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黒耀学園で親友と 02
「お、うめぇ。雅さん、ホント料理上手だよな。……じゃなくて、師範代ともなれば、まちがいなくスカウトがいくつか来てるはずなんだけどな…。学校行かなくても、もう働けるはずなのに…」
「そんなのが来たら、すでに飛びついてると思うけど」

 その日の夕飯はすごく豪華になっていて、明日から就職します宣言かまして、俺たちに止められているはずだ。
 高校くらいは卒業しておいたほうがいいと俺たちは思っている…姉ちゃんには金のかかる邪魔者扱いだとしても。

「あははは、雅さんらしーよな、それって。でも、そこが不思議なんだよな…。あのさ、柚月。紅花流の師範って何人いるか知ってるか?」
「確か、250人くらい、だっけ?姉ちゃんから聞いたことがある。こんだけいれば、私なんて全然まだまだよって言ってたけど…」
「……それさ、秋津島国全体の師範代の数って理解してる?」

 はい?

「皇都で250人じゃないのか?」
「んなわけあるかよ。大体、か弱い…とはいえないかも知れないが、うら若い女性が一ヶ月も、しかも梅見月に高麗山登ってサバイバルするんだぞ。そんなのができるような女性がごろごろ、ぞろぞろいてどうすんだよ。俺、引くぞ」
「…良かったな、ここ男子校で」
「最悪だよ、ホント。女子のスカートの丈の長さにときめいても、ヤローの腹筋にはときめかんっての」

 確かに右見ても左見ても、黒の詰襟に銀でパイピングされた男の群れ。当然、胸はまっ平ら。
 しかもここは中・高等部併設のエスカレーター高だ。つまり俺たち、6年間はこの不毛な花園にいることになる。

 女好きの羽鳥が何故にここにいるのか、ちょっと疑問。

「でも、軍に入るんだよな?」

 これも不思議だ。軍隊なんてそれこそ野郎だらけなのに。

「おうよ。目指せ、近衛隊!なんたってトップが今不在で、秋津島公が臨時に取り仕切ってるんだと。しかもトップは大体女性らしいからさ」

 そうか、女が指揮してれば…それだけで幸せなんだな、お前。すげーよ、ある意味。

「姉ちゃんみたいな女だったらどうするんだよ、絶対手抜きしてくれないぞ?」
「えー、雅さんいいじゃん。きびきびしてて、でも優しくてさ。ぴしっと鍛えるところは鍛えさせてくれそうな感じが」

 さすが、女好き。鋭い洞察力だ。
 しかし、問答無用で鍛えさせられるってのが正しいんだけどな…。

「美夜ちゃんは可愛いよなー。ツンデレっぽい」
「デレ、ない。デレはない。あいつはツンしかない。ついでにあいつの好みは、姉ちゃんよりも強い奴だから」

 美夜はそこそこ美人の顔に磨きもかけているので、けっこうモテるらしい。
 ラブレターをもらったのも見たことがある。
 でもあいつは「私の姉に勝てる人でないとお付き合いできません。私、強い人が好きなんです」でおしまい。
 紅花流の師範代より強いってどんなムキムキマンだよ。それこそ「毎日ムキムキン」飲まなきゃだろうが。

「…行き遅れると思うけど……それはちょっと…いや、理想が高いのは素敵だけどさ」
「あいつの本音は俺もわからん。女って謎だよな」
「そこが可愛いんじゃないか。一つめくっても、違う面が出てきて…ああ、この子にこんな一面もあるんだって感動が」
「うん、そうだな。俺、それでめくっちゃいかんのをいくつかめくってるような気がするんだけどな…」
「やだなぁ、柚月クン。人生、経験と修行だよ。女の子なら、それも本望だねっ!」

 はっはっは、と笑い飛ばすこいつは本当に大物だ。
 頼むから女絡みで、何か起こさないでくれと願ってしまう。


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