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THE WORLD 作者:SEASONS

4月5日

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二人揃って

…自室を出てから数分後…。

寮を出て食堂に向かおうとすると。

今日も翔子が外で待っているのが見えた。

「おはよう!総魔」

相変わらず元気一杯の笑顔で挨拶をしてくる翔子だが、
その隣には何故か沙織がいる。

「おはようございます」

俺と向き合い、微笑みながら礼儀正しく頭を下げて挨拶をしてきた。

これはどういうつもりだろうか?

昨日は敵同士だったとは思えない態度だ。

俺に何か用でもあるのだろうか?

美袋翔子と常盤沙織。

二人の表情には笑顔しか見えない。

どちらもそうだが、とても昨日の試合において命懸けで戦ったとは思えない雰囲気だ。

そんな二人を不自然に感じながらも、
ひとまず挨拶を返してから歩み寄ることにした。

「二人揃って俺に何か用か?」

わざわざ二人揃って何をしに来たのか?

要件を問い掛けてみると、
翔子は照れ臭そうな表情でここへ来た目的を話してくれた。

「別に用ってほどじゃないんだけどね~。一緒にご飯を食べに行かない?って思っただけよ」

ああ、食事か。

その程度なら断るほどの理由はないが、
翔子だけならともかく、沙織まで一緒にいる理由がわからない。

「その為に、わざわざここで待ってたのか?」

「ええ、そうよ。何か問題でもある?」

無邪気に微笑む翔子に別の目的があるようには見えなかった。

本当にただそれだけの理由で待っていたようだ。

翔子の性格であれば分からなくもない話だが、
隣にいる沙織の存在は不自然に思えてしまう。

沙織までここにいる理由が理解出来ないからだ。

どういうつもりなのか?

さりげなく沙織に視線を向けてみると、
俺の視線に気付いた沙織が自分から歩み寄ってきた。

「え、と、その、先に言っておきますね。30分ほど前の話になりますが、私も翔子と同じく天城君の調査に関する内偵から外れることにしました。理由は翔子とは違いますが、あなたを疑う必要のない人物だと判断したからだと、そう思っていただいて構いません」

疑う必要がない人物、か。

どういう理由でそう思うようになったのかは知らないが、
どうやら沙織も俺の監視を断ったようだな。

…ただ。

『翔子とは違う理由がある』という部分をあえて強調したように感じられた。

何か意味があるのだろうか?

気にしすぎだと言われればそうかもしれないが、おそらく気のせいではないだろう。

沙織の言葉に含まれる本心は分からないが、
翔子と同じように敵対する事を望まないという考えにはたどり着いたらしい。


こちらからしてみれば翔子や沙織がどういった行動をとろうと気にするつもりはないのだが、
敵対するつもりがないと言われれば突き放すこともできない。

最終的には自由にすればいいと思うだけだからな。

「どういう経緯があるのか知らないが、とりあえずは好きにすればいい」

文句を言うつもりはないからな。

ひとまず翔子に視線を戻して、話を聞いてみることにした。

「それよりも北条が今どこにいるのか知っているか?」

「ん?あ~、残念だけど場所は知らないわ。あのバカならさっさと朝食を食べた後に準備運動をして来るって言ってどこかに行ったから。どこに行ったのかまでは知らないわ」

現時点でどこにいるのかは分からないようだ。

ただ、翔子の説明を聞いたことで気持ちを切り替えることはできた。

すでに北条は試合に向けて行動しているようだからな。

間違いなく気合い十分だろう。

果たして上手く魔力を誘導して勝てるのかどうか?

多少の不安はあるが、焦っても仕方がないか。

あとのことはあとで考えるしかないからな。

ひとまず今は翔子と沙織と共に朝食の為に食堂に向かうことにした。
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