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THE WORLD 作者:SEASONS

4月5日

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災害級

《サイド:黒柳大悟》

ちっ!!

まさかこれほどとはな…っ。

試合を傍観している研究員達の表情に焦りの色が浮かんでいるのが見える。

だが、その気持ちは分からなくもない。

俺も思いは同じだからだ。

職員達にとっても。

もちろん俺にとっても絶対の自信を持っていたはずの防御結界だった。

それが今、目の前で破られようとしているのだ。

長年の苦労の末に築き上げてきた理論の成果があっさりと崩壊しようとしている。

この状況を見て冷静でいられるわけがない。

そして何よりも問題なのは御堂君の攻撃の余波だけで結界が崩壊しかけているということだ。

現時点では天城君の魔剣のおかげで御堂君の聖剣の効力は低下しているはずだ。

だからこそ結界が受ける影響は減少しているはずなのだが。

彼等が本気で立ち向かえば試合場を包み込む防御結界など紙にも等しい存在なのかも知れない。

これは、予想以上だな…。

今まで御堂君が全力で戦うことは一度もなかった。

学園2位の北条君との試合でさえ力を抑えて戦っていたからだ。

その理由は結界がもたないからなのは周知の事実ではあったが、
それでも俺は信じようとしていた。

現状の結界でも御堂君の攻撃に耐えられるはずだとずっと信じていたのだ。

それなのに、現実はそうではなかった。

学園に蓄積している魔力の半数を消費しているのだぞ!?

それなのに防げないなどということがあるのか!?

天城君への対抗策の一つとして。

拘束結界の準備とは別に、
通常の防御結界の出力も密かに通常の5倍に設定していたのだ。

これまで何度も天城君のアルテマによって防御結界が吹き飛ばされていたからな。

これまでの試合を考慮して出力を上げていたのだ。

多少強引でも防御結界の性能を理論上可能と思われる限界ギリギリまで強引に引き上げていたのだが…。

それでも御堂龍馬の攻撃を抑えきれていないのがはっきりと分かってしまう。

この状況はさすがの俺も考えていなかった展開だった。

どちらもバケモノとしか思えないからだ。

御堂君の破壊力は異常だ。

だがそれほどの攻撃を捌き続けている天城君も異常なのだ。

衝撃の余波ではなく、直接攻撃を受けているのだぞ!?

その威力は余波とは比べ物にならないはずだ。

現在結界が受けている衝撃は聖剣の一撃に比べれば10分の1にも満たないだろう。

それほどの攻撃を天城君は受けきっているのだ。

どちらも人の限界を遥かに超えているように思えてしまう。

だから、なのかもしれない。

美由紀が恐れるのも当然だ。

今さらと言われるかもしれないが、今になって自覚できた。

なぜ代表にまで上り詰めた美由紀がたかが一生徒にここまで怯えるのかを俺もようやく理解した。

次元が違うのだ。

これはもう、人の手に負える力ではない。

御堂龍馬も天城総魔もどちらも異常なのだ。

そんな二人を制御できると考えていた自分が間違っていた。

これはまさしく、災害級の能力と言えるだろう。

地震や雷、あるいは台風のように。

人の手には負えない種類の存在なのだ。

それらを解析して再現することなど到底できることではない。

そのことに美由紀は気づいていたのだ。

いや、その可能性を考慮していたというべきか。

第一線から引退して研究所に引き込んでいた俺とは違い。

常に最前線で指揮を執る美由紀は気づいていたのだ。

御堂龍馬の才能と天城総魔の異常性を、美由紀だけは気づいていたのだ。

甘く見ていたのは俺だった。

その事実に気づいたことで、今頃になって自らの失策に気づく。

くそっ!

もはや手遅れだが、ここで美由紀を失うわけには行かない。

こうなったら俺が出るしかないだろう。

全ての責任を背負って美由紀が失脚する前に、俺の手で天城総魔を抹殺する。

その覚悟を密かに固めながら、試合の行く末を見守ることにした。
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