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THE WORLD 作者:SEASONS

4月6日

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苦行と弊害

「今のって、ただ光が指すだけの魔術なの?」

「ああ、そうだ。明かりを生む魔術は拘束でも禁じられていないからな。問題はないはずだ」

確かに。

光源を生み出す魔術は禁止されてないわ。

学園内は比較的明るいほうだけど。

それでも夜になれば暗くなるし。

明かりがあったほうが便利なのは間違いないしね。

だから回復魔術以外で使用が許可されてる数少ない魔術の一つなのは私も知ってるわ。

これでもね。

一応、校則は全部暗記してるのよ。

…って言うか。

特風に入る前に沙織に暗記させられたのよ。

あれはなかなかの苦行だったわ。

生徒手帳の文面を一字一句間違えなく覚えさせられたのよ?

風紀委員として当然の努力だとはしても、
個人的には成績を上げるよりも辛かった覚えがあるわね。

「ん~。結構便利かも、あとで私にも教えて♪」

「…ああ。覚えられるならな」

ん?

覚えられるなら?

「そんなに難しいことなの?」

「いや。魔術の格としては初級だからな。簡単なはずだ」

「だったら大丈夫じゃない?」

「…いや、どうだろうな」

ん~。

なんでそんなに疑問が続くの?

「もしかして私のことバカにしてる?」

そうとしか思えないんだけど?

「いや、そうじゃない」

総魔はすぐに否定してくれたわ。

「だったらどうして…」

「今は無理だと思うだけだ」

ん?

今は?

「どういう意味?」

「翔子は現在、光属性を封印してる身だからな。光源を生み出す魔術さえ使えないはずだ」

えっ!?

って!?

ええええええええええええっ!!!!

「うわぁ~」

すっかり忘れてたけど…。

確かにそうなのよね?

初級魔術だから簡単なんて思ったけど。

そういう問題じゃないのよね?

今の私って光属性の魔術は一切使えないのよね?

まさか能力を封印した弊害がこんなところで発覚するなんて思ってなかったわ。

「はうぅぅぅ…。まさか明かりすら灯せないなんて…」

「封印を解除するまでの間だけだ。それほど落ち込むことではないだろう」

「まあ、それはそうなんだけどね…。」

そうなんだけど。

落ち込んじゃうのよ。

「で、でもでも。覚えることはできるわよね?」

「たぶんな」

「じゃ、じゃあ、教えくれる?」

「ああ」

よしっ!

それなら問題ないわ。

使えなくても総魔が教えてくれることに意味があるのよ。

ちっちゃなことだけどね。

総魔と約束出来たことが嬉しいの。

だから笑顔を浮かべたまま沙織に視線を向けてみる。

人込みを掻き分けながら歩みを進める沙織に私からも駆け寄りたいけど。

総魔に動く気配がないから、
はぐれないように沙織が来るのを待つことにしたわ。
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