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THE WORLD 作者:SEASONS

4月4日

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拘束結界

《サイド:米倉美由紀》

午後10時を少し過ぎた頃。

学園の経営に関する雑務を終えた私は魔術研究所の地下にあるルーン研究所の一室に訪れたわ。

今いる場所は『特殊実験室』と呼ばれる場所で、
関係者以外立入禁止の最重要機密区域でもあるのよ。

まあ、御堂君の実験を行っていた実験室でもあるんだけどね。

基本的にはルーン研究所の職員しか入ることの許されない実験室なんだけど、
極秘に進めている『とある実験』の進行状況を確認するためにこの部屋に訪れたの。

「それで、現在の状況はどうなっているの?」

ルーン研究所の所長である黒柳大悟に問いかけてみると、
大悟は苦笑いを浮かべながら首を左右に振ってしまったわ。

進展なし、ってことね。

実験は上手くいっていないらしくて、何も進展していないようだったわ。

…ふう。

数多くの職員を集めて実験を進めさせているとはいえ、
完成までこぎつけるにはまだまだ時間がかかるみたいね。

大悟も申し訳なさそうな表情で深々とため息を吐いているわ。

まあ、さすがに三日程度で新たな結界を構築しなさいっていうのは無理があったわね。

それは私自身も分かってる。

自分がどれほど無茶な注文を出しているのかを十分すぎるほど理解してるつもりよ。

だけど、ね。

それでも急がなければいけない事情があるの。

実験が完成するまで、のんびりと待っていられる余裕がないのよ。

もうすでに残り時間は少ないわ。

ただ黙って待ってるだけでは手に負えない事態が起きてしまう可能性があるから、
そうなる前に対策を考えなければいけないのよ。

だからね。

この計画は最低限必要な下準備なの。

魔術研究所において最も優秀な研究員が集まっているルーン研究所。

ここで極秘に進めてる実験さえも最低限の準備でしかないの。

そのことは理解してるつもりよ。

おそらくこの研究だけだと目的は叶えられないってね。

でもね?

だからと言って同時進行で複数の実験を進められるほど人的にも時間的にも余裕がないの。

たった一つの研究でさえ上手く進んでいないのよ?

この状況で他の実験にまで手を広げるのは今以上に計画の進行を遅らせてしまうだけでしかないわ。

だからそんな馬鹿な判断は下せないし、
短期間での効率を考えれば一つずつ進めていくのが最善よね。

まずは確保が最優先なのよ。

その一手すら行えないのなら、他にどんな計画を立てても実践なんてできないわ。

最終的にどういう決断をするにしても、話し合いができる状況を用意することから始めなければいけないのよ。

そのあとのことは状況に応じて判断するしかないけどね。

まあ、あとのことはあとで考えるとして。

私が密かに進めさせている実験。

それは拘束結界(こうそくけっかい)と呼ぶべき捕獲専用魔術の研究よ。

御堂龍馬の実力調査の実験結果を元にしつつ。

彼にも知らせる事なく極秘で行わせている実験でもあるわ。

表向きには検定会場で使用される防御結界の強化という名目で御堂龍馬の協力を得ているんだけどね。

実際の目的はこちらよ。

あらゆる魔術を封印する為の拘束結界を構築するために、御堂龍馬を実験に呼んでいたの。

そうまでして実験を進める理由はただ一つ。

『天城総魔を捕獲する』ため。

ただそれだけなのよ。

実験そのものは入学式の翌日から。

天城総魔の実力を調査し始めた頃から始めていたわ。

翔子に監視を任せつつ。

研究所では実験を進めていたのよ。

当初はそれなりの期間を与えて大悟に一任していたんだけどね。

予想以上の勢いで成績を伸ばしてきた天城総魔の実力を懸念したことで、
現在は最優先事項として研究を進めさせているの。

色々と後手に回ってしまっているけれど、
まさかここまで早く事態が進展するとは思っていなかったのよ。

入学式の翌日から検定試験を開始したのに。

わずか三日で3位まで駆け上がってくるなんて予想できるはずがないわよね?

