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THE WORLD 作者:SEASONS

4月5日

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ことごとく

《サイド:美袋翔子》

理事長室を出たあと。

私達は4人揃って校舎を出たわ。

そして学園の中庭にたどり着いたの。

「ん~!やっと終わったわね~」

精一杯の背伸びをしてからため息を吐いてみると。

「ふふっ。そうね。」

私の行動を見ていた沙織がいつものように微笑んでくれていたわ。

「何だかあっという間だった気がするけど、とても長かった気もするわね」

う~ん。

確かに。

でも、こうして終わって見れば、あっという間だったかな?

まあ、どっちでもいいとは思うけどね。

だけど個人的にはあっという間だったと思うわ。

こんなにも時間の流れが早く感じたのは初めてかも。

色々と思うことはあるけどね。

時間の流れが早く感じた一番の理由は、
総魔が私のところまで予想以上の速さで迫ってきたからかな?

あの時ほど時間の流れが怖いと思ったことは今までの人生の中で一度もないわ。

でもね~。

それもまあ、今となっては良い思い出かな?

試合があったから総魔と仲良くなれたのよ。

もしもあの試合で逃げ出していたら、きっと総魔に冷たい目で見られてたと思う。

きっと試合の後に治療してもらうことはなかったでしょうね。

むしろ魔力を全て奪われて、
そのあとの試合でも沙織や真哉は何もかも奪われてたんじゃないかな?

実際にどうだったかはわからないけど。

もしもあの試合で逃げ出していたら、
今の私達は全く別の状況にいたんじゃないかな?

きっと総魔と対立する関係で、総魔を困らせていたんじゃないかな?

それでも総魔は気にせずに勝ち続けるんだろうけど…。

それはそれでちょっぴり寂しい展開よね?

総魔と対立する関係なんて考えたくもないわ。

だけどそれは命を助けられた恩があるからじゃないわよ?

それも理由の一つではあるけど。

総魔に憧れてるから総魔と仲良くなりたいって思うの。

だから対立する関係にならなくて良かったって心から思うわ。

それにね。

試合のあとも総魔のためにって思って努力してたことが時間が過ぎるのが早かった理由かもしれないわ。

何気に結構忙しかったのよ?

一々説明して総魔に恩を着せるつもりはないけどね。

でも…。

総魔はどう思ってるのかな?

この5日間をどう感じてるのかな?

こっそり総魔の顔を覗き込んでみる。

実際には入学式当日は何もしてなかったから、
事実上たったの4日で頂点まで上り詰めたことになるのよ。

それがすごく凄いことだと思うんだけど。

総魔の表情からは何も分からないわ。

総魔は何を考えてるのかな?

気になっちゃう。

だけど、どう話しかければいいのかが分からないのよね~。

ずばっと聞いちゃえれば話が早いんだけど。

否定的な発言を聞きたくないって思う気持ちもあって上手く話を切り出せないのよ。

嫌われたくないって思う気持ちがあるせいで色々と考え過ぎちゃうの。

だからかな?

どうしようか迷っていると。

総魔は私の視線に気付いてくれたみたいで、ホンの少しだけ微笑んでくれたのよ。

「そうだな。僅か数日だったが良い経験が出来たのは確かだ。それだけでも学園に来た価値はあったと思う」

うんうん。

端的な感想よね。

総魔らしい発言だとは思うわ。

だけど、ね。

そういうことを聞きたいわけじゃないのよ。

別に間違ってはないけど、もう少し私達の事にも触れてほしいって思うの。

だから、一応、確認してみることにしたわ。

「それだけ?」

他にないか聞いてみる。

だけどなかなか思うようにいかないみたい。

「今はそれだけだ。色々と思うことはあるが、俺の目的はまだ果たされていないからな。全てが終わるまで過去を振り返るのは早いだろう」

うう~。

そういうことを聞いてるわけでもないのよね~。

薄々気付いてはいたけど期待した答えは返って来なかったわ。

でもでも~。

それを言い出すなら、そもそも総魔の目的って何なの?って感じよね。

総魔が何を目的にしているのか私達は知らないのよ。

さっき理事長に対して復讐って言っていたことは覚えてるけど。

だけどきっとそれも聞いちゃダメなんだよね?

聞いても何も答えてくれないんだよね?

多くを語らない性格とかそういうことじゃなくて、多分、誰にも話さないんだと思う。

それでもね。

総魔の過去に何があったのかを知りたいって思うの。

でもね。

それは聞いてはいけないことなんだとも思う。

誰にだって話したくないことはあるだろうし。

無理に触れればきっと総魔は私達から離れて行ってしまう気がするのよ。

だからかな?

