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THE WORLD 作者:SEASONS

4月6日

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研究部門

《サイド:常盤沙織》

さて、と。

魔術研究所に戻ってきました。

目的地はもちろん研究所の中にある『治療魔術研究室』です。

他にも似たような部門は幾つかあるのですが、
私がお世話になっているこの研究室は主に病気の治療を目的とした研究部門になります。

病院で言えば『内科』になるでしょうか?

外科や歯科に属する研究室もあるのですが、
私の目的は目の治療になりますので神崎さんが室長を務める治療魔術研究室に通わせていただいています。

本来なら眼科に相当する研究室に通うべきだとは思うのですが、
残念ながらジェノスの魔術研究所には専門の研究室が存在していません。

別の町の学園ならもっと大規模な医療設備の整った研究所もあるのですが。

そこまで通うことはできませんし。

成美を置いてジェノスを離れるわけにもいきません。

そのため。

国内随一と言われるほどの名医である神崎さんがいる研究室にお世話になっています。

共和国最高の頭脳と言われる黒柳所長と共和国最高の魔術医師と呼ばれる神崎さん。

その二人が揃うジェノスの魔術研究所ですので、
下手に他の町に移住するよりはジェノスで研究を続けるほうが良いと私は思っています。

なので、午後も研究室に戻ってきました。

今後に関してはまだまだ色々と考えなければいけないことがあるのですが。

それでもここにいる間だけは余計な事を考えずに成美の目のことだけを考えるようにしています。

大事な研究を行っている研究室の一画をお借りしているからです。

中途半端な気持ちで中に入るのはとても失礼だと思います。

だからここにいる間だけは彼や龍馬や特風のことを考えずに、
成美の目を治療する方法だけを考えるように心がけていました。

だからこそ、と言うべきでしょうか?

この研究室は私にとって心安らげる場所でもあります。

誰かの期待や責任を感じることなく。

純粋に自分の研究だけに集中できる場所だからです。

私にとっては唯一と言って良いほど、自分自身の為に行動出来る場所でもあります。

最終的には成美の為なのですが、それを望む自分の為だからです。

私が私として存在することの出来る場所だから。

私はこの研究室が大好きでした。

「失礼します」

『ガチャッ…』と扉を開いて中に歩みを進める私を職員の皆さんが温かく出迎えてくれます。

そんな些細なことにさえ嬉しさを感じながら、
まっすぐに神崎さんへと歩み寄りました。

「ただいま戻りました」

「ああ。沙織君か、お帰り。しっかりご飯は食べたか?」

「はい。美味しく頂きました」

「そうかそうか。それは良いことだ。それでは、午後も頑張って研究を進めなさい」

「はい。ありがとうございます」

神崎さんにお礼を言ってから自分の机へと向かいます。

先程出て行った時と全く同じ状態ですね。

当然と言えば当然なのですが、
綺麗に片付いていることで気持ちよく研究が出来る状態です。

整理された机の上に改めて研究資料を広げてから研究を再開することにしました。

まだまだ時間はかかると思いますが。

いつの日にか成美の目が治せるのなら…。

そして成美の喜ぶ顔が見られるのなら…。

私はこの人生を捧げることさえいといません。

大切な成美の幸せの為に…。

それだけがただ一つの私の目的です。
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