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THE WORLD 作者:SEASONS

4月5日

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互角

《サイド:天城総魔》

『ガキイイン!!!!!!!!』

一際大きな斬撃音が試合場に響き渡り、俺達はそのまま静止した。

強引に魔剣を押し付けて御堂の行動を押さえ込むことに成功したからだ。

「どうした?徐々に動きが鈍くなっているぞ?」

「くっ!まだこれほどの力が残っているのか」

強引に押さえ込まれたことで焦りを感じる御堂だが、
俺の目的はこのまま御堂を切り伏せることではない。

その前にどうしても確認したいことがあるだけだ。

剣をぶつけ合う状態のままで、一度だけ御堂にしかけることにする。

「一つ、聞きたい事がある」

突然の質問に驚いた様子の御堂だが。

「…なんだい?」

そこで気を抜くようなことはせずに両手に力を込めながら聞き返してきた。

あまり余裕があるようには見えないが、
会話の意思を見せた御堂にひとまず問いかけることにした。

「大したことではないが、少し気になっただけだ。かつて研究所でその剣を見た時。俺は正直に言って驚いた。これほどの力が存在するのか?とな。そして俺では到底敵わない力だと感じていた。だが、今は違う。その剣からはあの時ほどの威圧感が感じられない。まさかとは思うが、まだ手加減しているつもりなのか?」

御堂の聖剣からは研究所で見ていた時ほどの威圧感を感じなかった。

決して弱いとは思わないが、恐るほどには思えない。

だから、一つの可能性として御堂が様子見で戦っているのかと考えた。

そしてその事実を確認するために問いかけてみたのだが…。

どうやらその考えは間違いだったようだ。

「………。」

こちらの問い掛けに対して、御堂は僅かに唇を噛み締めているのが見えたからだ。

はっきりとは答えないものの。

驚きと同時に屈辱を感じているような表情だったように思える。

これはつまり…。

御堂は手加減などしていないということだ。

本人としては全力と言ってもいい攻撃をしているつもりだったのかもしれない。

だが、俺はそんなふうに感じなかった。

…だとすれば。

考えられる理由は一つしかない。

御堂が手加減しているのではなく、俺が強くなったということだ。

おそらくはすでに学園1位の御堂龍馬に匹敵するだけの力を手に入れていたのだろう。

自他ともに認める最強の地位にいる御堂だが、
俺はその地位にまで上り詰めていたのかもしれない。

その事実に御堂も気付いたのだろうか?

真剣な瞳で俺を見つめている。

そして悔しさをあらわにしながら、ようやく口を開いた。

「悔しいけど手加減なんてしていないさ。僕は全力で攻撃してるからね。だけどそれがそうだと感じられないんだとしたら、それは君がそれだけ強くなったということだよ」

御堂は素直に俺の成長を認めてくれた。

そして一旦後退して距離をとった。

「僕の力を見ても何も感じないほど、君が強くなったということだよ」

苦々しげな表情で宣言する御堂の発言が俺の油断を誘うための虚言だとは思えない。

おそらく互いの実力を理解した上で俺の実力を認めているのだろう。

「確かに、噂できみは測れないようだね。もう今のきみは噂以上だよ」

剣を構え直して俺との距離を計っている。

今の会話によって俺への警戒心を高めたようだ。

実力はほぼ互角だが、精神的にはこちらが優勢になったかもしれない。

「………。」

微かな沈黙が訪れる中で、今度は御堂から話しかけてきた。

「正直、驚いているよ。まさかこれほど成長しているとは思ってなかったからね」

御堂も驚いているようだが、
この流れは俺にとっても予想外の状況だった。

今はまだ俺の方が実力的に劣っているはずだと考えていたからだ。

だが、現実はそうではないらしい。

御堂の言葉を信じるのなら、すでに同程度の力を持っているということになる。

どうなのだろうか?

まだ答えは出ていないが、確かにそうなのかもしれない。

そうでなければこの攻防に納得出来ない部分があるからだ。

全てを支配するといった龍馬の聖剣とあらゆる魔力を吸収する俺の魔剣。

互いに反発する二つの力がぶつかり合ってもどちらの能力も発動しないのは互いの魔力が互角である証だ。

どちらか一方の威力が高ければもう一方の力は飲み込まれてしまうはずだからな。

なのに。

そうならずに斬り合う事が出来るというのは、
それだけでも俺が御堂の実力に追いついているという証でもあるはずだ。

「つまり、互角ということか?」

「そうだね。それ以外には考えられないだろうね」

御堂が素直に認めたことで、
魔剣を持つ手に力を込めて改めて力を解放することにした。

ルーンでは互角のようだ。

だとしたら全力で攻撃するしかないだろう。

御堂を制するために圧縮魔術を展開する。

「ホワイト・アウト!エンジェル・ウイング!」

魔術名の宣言と共に二つの魔術が展開されて、
俺を包み込むように霧の結界が生まれる。

そして背後に天使の翼が現れた。

「ここからが本番だ」

霧の中で魔剣を構える俺の姿を見て、
御堂は聖剣を片手に持ち直して空いた右手をこちらに向けて突き出してきた。

そして一瞬の輝きが御堂の右手を包み込み。

御堂も圧縮魔術を展開した。

「ジャッジメント!!」

圧縮されていた魔術の開放によって御堂の右手の先に幾十もの小さな星のきらめきが生まれて円を描くように回り始めた。

そのまま回転する光は徐々に円の大きさを増していき、
僅か3秒ほどで御堂の体を覆い隠すほどの大きさになる。

「さあ、準備はいいかな?」

尋ねる御堂を静かに眺める。

これから何が起こるのか?

