでいくくらい幸せに思えるわ。

本当にもう、ただただ最高の笑顔に見えるのよ。

「成美ちゃんは今日も元気ね~」

「えへへへ~。そうですよ。翔子さんが来てくれるのをずっと待ってたんです。だから、一緒にご飯を食べてください。」

「あははは、私が来るのを待っててくれたの?」

「はい♪」

即答して笑顔を浮かべてくれる成美ちゃんを見ているだけで、
心の中を暖かい気持ちが広がっていくわ。

やっぱり妹っていいなって思う。

ああ~。

妹が欲しい。

ううん。

成美ちゃんが欲しいの。

わりと心の底からそう思うわ。

「それじゃあ、お言葉に甘えようかな」

成美ちゃんの体に手を伸ばして軽く抱きしめてみる。

ただそれだけで成美ちゃんの温もりが伝わってきちゃう。

はあ…。

幸せすぎる~。

って。

ん?

「くんくん。良い匂いがするわね。成美ちゃんお風呂に入った?」

「あ、はい。ついさっき…」

あ~。

やっぱりね。

「何だか癒されるかも~」

少し力を込めて、体をギュッと抱きしめる。

それだけで成美ちゃんは恥ずかしそうに顔を赤く染めてしまう。

やりすぎたかな?

そう思ったから、成美ちゃんから手を離したわ。

「ごめん、ごめん。痛かった?」

「い、いえ、大丈夫です」

照れた表情を見せる成美ちゃんが可愛くてもう一度抱きしめたくなったけれど。

「………。」

隣にいる沙織の視線がちょっぴり痛かったから諦めたわ。

妹で遊ぶんじゃない!って言いたそうな、そんな視線なのよ。

怒ってる訳じゃないけれど。

玄関でじゃれてる場合でもなさそうね。

早く上がれと言わんばかりの視線を浴びて、私は大人しく食卓に向かうことにしたわ。

まあ、沙織はそんな言い方はしないんだけどね。

…たぶん。

だけど少しでも成美ちゃんの負担を減らす為に、
出来るだけ早く休めるところへ行きたいんだと思う。

沙織のそういう仕種を見ると、お姉ちゃんなんだな~って思う。

やっぱり姉妹っていいわよね。

沙織と成美ちゃんを見ているといつも思う。

羨ましいな~ってね。

いっそ、この家の娘になりたい!って思うことも多々あるわ。

それぐらい羨ましいのよ。

あ、でも、だからって別に私の家に不満はないわよ?

ちゃんと自分の家にも時々帰ってるし。

両親と過ごす時間もそれなりに幸せだと思ってる。

でもね。

それでもね。

成美ちゃんのような妹が欲しいっ!!!って思うの。

その気持ちがある限り、私は毎日ここへ来るわ!

そしてたった一つの小さな願いを叶えるの。

私の永遠の野望。

それは本当にささやかな願い。

だけど本気で願う想い。

いつの日にか。

一度だけでいいから。

成美ちゃんにね。

翔子さん、じゃなくて。

お姉ちゃんって呼ばれたいのっ!!!!!!

ただそれだけの願いなのよ。

だけどこれは単純に言わせるだけじゃダメなの。

成美ちゃん自身に心から言ってもらいたいの。

翔子お姉ちゃん、ってね。

うああああ~。

考えるだけで身悶えるわね。

だけど本気で願ってるの。

だからその日が来るまで。

私は絶対に諦めないわっ!!!
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