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0から始める小説の書き方徹底講座! 作者:N.M.ぺんくらぶ

技術論

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惹きつけ続ける技術

 今回はいきなり結論ですが、読み手の興味を維持するために必要なものはズバリ「意外性」です。
 というのも……最初はキャラや設定等に興味を引かれて本文を読み始めた読者さんも、何百ページも続く長編小説を読み進めて行くうちに段々と飽きてくるものだからです。それに対する特効薬(カンフル剤)みたいなものが必要となってきます。

「さっきから似たような展開が続くなあ。だるい」
「なんとなくこの先の展開が読める。このぶんでは問題解決にも興味が持てない」
「キャラの底が浅いね。どんなセリフを言い出すのか想像の範疇だよ」
「(あらゆることが)ワンパターン」

 氷柱のように胸に突き刺さる感想を並べてみました。皆さん見事に冷めてますね。
 これに対策を講じるなら冒頭に述べたように「意外性」を用いるしかないのですが、これは単純なようでいて、いざ実行するとなると非常に困難であることがわかります。
 なぜかと言いますと、作者は誰だって最初からワンパターンにしようと思って話など作ってはいないからです。自分の中では最高に面白いものを書いているはずなのに、読者の予想を良い意味で裏切ることができない。これはそういう病気です。
 私はそれを、「想像の限界」と呼んでいます。
 ちなみに今名付けました。一般的にはマンネリとも言う。

 なぜ読者さんに飽きられてしまうかというと、作者がストーリーやキャラを作る際のパターンを、読み手に完全に読まれているからに他なりません。読者さんの立場からすると物語の源泉部分を読めているのだから、わざわざそこから派生する本文を読む必要がなくなるのですね。
 ですから作者がいくら頭を悩ませても、作者の頭の中にある一定のパターンから派生している限り、読者さんの想定の範囲内になってしまうでしょう。具体的には「ふーん、そうきたか。上手いじゃないか。でもあんまり思ってたのと大差ないかな」といった感想を抱かれるに留まります。
 当然、これでは本当の意味で読者を楽しませることに成功したとは言えません。
 作者の想像は読者の予想を越えられない。そういう意味での「想像の限界」です。

 この状況を打破するために、目から鱗の解決策が一つだけあります。
 それは、作者の予想を逸脱することです。めちゃくちゃ単純ですね。すみません。
 でもこれは実行困難ではありません。技術的な難易度としては簡単な部類に入ります。
 必要なのはそういう発想に至れるだけの経験と、勇気。

 「不条理ギャグ」というものをご存知でしょうか?
 これは読者がまず絶対に予想できないような、脈略もなく伏線もなく、現実的にありえないような、頭のネジが一本どころか三本くらいどっかいったギャグを突発的に放つことを特徴にした作品ジャンルのことです。
 漫画では『ジャングルはいつもハレのちグゥ』『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』等。ライトノベルではおかゆまさき先生の『撲殺天使ドクロちゃん』が思い浮かびます。
 これはギャグ作品の一派に過ぎませんが、あらゆるジャンルにおいて想像の限界を突破するための方策に通じる、非常に参考になる造りをしているのです。

 おそらくこういう不条理ギャグ作品では、作者の方はギャグを思い付いた瞬間に有無を言わさず実行し、意図的に話を脱線させています。
 あるシーンに差し掛かると、キャラクターが急に物語の常識をぶち壊しにかかるのです。それがあんまり痛快なので、そのままギャグとして成立します。読者さんの頭の中はその瞬間「!!?」で埋め尽くされ、冒頭のような冷たい感想はとても言えなくなるでしょう。(ギャグ自体が合う合わないは別です)

 そうしてギャグを楽しんだあとは、また不条理な方法で脱線を元に戻して、もとのストーリー/キャラクター通りに物語を展開させればプロットやキャラ設定の流れを阻害しません。
 あるいはギャグから派生した展開を活かすことも可能です。単なる脱線ギャグが、キャラの深みを増す萌え属性に変化したりもします。
(例:『ジャングルはいつもハレのちグゥ』の登場キャラクター「グゥ」は普段しかめっ面のブサイクなのですが、時々ギャグで美少女に変身します)
 ここで大事なのは、ひとつでもそういう変化球を投げることで、読み手にとって作者が「いつ変化球を投げてくるかわからないピッチャー」に格上げされることです。すると以降は脱線をあまりしなくても、読者さんの予想が自然とこんがらがってストレートでも空振りしてくれるようになります。

 これを応用して、どんな作品のマンネリも打破することができます。多分。
 ストーリーのマンネリは、予定調和に真っ向から逆らう展開を挿めばまずOK。キャラのマンネリは、そのキャラが絶対にしない行動やセリフを言わせるようにしましょう。
 どちらも作者の想像を完全に裏切るような、予定に無い流れにすることを心がけます。理由は後付けでいいです。予定通りの本線に戻す方法も考えることをせず、まずは結果だけをポンと与えます。

例:魔王城から囚われの姫を助け出すシーン 
  → 姫が救出を喜ばないで魔王城に残ろうとする
 当初のプロットでは一緒に城に帰るはずですので、これが予定外の脱線になります。
 ここでは「え! なんで!?」と作者自身が思うくらいがちょうどいいです。
 脱線を終えたので、そこからは想像を働かせて本線に戻す努力をします。

例:なぜ帰ろうとしないのだろう
  → 姫は魔王の座を狙っていたから
 これではギャグになってしまい本線に戻れないので、もうちょっと控えめに考え直します。

例:なぜ帰ろうとしないのだろう
  → 汗と泥に汚れた服と体で城に帰るのが恥ずかしいから
 こっちは可愛らしい理由ですね。姫様の萌え度と人間性がアップするのでこちらを採用します。
 「魔王を目指す姫」に比べて脱線度合いは小さいですが、そのぶん本線へ簡単に戻すことができます。予想を裏切るふれ幅は小さいものの、数をこなせば読み手のマンネリ感は打破できるでしょう。
 あとは本線に戻すために、脱線より派生した「城に帰る前に宿屋へ泊まる」という、ゆうべはお楽しみでしたね的なイベントを経てフィナーレですね。

 これらはいつぞや紹介したような「プロットぶち壊し」「初稿ぶち壊し」と似ていますが、本線を脱しないという前提からして目的が別の考え方です。
 以上、一瞬だけ物語の手綱を離すことで、制御を失わないまま物語に躍動感を与えるテクニックとなります。 M
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