私だけじゃなくて、沙織も龍馬も何も聞かなかったわ。

多分、二人も私と同じ事を考えてるんだと思う。

決して触れてはいけない話。

それは総魔の本当の目的。

知りたいという気持ちは大きいけれど、
決して聞いてはいけない話だと思うから、だから私は我慢したの。

本当はどうしようもなく聞きたいけどね。

理性を振り絞って我慢したわ。

「ねえ、総魔?」

話しかける私に総魔は視線を向けてくれる。

今はまだ、ちゃんと私を見てくれてる。

ただそれだけのことが嬉しいと思えるから、これからもこういう関係でいたいと思うの。

「これからも総魔は学園に居るんだよね?」

「ああ、そうだな。そのつもりではいる。力を失ったということもあるが、それ以上に自分自身の本当の力を知りたいという気持ちもあるからな」

その返事も私の期待とは違うけど、それでも今は良いと思えるの。

だって総魔は学園にいるんだから。

どこにもいかないんだから。

「そっか♪それじゃあ、これからも一緒に居られるんだよね?」

期待を込めて尋ねてみたんだけど。

「どうだろうな?」

私の期待にことごとく反して、
総魔はとても簡単な疑問を言葉にしてしまうのよ。

「今でこそ番号は近いが、それぞれに勝ち進めば進むべき会場も変わってしまうはずだ。」

わりと本気で聞きたくない言葉なのに、あっさりと言っちゃうのよね~。

「今後も一緒ということはないだろう」

うぅ~。

それはそうなんだけど~。

そういう事を聞きたいわけじゃないのよっ。

う~ん…。

どう説明すれば良いのかな?

本気で悩んじゃうわね。

だからかどうかは分からないけれど、
悩む私の代わりに龍馬が総魔に話しかけてくれたわ。

「翔子が言いたいのは、番号どうこうよりもこうしてみんなで集まって話をすることが出来るかどうか?っていうことだよ」

「ああ、そういうことか」

総魔は私に視線を向けてくれてる。

だけどその目は何の感情も感じさせなかったわ。

優しさも、冷たさもないの。

「何も変わりはしない。今までと何もな」

龍馬の質問に答えた総魔の言葉が何を意味するのか、正直私には分からない。

今までと何も変わらない、っていう言葉には『どちらの意味』も含まれている気がしたから。

だから私にはどちらが正しいのかが分からなかったわ。

あまり人と関わる事を望まない総魔。

それでも時々、私達に微笑みかけてくれる総魔。

総魔はどっちの意味で、その言葉を口にしたのかな?

色々なことに疑問を感じるけれど。

総魔と視線を合わせるだけで何も言えなくなってしまう。

聞きたいけれど、本当の事を聞くのが怖い気がするの。

だから私はさりげなく沙織に視線を向けてみたわ。

沙織から聞いてくれないかな?って、そんなふうに助けを求める視線を向けてみると。

私の気持ちに気付いてくれた沙織が私の代わりに総魔に話しかけてくれたのよ。

「天城君。これからも…」

話しかける沙織に振り返る総魔。

その総魔に沙織は笑顔で問い掛ける。

「これからも、お友達でいられるかしら?」

仲良くなりたいと願う沙織の問い掛けに。

「どうだろうな…。」

総魔は少しだけ返事に悩むような表情を見せてた。

「俺には俺のやるべきことがある。友達かどうかは知らないが、進むべき道が同じであれば共に進むこともあるとは思う」

総魔なりの遠回しな表現だけど、それが総魔の本当の気持ちなんだと思う。

今はまだ友達と呼んでいいほど心を開いてないっていうこと。

総魔の言葉からはそう感じてしまったの。

だけど、一緒にいることを拒むつもりはないんだと思う。

だったら!!

気合いを込めて心の中で誓うわ。

私の目標は総魔の心を開かせること。

総魔に心から友達だって言わせたいし。

ちゃんと私達の事を見てもらえるようになりたいの。

そしてこれからも私達と一緒にいる事が楽しいって思ってもらえるようになりたいって思うの。

そんなふうになれればいいな。

それが今の私の正直な気持ち。

だからその為に頑張ってみようと思う。

そしていつかは…。

いつかは総魔の『彼女』に♪

なんていう気持ちが…

無い事も、無い事も、無い事も、無い事も、無い事も、無い事も、無い事も…

無いんだけどね~。

だけど、今はそこまでは望まないわ。

…というか望めないわよね?

魔術師としての実力だけは総魔に認めてもらってるけれど、
一人の女性としては見てくれていないと思うから。

だからまずは…『お友達』から!!
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