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THE WORLD 作者:SEASONS

4月6日

233/4820

手を…

…そして…。

10分とかからずに食堂にたどり着いたわ。

校舎から食堂って、結構近いのよ。

屋上から地上までは遠いけどね。

でもまあ、着いちゃったことで食堂に入るわけだけど。

一歩、中に踏み出すだけでため息が溢れ出るわね。

丁度お昼時ということもあって、
すでに食堂は数え切れないほどの生徒であふれかえっていたからよ。

校舎のすぐ隣に建てられていて、広大な面積を誇る食堂なんだけどね。

軽く3000人は入れるはずなのに今はとんでもない混雑を見せているわ。

「相変わらずの戦場ね、ここは」

ため息混じりに呟いてみるけれど。

総魔は気にした様子もないまま目的の場所へと歩きだしちゃう。

「あっ…」

置いてかないでよっ!

はぐれそうになったことで、
人目を気にすることさえ忘れて、
慌てて総魔の手を捕まえてしまったわ。

うあ~。

これはマズいわね…。

自分から手を繋いでおいて考えるのもどうかと思うけど。

これは結構恥ずかしい状況よね?

そっと握りあう総魔の手の温もりにドキドキしちゃうのよ。

でも…ね。

この状況で手を離すと、二度目はない気がするわよね?

まだまだその勇気はないし。

総魔はそこまで気を使ってくれそうにないし。

だから手を離さないためにはこのままでいるしかないのよ。

ちょっぴり恥ずかしいけどね。

せっかく手をつないだんだし。

変に慌てるよりはこのままの方がいい気がするわ。

…なんて。

そんなことを考えながら総魔に手を引かれながら歩みを進めてみる。



だけど、やっぱりちょっと恥ずかしいかな~。

大勢の人達の前で総魔と手を繋いで歩いてるのよ?

考えるだけで、顔が赤くなって来るわ。

うぅ~。

どうか…。

どうか知り合いが見てませんようにっ!!

心の中で、全力で願ってみたわ。

ま、まあ、別に見られても困ることじゃないんだけどね…。

ただ、恥ずかしさは永久的に消えないと思う。

でもね、でもね。

どれだけ恥ずかしくても繋いだ手を離すなんて絶対にしたくないの。

この小さな幸せはいつまでも続けていたいのよ。

誰かに見られているかもっていう緊張と、
このまま手を繋いでいたいという願いが混ざり合って複雑な心境になっちゃうけど、ね。

だけどせめて…。

せめて沙織と龍馬と合流するまではこのままこうしていたいって思うの。

そんな私の願いが天に通じたのかどうかは知らないけど。

知り合いに会うことはないまま、時間だけが流れていったわ。
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