魔剣を盾代わりにして防御の姿勢をとると、御堂が攻撃を開始した。

「始めるよ」

御堂の力が解放される。

「裁きの力!!!」

御堂が叫んだ瞬間。

星のきらめきがこちらに向かって降り注いだ。

幾百!

幾千!!

幾万!?

次々と降り注ぐ星のきらめきは極小の光りながらも膨大な数の力で降り注ぐ。

その破壊力は聖剣の一撃には遠く及ばないものの。

一つ一つの破壊力が上級魔術に匹敵するだろう。

それほどの高威力の散弾によって霧の結界を力付くで破壊して吹き飛ばしてしまう。

「くっ!」

それでも魔術は止まらない。

結界を失い。

防御が低下した俺に対してなおも続く星の散弾によって、
防御が間に合わずに体が吹き飛ぶ結果になってしまった。

「づあああああっ!!!!」

連続でシールドを展開することで被害を最小限に止めようとしてみるものの。

展開と同時に突き破られる結界は大して意味をなさなかった。

試合場の端にまで吹き飛ばされてしまい。

周囲の防御結界に激突してから試合場に倒れ込んだところでようやく御堂の魔術が途切れた。

「くっ…!?」

何とか体勢を整えて立ち上がり。

霧の結界によってかろうじて吸収出来た魔力を即座に変換して傷の治療を行う。

万が一のために回復魔術も圧縮していたために治療は一瞬で済ませることができたのだが、
この方法は連続では使えない。

強力な回復魔術を連続使用すればさすがに副作用を完全に押さえ込むことはできないからな。

すでに一度使用した以上。

次に使えるのは数時間後だ。

その時間を無視して使用すれば何らかの副作用によって戦闘不能になるだろう。

次はない。

そんなふうに考えながら御堂へ視線を向けると、
進行方向を変えた星のきらめきが再び降り注ごうとしていた。

どうやら核を破壊しなければ止まらないようだ。

即座に判断して再び霧の結界を展開してみる。

そして突撃の構えをとる。

今度は魔術ではなく、限界まで魔力を込めた魔法としての結界だ。

辛うじて消失を免れた翼に魔術を保管しつつ。

自分自身にヘイストを使用する。

間近に迫る星のきらめきを見つめながら、
僅かな時間差で全ての準備を終えたことで御堂目掛けて一気に踏み込んだ。

「行くぞ!」

宣言した直後に。

ズンッ…と、試合場の一部が沈み込んだ。

踏み込んだ勢いに負けて、床に亀裂が入ったようだな。

それほどの勢いで加速しつつ。

星のきらめきの中を突き進んでいく。

目標は唯一つ。

御堂の右手で輝く魔術の核だ。

全力で星の散弾を突き抜けて御堂に接近する。

その僅かな時間の間に星のきらめきと霧の結界が相殺し合う音が微かに響きわたった。

「流石にこの勢いは止めきれないかな?」

即座に動き出した御堂が大剣を両手に構え直して、接近する俺に刃を向ける。

だが、その程度の牽制で勢いを止めるつもりはない。

星のきらめきを強引に突き抜けて、御堂の魔術を突破した直後に。

魔剣に勢いを乗せたまま、核となる光に対して切り掛かった。

横薙の一閃!

一撃で切り裂かれた核は、小さな音を立てて星のきらめきと共に消滅した。

その直後。

こちらの隙を狙っていた御堂の聖剣が襲いかかってくる。

上段からの攻撃だ。

御堂の大剣が頭上から振り下ろされていた。

ちっ!

今ならまだ間に合うかっ!?

必死に御堂の剣を受け止める。

かろうじて頭上からの一撃を受け止めることには成功したものの。

聖剣の勢いに負けて、僅かに体勢を崩してしまった。

「くっ!さすがに重いかっ!!」

もちろん重量という意味ではなく、聖剣の威力だ。

御堂の大剣を受け止めることはできたが、片膝をつく結果になってしまった。

だが。

接近に成功したことで霧の影響下に入った御堂の魔力が急速に流れ込んでくる。

体勢的には不利だが、魔力が手に入るのは好都合だ。

「逃げないのか?」

「絶好の機会だからね。このまま押し切るよ」

霧の結界の影響によって魔力を奪われる事など一切気にしていないようだ。

俺が身動きの取れない隙を突いて、御堂は新たな力を発動してくる。

「これが、僕の最高の一撃だ!!!グランド・クロス!!!!」

御堂の言葉の直後に聖剣が光り輝くのが見えた。

ちっ!?

これは、まずいっ!!

光を見た瞬間に背筋が凍りつくような寒気を感じたからだ。

零距離と言える超至近距離。

この状況からの回避は不可能。

押さえ込まれた状態で抵抗する余裕などもちろんない。

「これが、僕の力だ!!」

御堂が叫んだ直後。

聖剣の形そのままの十字の光が出現して容赦なく放たれた。

まずいっ!

防御が間に合うかっ!?

全力で防御結界を展開しようとしたその瞬間に。

光の飲み込まれる感覚を味わうことになった。
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