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0から始める小説の書き方徹底講座! 作者:N.M.ぺんくらぶ

技術論

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ストーリーとキャラクターの関係

 物語を考える際に、創作論としては「ストーリーから考えるべきか、キャラクターから考えるべきか」という大きな問題があります。創作者同士の間では「ニワトリが先かタマゴが先か」みたいなノリで、しょーもない論争が交わされる原因になるくらいに根本的な問題です。
 エンタメ小説ではジャンル問わず、キャラクターが重要です。しかし小説は物語がなければ、そもそも小説として成り立ちません。「ならば良い小説をつくるために、どちらを小説の骨格にするべきか」というものが、この問題の主旨となります。

 その結論は、鶏卵問題とほぼ一緒。見方を変えれば結論も変わる。そんなことをあれこれ考えても、はっきり言って無意味です。だってニワトリとタマゴ……ストーリーとキャラクターは、お互いにお互いが存在していないと成り立たない関係ですから。どちらを先に考えたとしても、最終的には両方とも骨格となるに決まっています。
 これらは、人によってどちらを重視しているか(何をウリにしようとしているか)が違うだけです。片方だけが優れていたり、先に完成したりするようなことはまずありません。
 どちらかが先に完成したつもりでももう一方の事情で変更を余儀なくされるものですし、片方がつまらなければもう片方もつまらなく見えるようにできています。お互いの改善案をすべて検討して、脱稿したところで初めて両方が完成となるものです。

 言い換えるなら、ストーリーを考える際にはキャラクターを。キャラクターを考える際にはストーリーを。作者が同時進行で作らなければ、両方の魅力が自ずと死んでしまうようになっているということ。
 たとえば、キャラクターとして「ドラえもん」が先にできていたとしましょう。未来の世界からやってきたネコ型ロボットです。ポケットに秘密道具をいっぱい持っています。
 彼を登場させた場合、具体的な方法はともかくとして、ストーリーには必ず時間移動と秘密道具が密接に絡んでくることでしょう。そうじゃないと、このキャラクターは「ドラえもん」ではなくなってしまうからです。
 ドラえもんのアイデンティティは、22世紀と四次元ポケット。最低でも、ストーリーはこの2つを中心に据えた展開にしないと、彼の魅力を引き出せないことは言うまでもありません。すなわち、キャラクターの魅力を決めた時点でストーリーも決まっている、ということになります。
 逆もまた然り。「さえない小学生を助けるために未来からやってきたネコ型ロボットが、不思議な道具を使って活躍する話」なら、ストーリの軸(主に魅せたい展開)をはっきりさせるために、さえない小学生とネコ型ロボットを魅力的な物語の主人公レベルに昇華せざるを得ません。面白いストーリーになるように設定を詰めたら、キャラクター像もできていた。そういうものです。

1.ストーリーはキャラクターを活かせるものにしなくてはならない
2.キャラクターはストーリーを面白く見せるものでなければならない

 これらの鉄則は案外忘れがちなので、迷ったときには考え方の指針になります。

Q.魅力的なキャラクターの設定はあれこれ考えたが、小説内で魅力を引き出せません。なぜ?
A.ストーリーがキャラクターに合っていないためです。そのキャラが得意とするシチュエーション(見せ場)が物語に組み込まれていないためにそのようなことが起こります。
 ストーリーの展開や雰囲気をもう一度考え直し、自然な流れの中でキャラが輝く展開に思い切って変えてしまいましょう。文字数やストーリーバランスの関係でどうしてもそれが無理なら、そのキャラはその物語に不要ということです。キャラの方をばっさり切ってしまいましょう。

Q.面白いストーリーの展開はあれこれ考えたが、小説内で面白く見えません。なぜ?
A.キャラがストーリーに支配されてしまっているためです。キャラクターの行動原理に説得力がなく、ストーリーを追うだけのマシーンと化してしまっているためにそのようなことが起こります。
 読者はストーリーを追うとき、キャラを通じて感情移入します。感情移入のできないキャラ・行動に説得力のないキャラ(作者の操り人形)ばかりの小説は「作者のネタ帳」をそのまま読まされているのと同じようにしか映りません。物語を物語として受け止めることができないわけです。
 キャラクターの設定や目的を考え直し、ストーリーの流れにマッチした行動原理を持つように思い切って変えてしまいましょう。ストーリーに沿ったキャラクターが作れないなら、そのストーリーは最初から破綻した、展開に説得力もなく感情移入もできない内容だったということです。その理詰めで考えていたプロットをさらりと白紙に戻して、キャラの魅力を活かせる素直な展開に書き直しましょう。


 これらはストーリーが駄目な場合はキャラに問題があり、キャラが駄目な場合はストーリーに問題がある、という意外性のあるケースです。一見すると極端なケースに見えるかもしれませんが、このような問題は、実際には結構頻繁に起こります。
 それなのになかなか問題点に気づけないのは、直すためにはせっかく考えたキャラ設定やストーリー展開を大きく壊さないといけないために、できれば他の方法で対処したいという甘えが作者の中にあるからです。一応、これらはキャラクターシートとプロットの作成段階で防ぐことができるのですが、それには経験が必要です。プロレベルになるまでは問題点に気づかず書き上げてしまうことがほとんどでしょう。
 余談ですが、その点についてひとこと。
 まず量を書き上げてみることは上達に必須な行為ですが、ある程度のレベルに達すると、より慎重に改稿を重ねた方が効率よく上達することができると思います。少なくとも、生産された一作一作の質が上がることは間違いありません。
 その際に、このような「初稿ぶち壊し」とブラッシュアップの技術が必要になってきます。
 もし執筆中に自分の小説に魅力を感じなくなったら、キャラクターの魅力とストーリーの面白さ、その両方がお互いを引き立て合う構造にできているかを確認してみてください。 M
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