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THE WORLD 作者:SEASONS

4月4日

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謝るのは

《サイド:美袋翔子》

…はあ。

どうして、こうなったのかな?

自分でもよくわからない。

だけど沙織の言葉を聞いたことで私に振り返ってくれた総魔がそっと目を伏せた気がしたわ。

そして。

「すまない。迷惑をかけたようだな」

私に謝罪してくれたのよ。

総魔は何も悪いことなんてしてないのに。

本当なら総魔が謝ってもらう立場なのに。

それなのに私に謝ってくれたのよ。

「ち、ちがっ…」

総魔の言葉を聞いた瞬間に。

私の目から涙が零れ落ちてた。

「違うの…っ!!」

謝って欲しかったわけじゃないのっ。

総魔は何もしてないし、総魔は何も悪くないから!

迷惑なんて思ってないし、思いたくもないからっ!

全部、私が勝手にした事だから…!

だから謝ってもらうようなことなんて何もないのっ!

私の都合で総魔を追跡して…
私の都合で総魔を観察して…
私の都合で総魔の情報を流して…
私の都合で総魔の邪魔を続けて…

私の都合で総魔を困らせているのっ!

だから悪いのは私で、総魔は何もしてないの!

むしろ私のわがままに付き合ってくれただけで、
総魔が謝るようなことなんて何一つなかったわ…。

「総魔は…何も悪くないよ…っ」

次々と溢れ出す罪悪感が止まらない。

決別の道を選んでもまだ消える事のない過去が私の心を苦しめるから。

我慢しようと思っても涙が止まらなかった…。

私…。

何をしてるのかな?

総魔を困らせ続けた挙げ句の果てに正々堂々と戦って敗北したのよ。

そのうえ。

意地を張って瀕死の状態になった私の命さえ救ってもらう結果になってた。

それなのに。

私にとって命の恩人であるはずの総魔が謝罪してくれてる。

そのことが、とても辛く思えてしまったわ。

総魔の謝罪の言葉を聞いただけで…

ただそれだけで胸がすごく苦しくなってしまったの。

「違うよ、総魔…。悪いのは私なの…謝るのは私なの…」

謝るのは本来、私のほうだから。

総魔は何も悪くないから。

謝ることなんて何もないの…。

それなのに。

心では思えるけれど、上手く言葉には出来ないの。

「違うの…っ」

込み上げてくる悔しさと悲しさ。

何も出来ない自分に怒りさえ感じてしまうけれど。

伝えたい想いがどうしても上手く言葉にできなかった…。

「…私…が…」

何かを言おうとしてみるけれど。

何を言えばいいのかがわからないの。

そんな私に…。

「翔子」

総魔は少しだけ微笑んでくれたわ。

「気にするな」

ただそれだけの言葉。

それなのに。

その一言だけで私の心は満たされた気がしたの。

これまでのことをちゃんと許してもらえたような、そんな気がしたのよ。

「ごめん…なさい…っ!」

総魔は私を許してくれてる。

その想いがちゃんと理解できたから。

そのことが何よりも嬉しかった。

総魔は私に怒っていないし、
何も追求するつもりがないってわかったから。

だから。

たった一言の言葉を聞けただけで、
とても幸せな気持ちになれた気がしたの。
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