挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月5日

185/4820

決着

《サイド:天城総魔》

これが現時点での最大出力だ。

今だかつてないほど強力な一撃となったアルテマ。

今回はあらゆる魔術をその一撃に集約して、およそ60もの魔術を同時展開していた。

その破壊力は翔子と比べて4倍であり。

北条と比べても3倍近い魔力を込めた一撃だ。

沙織に放った一撃と比べても5割増程度の威力はあるだろう。

それほどの莫大な威力を放つために魔力の大半を消費してしまうことになった。

その結果として検定会場そのものが崩壊状態となってしまったものの。

御堂であれば死にはしないだろうと考えている。

もちろん無事でいられるとも思っていないが御堂を試合場に沈めた実感はあった。

多少の抵抗は感じたが間違いなく直撃しただろう。

となれば。

あとは結果を確認するだけなのだが。

御堂以上の破壊力によって先程以上の粉塵が周囲を舞い。

御堂の姿が目視できる状態ではなかった。

それでも20秒ほどが過ぎた頃になってようやく周囲に音が戻ってきたことで、少しずつだが状況判断がしやすくなっていく。

すでに地震は完全に止まっている。

アルテマの発動に魔力を優先したために地震へ回していた魔力が失われて会場の揺れが収まったからな。

今の攻撃で魔力が半分以下になってしまったが、対する御堂はどうなのだろうか?

破壊の余波による粉塵が徐々に薄まり。

御堂の姿が見え始める。

その瞬間に観客達から歓声が上がった。

御堂はまだ倒れていなかったからだ。

聖剣を手にしたまま、立ち続けている。

その姿を見た観客達が声援を送っているのだが、肝心の御堂は動かない。

いや、動けないのかもしれないな。

倒れていないと言えば確かにそうだろう。

だが、それがそのまま無事や安全を示すわけではない。

微動だにしない御堂の状況によって誰もがすぐに気付くことになる。

倒れてはいないが、動く気配すらないからな。

聖剣を支えにした状態でかろうじて姿勢は崩していないが。

その状態のまま一歩も動く気配を見せない御堂は…

すでに限界を超えていた。

「ここまでだな」

ゆっくりと御堂に歩み寄る。

それでも御堂は動かない。

体が動かず。

声も出せず。

目を逸らすことさえできない。

それでもまだ意識を失わずに戦う意志を示せるその覚悟だけは認めようと思う。

瞳に宿る光が失われていないことを確認した上で、
御堂の目前まで歩みを進めてからソウルイーターを振りかざす。

「この一撃でお前は眠りにつくことになるだろう」

逃げることはできない。

抵抗することさえできない。

それでも強い意志を宿す御堂の瞳はしっかりとこちらの姿を捉えている。

「何か言い残す事はあるか?」

最後の言葉を問いかけてみると、御堂はかすれる声で囁くように呟いた。

「…君の、勝ちだ…。悔しいけど、敗北を、受け入れるよ…」

弱々しく言葉を紡ぐ御堂だが、
身動き一つ取れない状況にあっても瞳の輝きは失われていなかった。

御堂の心はまだ折れていないようだ。

御堂の覚悟は見せてもらった。

だからこそ言っておこう。

「お前は強かった。俺も一度は敗北を実感したからな」

御堂のグランド・クルスを見た瞬間に背筋が凍りつくような感覚を感じていた。

あの瞬間だけは本気で敗北を感じ取っていた。

今回は上手く立ち回れたから耐えしのげたが、今後も上手くいくとは限らない。

状況次第では俺が地を這う日もあるだろう。

「例えここで敗北したとしても、諦めずに強くなれ。その意志の強さが何も変わらないのであればもう一度立ち上がれ。そして今度こそ俺を越えて見せろ」

ただ一人。

俺に恐怖を感じさせてくれた相手へのせめてもの礼儀として声をかけてから御堂に魔剣を振り下ろす。

その瞬間。

御堂は確かに微笑んだ。

「…いつか必ず…」

再戦を誓う御堂の想いがその一言から感じられた。

いい覚悟だ。

密かに微笑みつつ。

いつの日か来るであろう再戦の日を楽しみに思いながら魔剣の刃で御堂を斬る。

『ズバンッ!!!』

物理、魔力、精神。

全てを切り裂かれた御堂は苦悶の表情を浮かべながら倒れ込む。

「………。」

悲鳴を上げる力さえないまま瞬時に意識を失った御堂の手から聖剣が消える。

魔力が失われたことで聖剣エンペラーソードが消滅し。

御堂の体がゆっくりと崩れ落ちていく。

そして崩壊した試合場に御堂が倒れ込んだその瞬間。

試合の勝者が確定した。

これで目標達成だ。

生徒番号1番、獲得。
ここで第1話終了になります。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