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THE WORLD 作者:SEASONS

4月4日

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頭の痛い悩み

《サイド:米倉美由紀》

はあ…。

困ったわね。

表情にこそださないけれど、
翔子の態度を見た私は心の中で舌打ちしていたわ。

こうなることは想定外だったからよ。

可能性としてはあるかもしれないと考えていたけれど、
それでもその道を選ばないと信じていたの。

…いいえ。

違うわね。

その選択肢は選べないと思っていたのよ。

翔子は沙織を裏切らないから。

そして沙織も翔子を裏切らないから。

二人が親友であるからこそ。

二人が対立するような選択を選ぶことはないと思い込んでいたの。

それなのに。

翔子は自らの道を選んでしまったわ。

私の指揮から外れて、
沙織とも決別する道を選んでしまったのよ。

本来、天城総魔が暴走した時の事を考慮して翔子を配置したはずなのに。

結果として翔子が私に対立し始めているのよ。

いえ…。

すでに対立が起きているわね。

私の指示には従わないと宣言してるわけだし。

早急に対策を考える必要のある案件になってしまったわ。

はあ…。

って言うか、あ~もうっ!

本当に困ったわね…。

どうするべきかしら?

確かに翔子の言葉通りであれば何も問題はないのよ?

一生徒の行動を私が気にする必要はないし、
誰がどこでどうしていようと悩む必要はないわ。

だけど、そうでなかった場合が問題なの。

学園の治安維持を託している翔子達がいざという時に動かないとなれば、
まさしく非常事態になりかねないからよ。

学園の安定をないがしろにする訳には行かないの。

「一応、言っておくけど、翔子が降りても他の誰かが引き継ぐだけよ?」

「好きにしてください。ただ、私はこれ以上関与するつもりはありません」

う~ん。

これはちょっと説得出来そうにないわね。

堂々と断言する翔子に迷いはないでしょうし。

今更、考えを変えてくれるとは思えないわ。

頑なな覚悟を知ってしまったことで、私の心はさらに重くなってしまったわ。

こうなるともう翔子は使えないからよ。

普段はお気楽な性格なのに、時々頑固な部分があるのよね…。

こうなってしまった時の翔子は私では手に負えないわ。

意外と真面目な子なのよ。

一途って言うべきかしら?

そのせいで周りの意見を聞かない時があるのよ。

翔子の説得は諦めるしかないわね。

別の対策を考えるしかないわ。

だけど、対策なんて何も思い浮かばないのよね…。

唯一の方法と言えた沙織という足かせさえも通用しないのよ?

他にどんな方法があるっていうの?

そんな都合のいい策なんてどこにもないわ。

だからなんとか翔子を説得できないかと考えて北条君と沙織に視線を向けてみたんだけれど、
二人もどうしていいかわからずに戸惑っているようね。

あてに出来そうになかったわ。

はあ…。

ホントに困ったわね…。

今は北条君も沙織も頼りに出来ないみたい。

…と言うよりも。

場合によっては沙織と北条君まで私から離れる可能性を考慮する必要があるなんじゃないかしら?

今回の事態は最悪の方向に向かっているとしか思えないわね。

着実に追い込まれていく私の心からはついに安息という言葉さえも消えてしまった気がするわ。

今後。

翔子という火種はどう影響するのかしら?

出来ることなら考えたくないわね。

ただただ頭の痛い悩みが増えてしまうからよ。

「…はあ、まあいいわ」

一旦考える事を止めて、ため息を吐いてみる。

どうにもならないなら、
どうにかできる部分で補うしかないわよね。

「元々、強制する事でもなかったし、嫌なら嫌で無理をする必要はないわ」

今は翔子の願いを受け入れるしかないわ。

そうしておけばすぐに敵対することはないと思うし。

打算を含めて翔子の自由を認めておくことにしたのよ。

その結果として。

私の許可を得た翔子の表情が少し緩んだような気がしたわ。

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