たとえどんなに早くても2、3ヶ月はかかると思っていたのよ。

初日の活躍を聞いたあとでさえ、
ここまで急速に成長するとは考えていなかったわ。

あくまでも下位の生徒達の中では優秀という程度で判断していたの。

だから千番から上に昇格するのは手こずると思っていたのよ。

二桁のフォース・ステージに入るのはまだまだ先だと思っていたわ。

その油断とも言える判断のせいで、
彼を甘く見ている間に状況は劇的に変化してしまったのよ…。

これはもう完全に私の失態ね。

彼が試験開始してから3日目にして翔子と沙織が敗れたのも予想外だったけれど。

この非常事態に直面したことで、
ついになりふりかまっていられない状況になってしまったというのが実情なのよ。

「もう時間がないわ。」

明日には北条君との試合が行われるはずだし。

もしもその試合で北条君が負けるようなことがあれば、残る生徒は一人だけになってしまうからよ。

学園最強の生徒である御堂龍馬との試合さえも、近いうちに実現してしまうでしょうね。

天城総魔と御堂龍馬。

二人のどちらが勝つのかは分からないけれど。

もしも天城総魔が勝てば色々と不都合な問題が起きてしまうわ。

学園としても国としても見過ごせない問題が起きてしまうでしょうね。

そうなる前になんとしても対策を考えなければいけないのよ。

「何とかならないの!?」

焦って問いかけてみても、大悟は返答に困ってる。

研究は全く進んでいないわけだから当然といえば当然だけど、
打開策すら思いつけない現状では適当な発言さえできないようね。

「正直に言って実験は手詰まりだ。現状ではどうしようもない」

はっきりと無理って言われたわ。

対天城総魔用に緊急で始めた実験だけど、
やっぱり3日では有効な対策が考えられないみたい。

実験の成果を観察する為にここまできたけれど、
返って来た答えはため息が出る内容でしかなかったわ。

「…それで、どうするの?実験は諦めるしかないの?」

「さすがにこの短期間で完成にこぎつけるのは難しいとしか言いようがない。もう少し時間があれば問題点を徹底的に潰して完成に近づけるとは思うんだが…」

諦めてしまうと実験を依頼した意味さえなくなるんだけど、
時間が足りなさすぎて欠点の改善さえままならないということのようね。

だけど、その時間がないのよ。

言いよどむ大悟に対して微かな苛立ちを感じてしまう。

大悟の言い分はわからないでもないけど、
与えられる時間なんてすでにどこにもないわ。

すでに天城総魔は学園3位にまで上り詰めているのよ?


