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THE WORLD 作者:SEASONS

4月4日

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勝率

《サイド:北条真哉》

…さて、と。

とりあえず、これからどうするかだな。

検定会場を離れた俺は、
眠っている沙織を医務室にいた美春に預けてから、
一人で学園内を歩いている。

まあ、行動そのものに理由は特にねえけどな。

ただなんとなくじっとしていられなかったってだけだ。

明日の試合を考えるだけで気持ちが高ぶってくるってのが落ち着けない理由なんだが、
あいつと戦うことだけが頭の中を駆け巡るって感じだな。

色々と思うことはあるんだが、
一言で言うなら期待が膨らむってところか。

ここまでわくわくするのはひさしぶりだと思う。

全力で戦っても勝てないかもしれねえなんて思える相手はそうそういねえからな。

気持ちが高ぶるのも当然だろ?

あいつの実力は本物だ。

もはや疑う余地はねえ。

攻・防・魔の3種の力で翔子は敗れた。

そして魔法によって沙織も敗れた。

あのとんでもねえ一撃は俺でさえ見切れないほどの破壊力があったからな。

純粋な攻撃力だけを見れば、すでに俺を超えてるだろう。

単純な魔術の威力だけで言えば間違いなく沙織が1位だったんだ。

総合的な戦闘能力という部分で3位にいるとはいえ、
沙織の攻撃力が俺を大きく上回ってるのは確かだ。

それなのに。

沙織でさえも霞んで見えるほど、あいつの破壊力は群を抜いていた。

あれはもうバケモノだ。

実力の桁が違うとしか言いようがねえ。

比べることがバカバカしく思えるほど圧倒的な差があるんだぜ?

どう考えても勝ち目はねえだろ。

それでも一応、今の俺の力とあいつの力を比較してみるとしたら。

まず単純な力技では勝てそうにねえな。

桁違いの魔力の総量はすでに俺の倍くらいあるんじゃねえか?

ぶっちゃけるなら、
魔力や魔術に関しては本当に沙織が一番だったんだ。

その沙織を上回るとなると魔術戦では到底勝ち目がねえだろ。

ってことは、別の方法で勝つしかねえよな?

俺が沙織よりも上位にいるのは単純な戦闘能力の問題だ。

沙織があいつに負けたように。

俺も沙織を倒すことができる。

戦闘技術という差において、俺は沙織に優っているからだ。

だからこそ自分に自信を持ってるんだが、
戦闘の技術においてもあいつは既に俺を上回る実力を持ってるかもしれねえな。

あいつの実力は魔力だけじゃねえからな。

戦闘能力に関しても侮る事は出来ねえと思う。

特に今日一日、あいつの戦いを見てきたからな。

判断能力や瞬発力を含めた総合的な行動力もずば抜けているように思える。

まともに戦えばまず間違いなく負けるだろう。

でも、な。

それでもまだ敗北が確定したわけじゃねえ。

やってみなければわからねえってのもあるが、
絶対に勝てない存在だとは思わねえからな。

俺には誇れる力がある。

だからこその学園2位だ。

魔力の量だけが全てじゃねえ。

物量も大事だが戦闘技術そのものも大きく影響するのが戦いってもんだ。

なにより俺の持つルーンは翔子や沙織とは違って直接的にあいつと渡り合える能力を持っているはずだからな。

まともに切り合えば吸収の餌食になるかもしれないが、そうさせない自信はある。

魔術戦では勝ち目がねえとしても、戦闘なら勝ち目はあるはずだ。

俺自身の戦闘能力を客観的に考えて、あいつの実力と比較してみる。

その結果導き出される答えは甘く見てほぼ互角か?

場合によっては限りなく苦戦に近い戦いになるだろうな。

勝率は40%ってところか。

それが予測だ。

ただ、これは万全な状態での話だな。

実際にはもっと優位に戦えると思っている。

その理由はまあ、簡単だ。

あくまでも仮説になるが。

あいつが優しさを見せずに容赦なく翔子と沙織の魔力を吸収していれば、
さすがの俺も太刀打ち出来ないほどの実力差が開いていただろうぜ。

それこそ勝率は限りなく0パーセントだっただろうな。

だが、幸か不幸かあいつは二人の魔力を吸収しなかった。

それどころか自分の魔力を犠牲にしてまで二人を助けている。

その結果。

あいつの魔力は著しく低下してしまったってことだ。

実際に見てたんだからな。

間違いないと確信できるぜ。

あいつは魔力の底を見せたんだ。

万全な状態であれば圧倒的な魔力の差があったはずだが、
今のあいつがそこまで魔力を取り戻せるとは思えねえ。

おそらく明日の時点で取り戻せる魔力はせいぜい半分程度だろう。

だとすれば魔力の量は俺のほうが多くなるはずだ。

勝率も一気に上がるってもんだよな。

だけどな?

だからこそ、だ。

その事実を思うからこそ、
もはやあいつと対立する可能性なんて考えられねえと思う。

翔子の言葉通り、
理事長が心配するような事にはならねえと思うぜ。

最終的にどうなるかは分からねえが、
あいつが敵対するような行動をとるとは考えにくいからな。

自らの魔力を低下させてまで二人の命を助けたんだ。

明日の試合でどの程度まで力を取り戻すのかは分からねえが、
そうまでしてみせたあいつを疑う必要なんてねえんじゃねえか?

俺はそう思う。

だからあいつを疑うつもりはねえし、
無理に対立しようとも思わねえ。

今考えるべきことはただ一つ。

あいつに勝てるかどうかだけだ。

決して油断できる相手じゃねえが、
それでも低下した魔力が万全に戻るとも思えねえ。

だとすればまだ勝ち目は十分にあるはずだ。

ある意味では他力本願な考え方だけどな。

それでもこの推測は現実になるだろうぜ。

そんなふうに考えながら歩き続ける。

そして明日に向けて気持ちを引き締めつつ。

腹ごしらえのために食堂へと向かうことにした。
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