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THE WORLD 作者:SEASONS

4月6日

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後悔しないために

《サイド:御堂龍馬》

気がつけば一晩中、考え事をしてたようだ。

もやもやとした気持ちのせいで全く眠れなかったからね…。

考えないようにしようと思っても、昨日の出来事を考えてしまったんだ。

彼との試合。

そして、そのあとの出来事。

右手の人差し指にある封印の指輪に視線を向けてみる。

原始の瞳と指輪に関する書物は彼が持っているから今は確認する事が出来ないけれど。

それでも確かなことが一つだけある。

それは力を失ったということだ。

これまで追求し続けて、追い求めてきたはずの支配の能力が失われてしまったんだ。

今まであったはずのものが突然なくなってしまったこと。

たとえそれが自分の意思であったとしても、喪失感を感じてしまう気持ちはあった。

だけど…。

仮に力を失っていなかったとしても、
僕の力はそれほど価値がなかったのかもしれない。

彼との試合において僕の能力はほとんど発揮されなかったからね。

僕の能力は本来なら全てを支配して押さえ込む力だったんだ。

どんな能力も僕の前では効果を失うはずだった。

だから僕が本気になれば、
あらゆる能力は僕の支配下になって術者本人へと牙を向くはずなんだ。

それなのに。

彼に対して僕の力は一切効果を発揮しなかった。

今までなら真哉でさえも手を焼いて敗北を続けてきた力なのに、
支配の特性が彼にだけは通用しなかったんだ。

実力が拮抗しあっていたせいで、
互いの能力が相殺されてしまったことは理解できる。

だけどね。

それでも、通じなかったという事実が悔しいと思うんだ。

だから僕は込み上げてくる悔しさを押さえ込む為に必死に拳を握り込んだ。

今はもう認めるしかない。

僕は負けたんだ。

結果は完敗。

それは誰の目にも明らかな敗北だ。

彼は実力を発揮したけれど、僕は実力を発揮できなかった。

その違い。

それこそが僕と彼との決定的な実力差で、
僕が乗り越えなければならない壁なんだと思う。

実力が拮抗しているのなら、あとは気力の問題なんだ。

諦めないという気持ちが重要になる。

僕の一撃によって、彼も一度は倒れていた。

だから決して僕が弱いというわけじゃないはず。

僕の攻撃はちゃんと通用するんだ。

だけど、彼は立ち上がった。

決して諦めることなく、最後まで戦い抜く覚悟を見せた。

それが、それこそが彼の強さだと思う。

彼は心の強さによって勝利を勝ち得た。

もちろん僕も気持ちで負けるつもりはない。

だけど、結果的に僕は敗北した。

彼を押しきれなかったんだ。

最後の最後で彼の力に飲み込まれてしまった。

その事実は認めようと思う。

だから負けたこと自体に悔いはない。

悔いがあるとすれば、それは力を出しきれなかった自分自身の弱さに対してだ。

だから僕は出直したいと思う。

僕自身の心を鍛えるために。

そして再び彼と全力で戦えるように出直したいと思うんだ。

もう一度彼に、僕の力を認めてもらうこと。

それが今の僕の正直な気持ちなんだと思う。

だから僕は彼や翔子と同じ道を選んだ。

今ある力を捨てて、新たな力を求めて前に進む。

その過程で僕は本当の強さを手に入れたいと願う。

単純な能力差ではない強さだ。

魔術の特性や威力なんかじゃなくて、
勝敗に関係なく、悔いのない戦いが出来るそんな強さが欲しい。

そう思うからこそ僕は最後まで諦めないことをこの指輪に誓ったんだ。

いつの日にか再び彼と戦う日が来たら。

僕はもう一度、全力で戦おうと思う。

もう二度と後悔したくないから、今度こそ僕が勝つ為に、強くなろうと思うんだ。
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