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0から始める小説の書き方徹底講座! 作者:N.M.ぺんくらぶ

文体と文章作法

会話文の基礎理論

 会話文の基礎として項目を設けたものの、技術論で言えることはほとんどありません。
 なぜなら会話文で最も重要なのはセンス。メソッドは飾りです。
 会話文の中身についてはどんな書き方をしていても、それがその作品の個性なんです。まわりくどい台詞も好きな人はとことん好きですし、現代ッ子として俗語を多用するのも一興です。ライトノベルではネットスラングの多用が流行っていますが、作風に合致しなければ無理に取り入れなくても構いません。
 ですので今回は会話文の中身ではなく、外堀を飾る理論ついて紹介していこうと思います。
 強いて言えばこの3つ。基本中の基本ですし、特に目新しいことでもないかも。

☆会話文では誰が喋っているのか混線しないことが重要!
①同じ人物のセリフは原則として、連続で並べてはいけない
②連続する会話文では、適度に地の文の描写を入れる
③口調や発言内容で書き分けをする技術

 小説では全てを文字で表現しなければいけません。
 会話にシーンおいて、漫画やアニメでは吹き出しや声によって直感的に伝えられる「これは誰のセリフか」という最も単純な情報さえも、小説では文章による工夫無しでは伝えることができないのです。
 そこで上記のような技法が重要になってきます。

 ①について
 読み手が小説を読むルールとしての「会話文が連続したら、直前の会話文とは別人のセリフである」という原則を、書き手側も守ろうというだけの話です。今回も例文で考えていきましょう。

【失敗例】
「じゃあこの事件は、外部の犯行だとでも言うつもりか!?」
「いや、そうじゃない」
「本当は、お前が犯人なんだろ」
「俺じゃない。犯人はお前だ」

 この場合、普通はこう読まれます。
B「じゃあこの事件は、外部の犯行だとでも言うつもりか!?」
A「いや、そうじゃない」
B「本当は、お前が犯人なんだろ」
A「俺じゃない。犯人はお前だ」
 AとBがお互いを犯人扱いしていますね。

 しかしこの例文では、実は何通りかの解釈が可能です。
 たとえば……

B「じゃあこの事件は、外部の犯行だとでも言うつもりか!?」
A「いや、そうじゃない」
A「本当は、お前が犯人なんだろ」
A「俺じゃない。犯人はお前だ」

 これは犯人としての容疑をかけられていたAが自らの容疑を否定して、真犯人のBを追い詰めるパターン。もし作者本人がこういうつもりで書いていたとしたら、読者さんに誤解を与えてしまいます。
 もっとひどい場合……

B「じゃあこの事件は、外部の犯行だとでも言うつもりか!?」
A「いや、そうじゃない」
C「本当は、お前が犯人なんだろ」
A「俺じゃない。犯人はお前だ」

 に読み取られるかもしれません。
 そうなると真犯人がCになって、話がもうゴッチャです。
 無用の混乱を避けるために、同じ人物が連続して喋る場合には説明のための地の文を挟むようにしましょう。この原則の例外は、それが明らかに同一人物の発言だとわかる状況下で、かつ演出として、発言の「間」を表現するために同じ人物の会話文を連発する技法を用いた場合くらいなものです。

【成功例】
「じゃあこの事件は、外部の犯行だとでも言うつもりか!?」
「いや、そうじゃない」
 あわてふためくBに、Aはそのゴツイ人差し指を突きつけた。
「本当は、お前が犯人なんだろ」
 途端に凍りついたBの表情を眺め、ふうっと長い息を吐き出すA。
 認めたくない事実を無理やり飲み込んでしまうために、彼はもう一度言った。
「俺じゃない。犯人はお前だ」

 ②について
 仮に同じ人物のセリフじゃなくても、ある程度会話文が連続したら、やはり地の文を間に入れるようにしましょう。①で紹介した成功例でもわかるように、発言者の動きや表情を途中途中で描写することは発言者の書き分けにもなりますし、より場面の情景を読み手に伝わりやすくする作用もあります。

 ――書き方のコツ――
 「~は言った」の連発でも誰のセリフかはわかりますが、それだけでは文章に芸がないです。
 慣れていないうちは地の文を埋める表現に幅が無いため、同じ表現を繰り返してしまうことがよくあります。しかしワンパターンな文章では稚拙さが目立ちますので、なるべく毎回違う表現を用いるように心がけましょう。<あると便利な各種辞典!参照>
 たとえば①の成功例では「あわてふためくBに、Aはそのゴツイ人差し指を突きつけた」とありますが、これは誰がどのセリフを言ったのかを直接説明してはいません。
 しかし各人物の表情や動きで、AとBがどちらのセリフを喋ったのかがわかるようになっています。Aの動きを説明した直後、また続きの会話文が差し込まれていますが、読者さんはこの時Aに注目しているので原則Aの発言だと思ってくれます。

 こういったさりげない誘導がある文章が、混乱なく読める文章です。
 しかし副作用として、こういった地の文は会話文の掛け合いリズムを少し削いでしまう面もあります。そのためギャグやコメディのシーンでは、あえて地の文を挟まない書き方をしている作家さんも多いです。

 ③について
 ただそういったケースでも、発言内容や口調で書き分けができてしまうのがやはりプロ。
 これについてはここで例文を出すより、本棚から見本を取り出した方が早いでしょう。試しに一冊、コメディ要素の強い作品を本棚から抜き出し、地の文をすべて飛ばして読んでください。
 特に掛け合いの多い作品ではテンポを重視し、地の文を排除するために会話文で色んな事を説明しようとしています。地の文を飛ばして読んでみても、会話文の中身でどれだけの情報が伝わってくるかわかるはず。それを分析しながら読んでみましょう。きっと勉強になるはずです。
 自分が書いている小説を同じように会話文だけ抜き出して読み比べてみるのも、違いが見えて面白いかもしれませんね。 M
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