014
エピローグなので短めです
「うっわ、ギリギリだったね」
「…………ふぅ。そうね。危なかったわ」
一息ついて、やっとマリィちゃんが冷静さを取り戻す。さっきまではやばかった。あれが続いたら、俺の頭はそろそろベコッといっていただろう。
「あー、にしても、あのガトリング銃は勿体なかったな。マリィちゃんの斧で両断されないとか、かなりの上物だろ?」
「確かに、回収して売れば相当儲かったとは思うけど……これを掘り返す気にはなれないわね」
背後には、完全に崩落した元坑道。確かに、これを掘るのは骨が折れるなんてもんじゃないだろう。
「そもそも、あの爆発じゃ原型留めてないだろうし、どっちにしろ回収は無理ね」
「それもそうか。じゃあ、まあ諦めておくかね。いい男は、物に執着しすぎないもんだし」
「はいはい。言ってなさいよ。ふぅ……それじゃ、帰りましょうか」
言って、マリィちゃんは歩き出す。彼女は聞かない。俺がやったこと、俺の銃のこと、俺の一切合切を、何一つ詮索してこない。
そして、俺も言わない。俺の抱えている問題も、俺の相棒のことも、俺の秘密も、何もかも。その全てを、俺は語らない。
だから俺たちは共に歩ける。だから俺たちは相棒でいられる。お互い何も言わないし、聞かない。それこそが『信頼』の証だと。
「それにしても、疲れたわね……帰ったら、何か甘い物とか食べたいわ」
「あー、いいね。パフェとあんみつ、どっちがいい?」
「パフェも捨てがたいけど、今はあんみつ……いえ、小腹が空いていることを考慮すると、ここはアップルパイとかもいいかも知れないわね」
「パイかぁ。美味しいところ知ってるの?」
「ええ、心当たりはあるわよ。何? ひょっとしてごちそうしてくれるの?」
「いいよ。今回はあんまり撃ってないしね。我が姫のご要望とあれば、喜んで」
おどけて一礼して見せる俺に、マリィちゃんが笑顔を返してくれる。
「なら、ありがたく受け取っておくわ。可愛い女の子もつけてくれたら嬉しいんだけど」
「あー、そっちは難しいかなぁ。ほら、俺っていい男だけど、女の子の好みは綺麗系の人だし」
「あら残念。じゃあ、今回は情けなくてヘタレな王子様で我慢しておきましょうか」
「おっと、王子様とか……何だよマリィちゃん、俺に惚れちゃった?」
「はいはい、惚れてないわよ」
いつもと変わらぬ掛け合いをしながら、二人の帰路は続いていく。町に帰って待っているのは、いつもの日常か、いつもの非日常か。
そうやって帰り着いた俺に待っていたのは、あの坑道内の大爆発すら霞んで見える、超特大の大爆発だった。
「ドネットさん。お嬢さんがみえてますよ」