あるところに、神に愛される女がいた。
その女は、富みも名誉も手にしていた。
しかし女は
自殺願望者だった。
「なんでワタシは死ねないの?どうして?なんで?なんで神様はワタシを死なせてくれないの?」
ダルそうに死神が言う
『知らねぇよ。お前の死の期間はとっくに過ぎてるのに、お前はまだ生きてる。お前の魂持っていかないといけないのに、こっちが迷惑だよ。』
死神はため息をはいた。それもそのはず、死神はもう3ヵ月も彼女のそばにいるのだ。彼女の自命はもう3ヵ月前に過ぎていたはずだったのだが、神は彼女の死を許さなかった。
「それじゃ、その悪趣味な鎌でワタシを斬って!」
また死神はため息を吐いた
『もう何十回もやっただろ。俺にできる事はお前が早く死んでくれる事を祈る事だけだ』
「死神のクセに人ひとり殺せないの?役に立たない死神」
『うるせぇ糞アマ!テメェはそこら辺で首でも吊ってろ。』
「それじゃ絶対切れない太い縄買ってきてよ!」
『それは無理な話だな。お前が首を吊るとどんな縄でもすぐ切れちまうからな。こないだなんて、ワイヤーまで切れちまって、あれは俺も爆笑だったぜ』
死神は思い出し笑いをしている
「もーどうすれば死ねるの!」
死神は意地悪く言った
『100階あるビルから飛び落ちれば、どうせまた綺麗に両足着地すると思うけど、前着地した所子供に見られて、その子供が《スパイダーウーマンだぁ!》って叫んだ時、笑い過ぎて腹が裂けるかと思ったぜ』
死神は思い出して爆笑した
「もういい!」
そう言うとミサは、死に場所を探しに家の外に出た。しかしミサにとってもう死に場所などどうでもよかった。死ねる場所だったらどこでもよかった。
ミサが家を出て大分たった頃、
銀行の前に群がる人だかりがミサの目に止まった。パトカーも数台止まっている
銀行強盗が入ったようだった。
ミサは吸い寄せられるように人だかりの中に入っていった。
警察がメガホンでお約束の台詞を言っていた。
「犯人につぐ、おとなしく銃を捨てて出てきなさい。」
どうやら強盗は銃をもっているようだった。
ミサは銃による自殺はまだやっていなかったので、いいきかいだと思った。
「このまま銀行に入って、強盗にちかずけば撃ってくれるかな。」
ミサは止めにかかる警察をかいくぐり銀行の中に入った。
強盗が言った。
「近ずくな撃つぞ!」
ミサはかまわず強盗に近ずいた。
人質の人たちがミサにやめるように言っても、ミサはかまわず強盗に近ずいた。
《パン!》
銃声が響く
ミサは
生きていた。
銃は暴発して強盗にあたた。
ミサはため息をついて銀行の外に出た。
「また死ねなかった。」
銃声を聞いてあわてていた所に、ミサが何くわぬ顔をして銀行から出てきたので、警察やギャラリーの人たちはただ呆然と家へ帰るミサを見送った。
その出来事は当然ニュースに取り上げられた。
ミサもそのニュースを見ていた。
死神がまたゲラゲラと笑っていった。
『スパイダーウーマンの次は、《奇跡の少女》か!やってくれるよ。いいんじゃないか、こういうの、どうせ死ねないんだ。銀行強盗めぐりやれば、いつかはちゃんと撃たれるじゃないか。』
死神はまだゲラゲラと笑っていった。
「いいかもね。それ、死ぬまでは人だすけもできるし」
ミサは力なく言った
その時、テレビに臨時ニュースがはいった
どうやらまた銀行強盗が入ったらしい
『行くか?』
「でも場所遠いじゃん」
『俺につかまれ、ひとっ飛びでつれてってやるよ!奇跡の少女の話広めてこうぜ。なんかおもしろそうだし、もしかしたら今度こそ死ぬるかもしれないぜ』
ミサはうなずくと死神につかまった。
その後、《奇跡の少女》の話は広まった。
今も直、ミサと死神は銀行強盗めぐりを続けている。 |