ぷてぃんぐ
「兄よ。これがどういうことか説明しろ」
「藪から棒なのはいつもの事として、何事だ妹」
「これが何だか行ってみろ愚兄」
「プリンの空容器だな愚妹」
「そうだ。昨晩私が深夜わざわざコンビニという秘境まで足を伸ばし、
決死の覚悟でレジという地獄の一種を踏破した末の戦利品だったモノだ」
「コンビニが秘境って。歩いて2分もかからんだろ」
「玄関から先は異世界同然」
「どんだけお前の世界狭いんだ。庭もアウトか」
「外気に触れる時点で考えられない」
「部屋の換気もできんではないか。引きこもりもここまで来ると凄いな」
「誰が引きこもりだ。何度も言うが私は自宅警備員だ」
「少し立派に形容してもみても本質は変わらんぞ」
「何だ兄のくせに。そんな慈悲に満ちた目で見るな気色悪い」
「さらりと傷つくぞ」
「兄よ、傷は男の勲章だそうだぞ」
「心の傷は別だと思うのだが」
「しかし背中の傷は剣士の恥らしいな。全く理解しがたい。
傷は傷であって所詮は肉体の欠落でしかないと思うのだが」
「やめておけ妹。その辺は触れちゃいけない男子の深層心理における神秘だ。
追求しても、ましてや解き明かそうなどとは考えちゃいけないものだ」
「そうか」
「嫌にあっさりだな」
「いや、多少の興味が瞬間的に沸いたが、
結局、Y染色体保有種の固有概念など知っても一銭の価値もない」
「ああ、そうかい」
「どうした兄よ。そんな疲れきった間抜け面をして。
そのまま洗面所にいって鏡で自分の顔を見るといいぞ。
百人が百人、整形か自殺を考える。ちなみに私は自殺がお勧めだ」
「五月蝿い余計なお世話だ。
それとさっさとそのプリン容器捨てて来いよ。何か臭いぞ」
「む、またいつの間にか話がずれてたか。これだから兄との会話は面倒だ。
ともあれ兄よ、このプリンの落とし前はつけて貰うぞ」
「落とし前って何の話だ」
「とぼけているつもりか。それでは唯のアホにしかみえんぞ。
私のプリンを勝手に食った罪は万死に値するが、特別一死で勘弁してやる」
「俺じゃないぞ」
「じゃあ誰だというのだ。この家に貴様と私以外に人がいるとでも言うのか」
「猫がいる」
「兄よ、猫がカスタードプディングを食うかボケナスが」
「食うんじゃないか」
「兄よ、いい年こいて夢を見るな」
「いや、だってお前が喚いている間にもプリンの二つ目に猫の手が」
「なっ」
「愚妹が。そんなわけあるかっつうの。サラバだ」
「ななっ」
「今回は俺の勝ちだな愚妹よー」
|