残る生徒は北条真哉と御堂龍馬の二人だけ。

それも明日には試合が組まれようとしている状況で残された時間はあとわずかしかないわ。

それまでに天城総魔という人物を鑑定する必要があるし。

必要であればなんらかの制裁の処置を用意する必要があるのよ。

だから時間が欲しいなんて言われても天城総魔は待ってくれないでしょうね。


あれこれと言い訳を考えて問題を先延ばしにすることは不可能ではないと思うけれど…。

そう何日も引き伸ばせるものではないわ。

それに何より、北条君との試合は既に確定しているのよ。

本人達が望んでいる試合を学園が一方的に中断させるのは難しいわよね。

天城総魔はともかく、北条君が言うことを聞いてくれないと思うわ。

彼も自由気ままな生徒なのよ。

翔子や沙織と違って、北条君に義務や責任という考えは存在していないの。

ただ楽しいからという理由で協力してくれているだけなのよ。

そんな北条君を説得するのは私でも無理よ。

下手に試合の中止を強制すれば町の外に出てでも戦いかねない人物だから、
引き伸ばし作戦はどう考えても無理ね。

それが出来たのは沙織の試合だけだと思うわ。

なのに、最も理性的な沙織がすでに敗退してしまっているのよ。

もはや試合を止めるという考えは現実的ではないわね。

一応、最終的な手段として一番手っ取り早い解決策もあるのはあるけど…。

その手段は諸刃の剣でしかないわ。

いくらなんでも、さすがに暗殺はちょっと、ね…。

一時的な対処法としては価値を見いだせるけど、
長期的に考えれば下策でしかないわ。

もしも他国に情報が漏洩してしまった場合。

私は共和国代表としての地位を失うでしょうし。

同時に共和国の評価そのものも地に落ちてしまうでしょうね。

そうなってしまえばもう、あとのことは考えたくもないわ。

周辺諸国から戦争という名の侵略が開始されることになるのは間違いないからよ。

問題を排除するという意味では最善の手段ではあると思うけれど…。

手段どうこう以前にここは魔術師の国なのよ?

それなのに。

魔術師の国で魔術師が魔術師を殺すなんていう手段は最悪の一手でしかないわ。

そんなことをしてしまえば他国で行われている魔術師狩りと何も変わらないうえに、
共和国が魔術師にとって最後の拠り所という価値まで失われてしまうでしょうね。

魔術師を暗殺するという手段は国内の不安を増長させてしまうことになるし、
魔術師は危険だという認識を他国に広めるだけでしかないわ。

だからそんな危険は手段を真っ先にとるわけにはいかないし、できないのよ。

まずは話し合いで解決する方法を考えなければいけないの。

それでも協力できない状況に陥れば排除という選択肢もとれるけれど、
ただ危険だというだけで一方的に排除するという考えは国を代表する者としてとれる手段ではないわ。

だから暗殺はできない。

だけど捕獲も難しい。

となると、御堂君が勝利して天城総魔を制するのが理想的な形になるわけだけど…。

それこそ他力本願な考え方よね。

う~ん。

翔子が言うように天城総魔が話し合いの通じる相手だと信じるべきかしら?

それさえも願望だと思うわ。

何事もなければそれでいいんだけど、
何かあったら困るっていう話をしてるのよ。

それに、ね。

ただじっと祈るだけでは事態は好転しないってことくらい分かってる。

必要な準備を怠る事なく、しっかりと着実に進める事が出来なければ冷静な対応はとれないからよ。

結果的に天城総魔が善側であれば良いけれど、もしも悪側であったなら?

学園の責任者としての義務を負う者として、
最低限の責任は果たさなければならないでしょうね。

あまり考えたくはないけれど、
最終的には自分の命よりも学園の平和を優先しなくてはいけないのよ。

だから最悪の場合。

私の命と引き換えに天城総魔を排除することになるでしょうね。

国家の責任を負うものとして、この国の障害を排除する。

そして魔術師殺しの責任をとって自害する。

それが問題を解決する唯一の手段になってしまうかもしれないわね。

もちろんできることならやりたくないけど、仕方がないわ。

自分の命よりも国の存続を優先すること。

その責任感の高さこそが共和国の代表として求められるものだし、
まだまだ年齢的に若い私が代表の地位に押し上げられた最大の要因でもあるからよ。

国のためなら命を懸けられる。

それこそが誰もが認める指導者としての素質よ。

だから死を受け入れる覚悟は必要だと思う。

でも、ね。

死なずに済むならそのほうが良いわよね?

誰だって率先して自己犠牲を考えようとは思わないでしょうし、
そうなってしまわないために色々と対策を考えるのが普通よね?

