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THE WORLD 作者:SEASONS

4月4日

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宣言通り

《サイド:天城総魔》

午後6時になった。

ついに予定時刻になったことで
検定会場で待ち続けていた俺に沙織が歩み寄ってきた。

おそらく時間を守る性格なのだろう。

6時丁度に沙織は現れた。

「待たせたかしら?」

「いや、それなりに有意義な時間は過ごせたからな。特に問題ない。」

ここまでは予定通りだからな。

不満なんてない。

「そう。それじゃあ、先に手続きを済ませてしまうわね」

「ああ。」

受付に向かう沙織を見送って、手続きが終わるのを待つことにする。

その間。

沙織の後ろには復帰した翔子が付き添っているのだが、
俺に笑顔を見せてくる辺り、すでに調子は良さそうだ。

もはや怪我の心配をする必要はないだろう。

それに医務室では殺気を放っていた北条も今では楽しげな笑顔を浮かべているように見える。

それぞれの笑顔から察するに、
どうやら二人とも俺を恨んではいないようだな。

話しかけてくることはなかったが、
友好的な雰囲気は以前と同じように思えた。

そんな中で、沙織だけは真剣な表情を見せている。

冷静さを装っているようだが、
それがみせかけなのは間違いないだろう。

緊張を隠し切れていないことは付き合いのない俺でも感じとれるからな。

だが、そこを指摘すれば嫌味にしか聞こえないだろう。

あえて気づかないふりをしておくことにして、
手続きを終えた沙織に話しかけることにした。

「準備は出来たか?」

「ええ、心の準備なら出来ているわ。あなたこそ、疲れを言い訳にはさせないわよ」

翔子との試合に続く沙織との連戦だからな。

ここで俺が負けたとしてもそれが当然の結果だと考えているのだろう。

だが。

その考えは間違っている。

連戦なのは間違いないが、順番が異なっているからな。

沙織の間違いを正すために、事実を伝えておくことにした。

「言い訳などするつもりはない。さっきも言ったはずだ。すでに準備運動は済ませておいたとな」

「準備運動?」

戸惑う沙織に近くにいた係員がそっと歩み寄った。

さきほど沙織の手続きを行っていた受付の女性なのだが、
戸惑う沙織に顔を近づけてそっと耳打ちをしている。

そして係員からの言葉を聞いたことで。

「えっ!?う、うそ…っ?」

沙織の表情が瞬間的に青ざめた。

「なになに?どうしたの?」

翔子には聞こえなかったのだろう。

係員から何を聞いたのか尋ねる翔子に沙織が震える声で答えた。

「由香里が、負けたみたい…。」

「えっ?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

ほぼ同時に驚きの声をあげる翔子と北条。

その後、3人の視線が俺に集まった。

「本当なの?」

沙織はまだ信じきれていないようだが、ここで嘘をつく理由はないからな。

はっきりと答えておくべきだろう。

「ここで待っている間に向こうから挑戦してきたから準備運動をかねて戦っただけだ」

驚く程のことではないと思うのだが、
3人にとってはそうではないようだ。

「うわぁ~。それって準備運動って言える相手じゃないわよね…?」

翔子としては信じる信じないではなく、
俺の発言そのものに対して疑問を感じているようだな。

「マジで蹂躙じゅうりんだな」

北条としても驚く内容だったようだ。

沙織も最初に驚いていたが、
3人にしてみれば驚異的な出来事だったようだ。

和泉由香里いずみ ゆかり

生徒番号は5番だったな。

4番だった翔子と接戦を繰り広げるほどの実力者だったそうだ。

たった1つの違いだからな。

翔子との実力差は微々たるものだったと思う。

それは実際に戦ったからわかる。

戦闘技術においては翔子が上回っているものの。

魔術師としての実力はほぼ同格だっただろう。

だからこそ。

翔子とほぼ同程度の実力を持つ由香里は
たやすく勝てる相手ではなかったはずだと考えているのだと思う。

実際に圧勝とは言えない試合だっただろうな。

翔子の治療にかなりの魔力を消費していたために、
由香里を倒すまでに10分以上かかってしまっていたからな。

万全な状態だったなら翔子同様に追い詰めることができたと思うものの。

魔力が低下している状態だったからな。

全力で戦えなかったために苦戦したのは事実だ。

もちろんその試合で受けた怪我に関してはすでに治療を済ませているが、
由香里も確かに強敵だったと思う。

それでも今ここで沙織とも戦おうとしている状況だ。

無謀と言われても仕方のない連戦を行う俺に対してそれぞれに思うことはあるかもしれないが、
俺としては大した問題だとは思っていない。

1時間前の沙織への『宣言通り』

堂々とこの会場で沙織を待ち続けていただけだからな。

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