挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月2日

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

11/4820

検定試験会場

翌朝。

目が覚めると時刻は6時10分になっていた。

どこに行くにしても出かけるにはまだ早い時間だ。

今日の予定としては昨日の午後に下見に行った検定会場に向かうくらいだな。

とは言え、会場が開かれるのは8時からだ。

あまり早く行っても意味がない。

まずは会場が開くまでの間に朝食を済ませておくべきだろう。

軽食程度であれば寮内の売店でも購入できるのだが、
時間があるのなら食堂まで向かったほうが安くて美味しいものが食べられる。

今は他に何か予定があるわけでもないからな。

ひとまず食堂に向かうことにしよう。

ベッドを降りて、服を着替えて、顔を洗う。

一通りの外出の準備を整えてから学生寮を出る。

今日はどこにも寄り道をせずに寮から真っ直ぐ食堂に向かった。


…そして…。


朝食を食べてから一息つく頃にはすでに8時になろうとしていた。

そろそろ時間だな。

食堂を離れて今度は検定会場に向かう。

寮からの移動距離を思えばそれほど遠くはないものの。

それでも10分ほどかかったかもしれない。

ようやくたどり着いた検定会場付近には、
すでに数多くの生徒達が集まっているようだ。

会場の入口が開かれたことで新入生や上級生達が続々と検定試験会場に入っていく姿が見えるのだが、
今は会場よりも気になることが一つある。

やはり、いるのだ。

周辺を見渡してみると昨日もこの会場で見かけた生徒達の姿が確認できるのだが、
今考えるべき問題はそこではない。

今日も誰かに見られているということだ。

どこかに身を潜めながら密かに俺の監視を行う人物が今日も会場のどこかにいるようだ。

それがどこからなのかまでは分からないものの。

誰かに見られているという感覚がはっきりと感じられる。

この状況は昨日と同じだな。

おそらく同一人物だろう。

仕事熱心なのは良いが、考えようによっては朝から暇だとも言える。

相手の目的がわからないからこそ思うことだが、
毎日あとをつけ回すことにどれ程の意味があるのかが理解できない。

そして理解できないからこそ他にやることがないのだろうかと思ってしまうのだが…まあいいだろう。

直接こちらに関わる気がないのなら必要以上に気にすることもない。

見られているだけなら何も問題はないからな。

相手が飽きるまで放っておけば良い。

俺は俺のやるべきことをやるだけだ。

それに。

現時点ではまだ推測でしかないが、相手の目的はある程度予測できている。

何故そうする必要があるのか?という理由までは不明だが、
こうしてこの場所で監視を行う以上は試合を観察に来たと考えるのが最も確率の高い可能性のはずだからな。

それ以外の目的があるとは思えない。

おそらく試合内容を見ることで監視の必要性がないと判断される可能性もあれば、
引き続き監視を行う必要があると判断される可能性もあるだろう。

そのあたりを踏まえたうえで最良の手段を考えるのなら、
自分がいかに無能な人間かを示して見せて相手を油断させるのが一番手っ取り早いとは思う。

…そうは思うものの。

そんな無駄なことに時間を費やすつもりは今のところない。

相手の目的がわからない現状で下手な裏工作など考えても事態を余計に悪化させるだけだからな。

もしもなんらかの事情で力を隠して行動しているということがバレた場合。

今以上に監視の目が強化されかねないとも思う。

その危険性を考慮すれば今はこちらの手の内を見せる代わりに、
こちらも相手の動きを確認するほうが安全だ。

知られて困ることは何もないからな。

相手が監視を続けるつもりなら堂々と手の内を見せればいい。

そうして下された評価をもとにして相手の目的を探っていけばいい。

だからしばらくの間は放置する。

今は監視の目を無視して行動しよう。

人混みをすり抜けて会場の入り口に歩み寄っていく。

その間もさりげなく周囲の生徒達の様子を覗いつつ、
会場の入り口付近にいる係員に話しかけることにした。

「これから試験を受けたいんだが、挑戦するにはどうすればいい?」

挨拶もせずに何の前置きもなく話しかけたのだが、
係員は不満そうな表情を見せずに笑顔を浮かべながら丁寧に答えてくれる。

「この検定会場に集まっているのは生徒番号が2万台の生徒ばかりです。なので、もっと上の生徒を狙うつもりがあるのなら、隣の会場に向かったほうがいいですよ。ここはまあ、言い方は悪いかもしれませんが、初心者ばかりが集まる最下層の検定会場ですからね」

最下層か、なるほど。

すでに分かってはいたことだが、やはりここは初心者用の会場らしい。

上を目指すのなら別の会場へと向かい、
初心者ならこの会場に入ればいいと説明してから係員は会場の入り口を指差した。

「もしもこの会場でよければ、中に入ってすぐにある受付で試合の手続きを行ってください」

指示された方角に視線を向けてみると数多くの生徒達が集まっている姿が見える。

どうやらその付近が受付のようだ。

「あそこで参加者名簿を見せてもらって、一覧から対戦相手を選ぶんです。逆に自分が選ばれる可能性もありますので、あまり無茶はしないほうがいいですよ」

「ああ、分かった。」

忠告を聞いて素直に頷いてみせると係員は不意に何かを思い出したかのように説明を続けてくれた。

「そうそう、それとこの会場に限り、観戦目的での自由な入場が認められています。ですが、他の会場では単なる観戦であっても受付で手続きをしなければ会場内には入れませんので気をつけてください」

そうなのか。

そこまでは知らなかったが、
会場内に入るには必ず受付で手続きをしなければならないらしい。

ここは初心者用だから制限はないらしいが、
他の会場では試合をするかしないかに関わらず入場の手続きが必要になるようだ。

そう言えば昨日は問題なく入れたな。

受付を無視して会場内を見て回っていたのだが、
それはこの会場だから許される行為であって他の会場では受付での手続きをとらなければ観戦すらできないらしい。

「良くも悪くも、ここは初心者用の会場ですからね」

曖昧な笑みを浮かべて説明を終えた係員は他の新入生達への説明の為に離れていった。

その結果として再び一人になってしまったが、
そんなことはどうでもいい。

重要なのは検定試験会場に関しての情報を得ることだ。

教えてもらった情報によると、
ここは新入生向けの初心者用の会場ということになる。

離れていく係員の後ろ姿を見送ってから会場に入ってみると、
外よりも多くの生徒達が集まっているのが見えた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