問題はどういう作戦を立てて実行するかという部分だけど…。

常に最悪の自体を考慮して、
一手、二手、三手と先を読んで行動しているつもりなのに現状は失策続きね。

何一つ成功しているとは思えないわ。

だけどどこか一つでも上手くいけば問題は解決するはずなのよ。

御堂君が試合に勝てばそれでいいし。

天城君が話の通じる人物であればそれでいいし。

実力行使で押さえつけられるのならそれでもいいわ。

何か一つだけ上手くいけばそれでいいの。

だから大丈夫。

まだ終わったわけじゃないのよ。

布石は幾つも用意してるしね。

不確定要素もあるけれど、
切り札と呼ぶべき策は今も作用しているわ。

まだまだこれから何度でも流れを変えることはできるはずなのよ。

「結界が間に合わないとしても、まだ方法はあるわ」

絶望を感じるにはまだ早いのよ。

期待すべき策はまだ幾つもあるから。

「大丈夫。今ならまだ巻き返せるはずよ」

自信を持って宣言する私の言葉を大悟はしっかりと聞いてたみたいね。

「はっはっは!その言葉が言えるならまだまだ心配はいらないようだな」

どうかしらね?

「全て運頼みだけどね。」

「頼れるだけまだましだろう。こっちは完全な手詰まりだからな」

「運に任せるのがマシだなんて思いたくないけど、手詰まりでもなんでもなんとかするのが大悟の仕事でしょう?まあ、こういう言い方をすると失礼かもしれないけど、最初から実験の成果は期待してないわ。できればいいなって思ってただけだから」

「はっはっは!!だろうな。お前はそういう奴だ。」

私の発言を聞いても、
大悟は怒ったりせずに笑い飛ばしてくれる。

「おそらくそうだろうと思っていたからな」

「ふふっ。たった3日で完成するなら研究所なんて必要ないでしょう?」

「ああ、そうだな。だが、それでも期待はしてくれているんだろう?」

「当然でしょ。大悟なら何とかしてくれるかもって期待していたのよ」

「過去形か。まあ、そう言われてしまうと返す言葉もないが、美由紀のために出来る限りのことはしよう」

「お願いするわ。ひとまず私が死ななくてすむようにしてくれたらそれでいいんだけどね」

「ははっ。死なせたりはしないさ。美由紀を守るように宗一郎さんから頼まれているからな」

あ~、そうね。

そんな話も合ったわね。

「とりあえず父さんよりも先に死ななければいけない事態はさけたいわね」

「そのために出来ることなら何でもするつもりだ」

「ありがとう。その気持ちだけでありがたいわ。まあ、私も出来る限りの手はうっておくつもりだけどね」

これでも詐欺師と呼ばれるほどの策士なのよ。

「このまま指をくわえて見ているつもりはないわ」

「どこまで考えているか知らないが、あまり無理はするなよ」

「大丈夫よ。常に最善の結果を考えて行動してるつもりだから」

「そうだな。お前はそういう奴だ」

まあ、ね。

褒め言葉かどうかは微妙だけど。

大悟は私の考えを誰よりも理解して協力してくれる人物だから否定できないわ。

今でこそ研究所の所長としての日々を送っているけれど、
大悟は私の父である米倉宗一郎の一番弟子として国内で幅広く活躍していた国内屈指の魔術師なのよ。

だから大悟の実力と名声は決して低くないわ。

それなりの地位にある人物であれば誰もが名前を知っている人物と言えるでしょうね。

私としては頼りになる兄っていう感じよ。

でも、まあ、大悟とは別にもう一人。

私には優秀な味方がいるわ。

非常に優れた政治手腕を持ちながらも自らの頭角を見せることなく二番手に徹する男が私の側近として活動してくれているのよ。

彼の名前は近藤誠治。

入学式の際、私の隣にいたこの学園の学園長よ。

父さんの代から学園長を勤める彼は、私にとってもう一人の父親的存在でもあるわね。

知恵の米倉美由紀。

技術の黒柳大悟。

政治の近藤誠治って呼ばれてるんだけど。

卓越した才能を持つ3人が揃っているからこそ。

ジェノス魔導学園のみならず、
ジェノスの町全土において安定した平和が保たれているの。

そしてその平和を守り続ける為に独自の判断で拘束結界の準備を進めさせていたんだけど、
これがなかなか上手くいかないのよね…。

「それで?今後の見通しはどうなっているの?」

これからどういう方向で研究を進めていくのかを尋ねてみると、
大悟は机の上に置いてある書類を私に手渡してくれたわ。

「正直、完成度はあまり高くないが、現状でも御堂君の魔力を30秒間ほど押さえ込む事は可能だと思われる。今後の方針としては防御能力の強化だが、その辺は学園で蓄えている魔力を大量に集めれば対応できるはずだ。とはいえ、あくまで仮説でしかない為に絶対と言える保証は出来ないけどな」

現時点で30秒?

