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0から始める小説の書き方徹底講座! 作者:N.M.ぺんくらぶ

ストーリー

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構成力ってどんなもの?

 ライトノベルの評価項目は、概ね以下のように分類されます。
○キャラクター
○ストーリー
○世界観・設定
○構成
○文章
 これらは、新人賞の評価シートに使われているものとほぼ同じ分類です。その他には、○独創性 ○商業性 などが追加項目として加えられる場合もあるようでした。
 それぞれを上から順番に見ていくと、なるほど確かに大事だな、と思えるものばかりですね。ですがただ一つだけ、どこをどう評価しているのかやや疑問に思うものがありませんか?
 それはズバリ、「構成」の項目ではないでしょうか。
 そもそも構成って何なのよ、ですとか。どんな小説なら構成力が高いといえるの? ですとか。何を隠そう、疑問に思っていたのは私自身です。長年かなり謎でした。
 今回は、その「構成力」について考えていきたいと思います。

 構成力とは「面白い小説になるように効果的な順番で、適切な文章・シーンを組み立てていく力」です。次に何を書くかを決める能力とも言い換えられます。
 一つの文章が文章力によって作り出されるものだとしたら、それをいくつもいくつも組み立てて繋ぎ合わせ、一つの場面を作ることが「構成」です。さらには、そうやって組み立てられた場面をまたいくつも組み立てて、最終的に一つの物語として完成させることをも指します。
 その関係で構成力は、精密かつ魅力的なプロットを作り出すために、必須のものになっています。プロット作成に重要になるということで、構成力はストーリーと密接な関係がある、ということが見えてきますね。
 実際に、この講座においても「ストーリー」のカテゴライズで紹介されている技術は、ほぼそのまま「構成」の項目として置き換えることができます。『物語の中間点とは?』などがその代表例で、これらは優れた構成を持つ作品を作るために、具体的にどうしたらいいのかについて言及しています。
 しかし、前述の評価項目では「構成力」と「ストーリー」が別項目として数えられていますよね。これは、ストーリーは逸品だけど、それを魅力的に見せるための組み立て技術が致命的に欠けている場合もあるからです。

 たとえば、力の弱い少年が少女を守るために悪役と戦い、勝利する。といった感動ストーリーがあるとします。
 セオリーに従えば、それを魅力的に描くためには、次のような要素が重要です。
・少年が弱いということが、悪役との戦闘より前にあるシーンで描写されていること
・少女に守りたいと思えるだけの魅力があると描写されていること
・悪役が少年では勝てないくらいに強い存在であると演出されていること
・悪役がなんとしても倒してやりたいと思えるような存在であること
・少年が勇気を振り絞って悪役と戦い、苦戦の末に勝利すること

 小説は、基本的に自由なものです。
 上記は重要ですが、もちろん必須要素ではありません。しかし、これらが守られていれば王道物語として、ストーリーの縦軸はかなり面白いものができあがることが容易に想像できると思います。

 「構成力」が高いと、これらの要素を小説内で適切にちりばめることができます。その際、とりわけて執筆意図を持たない不必要な情報(無駄なシーン)については、原則として描写しません。描写しないことで読む側の焦点を大事な部分に合わせ、物語をシンプル・スマートにまとめるためです。
 逆に「構成力」が低いと、上記の項目のうち、いくつか欠けている物語になってしまいそうです。最悪の場合、上記のうち一つも入れ込まないまま、悪役とのバトルシーンにたどり着いてしまうこともあるでしょう。
 ちょっと休憩がてら、そういったケースについて考えてみましょう。

『あるところに彼女持ちで一人暮らしの少年がいた。少年の夢は気象予報士になることだった。少年は、森で女の子が動物に襲われていたので、足元に落ちていた石を投げて追い払った。読者にとってはその後にわかったことだが、その動物は過去に少年の母親を殺した人食い熊だったようだ。ちなみに逃げた熊の年齢は22才で、40年くらいの寿命がある種だった。それに少年は実は病弱で勇気もなく、石を投げるのにも手が震えていたらしい。助けたあとに少年が女の子の顔を見たら、なんと恋人のフワンソワーズだった。フランソワーズはとても心優しく、母親を失った少年の心を癒してくれていた。「助けてくれてありがとう」。そう言って、フランソワーズは少年の頬にキスをした。』

 うわっ……我ながらひどいですね!
 しかしこれは設定やストーリーがそこまで悪いわけじゃなく、構成が悪いだけだと思います。まったく同じストーリーでも、もうちょっと魅力的に構成できるのではないでしょうか?

『病弱な少年は、かつて人食い熊に母親の命を奪われた過去があった。月日が流れ、少年はとても可愛らしい少女と出会った。少女の名はフランソワーズ。たちまち二人は惹かれあい、恋人になった。優しいフランソワーズのおかげで、少年の心の傷は癒えてゆく。しかしある日、少年とフランソワーズが森へ出かけると、あの忌々しい人食い熊が現れた。少年は逃げ出したが、フランソワーズは腰を抜かし、逃げ遅れていた。少年は逃げる足を止めた。このままでは母親を失ったあの日と同じだ。僕は強くなったのだ。彼女だけは、死んでも僕が守る。少年は少女を庇うようにして、人食い熊の前に立ちふさがった。震える手で石を手に取り、投げつけると、人食い熊は驚いて逃げて行った。「助けてくれてありがとう」。フランソワーズは、少年の頬にキスをした。』

 物語が情報の羅列でなく、ちゃんと物語として組み立てられていますね。起承転結・序破急に代表される物語の繋がりと、その変化を意識して構成しているためです。
 いつものように多少演出してしまいましたが、これは物語がもともと持っていた設定などを明かす順番を変えて、クライマックスの人食い熊との対決シーンに感情の爆発が起きるようにしています。ダメなほうの例だと感情が爆発する理由がそもそも事前に明かされていないため、こういった演出をかけることすらできません。
 それから、情報を適切な順番で明かしているだけで、世界観やキャラ設定、起きている出来事自体はほとんど変わっていません。構成力がどういう作用を起こすか、なんとなくわかるような気がしますね。

 ちなみに、「構成力はストーリーと密接な関係がある」と上のほうに書きましたが、あれは正確にはちょっと違います。「ストーリー」だけではなく、「キャラクター」「世界観・設定」を魅力的に見せるためにも、「構成力」は重要な役割を果たしているからです。
 すなわち構成力は、文章力と共に他の要素を支える技術(テクニック)
 ある種の表現力が要求される文章力と比べて、物語の構成は、より論理的な考え方が通用しやすくなっています。直感よりも頭で考えて書くタイプの作家さんが得意とする能力ではないでしょうか。 M
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