大悟の説明を聞いたことで私は頭を抱える思いでため息を吐いたわ。

仮説の段階での30秒だとすれば、
実際の測定ではそれよりも短くなる事はほぼ確実よね?

その程度の結界を未知数の能力を持つ天城総魔に対して効果が有るかどうかを考慮するなんていう話は机上の空論を通りこして無謀な挑戦でしかないように思えるからよ。

予測で30秒なら、期待できないわよね?

現状の完成度では全く役に立つとは思えないわ。

捕獲に成功するかどうかは完全なる運任せだし、
とても計算できる範囲ではないでしょうね。

「もう少しなんとかならないの?」

「こればかりはなんともな…。時間をかけて実験を積み重ねることでしか解決出来る問題ではないからな…」

う~ん。

どうにもならないようね。

重い空気が実験室を包み込んでいるわ。

落ち込む様子の大悟の様子からして手詰まりなのは嘘じゃないみたい。

決して大悟の責任ではないけれど。

彼もまた責任感の強い人間だから、
求められた結果を出せない事に頭を悩ませているんでしょうね。

だとすればこれ以上の無理は言えないわ。

大悟の気持ちを察して追求は諦めてみる。

結界に関しては計画から除外するしかないでしょうね。

元々無理のある実験だったし。

たった数日で結果を出せと言うほうが無茶なのよ。

実験は間に合わないことが確定したわ。

そう考えて諦めかけたときに、大悟が小さな声で呟いたのよ。

「実際に天城総魔本人に対して、どの程度の効果が有るのか測定できれば実験は進むんだがな…。」

ん?

実際に測定すれば?

上手くいくの?

聞き方によっては言い訳にも思える言葉だけど。

大悟の言葉を聞いた瞬間に、私は小さな希望を見出だせた気がしたわ。

「…ということは、測定出来れば完成出来るかもしれないのね?」

「完成とまではいかないが、予測が仮説には進めるだろうな」

ただの推測ではなくて、整列された理論に変わる。

それだけでも大きな進歩じゃないかしら?

「だったら、やってみるしかないわね」

「どうするつもりだ?極秘であるからこそ、遠回しに御堂君の協力を得ていたんだぞ?まさか直接天城総魔と交渉するつもりか?」

そんなわけないでしょ。

「そうじゃなくて、あれを利用するのよ」

新たな作戦を思い浮かべて笑顔を見せる。

そんな私の行動を見ていた大悟は急速に気持ちを切り替えていく。

「どういうことか話を聞かせてもらおうか」

「ええ、もちろん」

隠す理由は何もないしね。

新たに思い浮かべた作戦を全て大悟に話したわ。

「…という作戦よ。これなら文句はないでしょう?」

「ふむ、そうだな。そういうことなら何とかなるかも知れないな」

新たな作戦を基に大悟が計画を練り直す。

そして職員に指示を与え始める。

「今後の方針が決定した。職員は至急作業に取り掛かれ!!」

新たな指示によってさらに仕事が増えた研究員達だけど、
眠そうな目を擦りながらも文句一ついわずに動き出してくれる。

これは彼らにとっても日常的な流れだから、
今更不満を言う職員はいないみたいね。

魔術研究所において精鋭と呼ばれる職員達。

何よりも結果を出すことに全力を傾ける彼らは、今の時間を気にしようともせずに次々と自らの役目を進めていってくれる。

そんな職員達のおかげで、対天城総魔用の拘束実験魔術であるテンプテーションの実験は次の段階へと進められていったわ。
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