挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
0から始める小説の書き方徹底講座! 作者:N.M.ぺんくらぶ

文体と文章作法

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

11/61

人称と視点を決めよう

 小説本文を書き始める際には、必ず地の文を一人称で書くか三人称で書くかという「人称」の問題と、どこに語り部の立ち位置を置くかという「視点」の位置を決めなければなりません。
 以下、私なりにご説明させていただきます。
 ただし意味や名称、細かい分類については論者によって微妙に異なっており、統一されていないのが実情です。しかし大まかな考え方の部分は一緒なので、誰が正しくて誰が間違っている、などの問題は発生しないようになっています。

■一人称
 登場人物の一人が語り部となり、その人物の視点で書かれた小説。
 語り部が視点主なので、視点主の口調をそのまま地の文にすることができる。
 例:「僕は○○と言った。やれやれだ。」「私は××をした。超楽しい。」

■二人称
 語り部である「私」が、「あなた」に対して直接語りかけるように書かれた小説。
 かなり特殊な形なので、普通の小説には使われていません。
 例:「君は俺に言ったはずだ。もっと熱くなれよ! と。」

■三人称 神視点(完全客観型)
 登場人物ではない第三者が語り部となるものが三人称。
 神視点(完全客観型)では視点を常に中立の一点に固定し、どの登場人物の過去も語らなければ心理描写もせず、定点カメラとしての立場から客観的に情景描写のみを行う。
 ※客観的であれば主人公の心情の説明ができるとする人もいます。
 例:「彼は死んだ。その場の全員が黙とうを捧げた。しかしBだけが微かに笑みを浮かべている。」

■三人称 神視点(多元視点型)
 多元視点型では「神」に視点を置き物語を外側から見守るが、作品内すべての事情を知っているために何でも記述することができる。どの登場人物にも自由なタイミングで視点移動をすることで、登場人物全員について直接的な心理描写ができる。
 ※完全客観型とどちらを「神視点」と呼ぶかは、人によって変わってきています。
 例:「彼は死んだ。――なんてことだ。Aは楽しかった日々を思い出して涙したが、Bは黙とうを捧げながらも遺産の分配について計算していた。これであの家は自分のものである。」

■三人称 一元視点
 登場人物ではない第三者が語り部となるが、ワンシーンにつき登場人物の一人だけに視点を定め、その人物の見た風景や内心のみを描写する形式。一人称の「僕」をそのまま「A」に置き換えたものと近いが、一人称とは違って視点主の口調や知識によるものではない文章を地の文に書くことができる。シーンの切り替えを伴えば、視点主そのものの変更も可能。
 ※作中で一度でも視点移動をしたものは一元視点ではないとする人もいますが、シーンの切り替えをせずに視点移動をする神視点(多視点型)と区別するために視点移動は可とします。
 例:「彼は死んだ。Aは楽しかった日々を思い出して涙した。しかしBの方に目をやると、かすかに口もとが緩んでいるようだった。」


○メリットとデメリット
 一人称と三人称一元視点では、語り手の心理描写を「心の声」のように地の文へ書くことができます。物語をずっと特定の人物の心理と共に追うことになるので読み手がその人物に感情移入しやすくなり、読みやすさと臨場感が高まります。書き手にとっても、日記を書くような感覚で地の文を書くことができるおかげで、最も筆が進みやすいはずです。
 その代わり、その作品では視点主(多くは主人公)の見たもの聞いたものしか描写をすることができません。主人公の知らない場所で起きているドラマを描くことができなくなります。
 発展:主人公の知らない出来事を書く際には場面変更時に視点移動をするのですが、一人称のまま視点移動をすると移動先のキャラクターの内面を必ず書かなければならないため、それまで主人公に感情移入をしていた読者さんがほぼ確実に戸惑います。その点、もともと三人称一元視点ならそのまま三人称神視点(完全客観型)に移行すれば内面描写を回避できるため、少しだけ違和感なく視点移動をすることができるようです。

 二人称を採用する作品はそう多くありません。書くのも読むのも難しいので、変わり種であることを狙うのでなければ挑戦しない方がいいでしょう。

 三人称神視点では、物語中どこで起きたドラマも描くことができます。
 デメリットとして完全客観型は「心の声」を一切地の文に書くことができないので、どのキャラクターの心情も仕草や表情、発言等で読み手に推測させることになります。視点主となる「神」をナレーション役にして、ナレーターにキャラの心の声を推測させるという書き方もありますが、それは実質的に客観的ではなく「神」というキャラ視点の三人称一元視点になってしまいますので、あまり一般的ではありません。
 多元視点型はワンシーンで視点がコロコロと変わってしまうため、読者さんが誰の心理描写なのか混乱してしまい、読むのを苦痛に感じやすくなります。また読み手が特定の人物に感情移入することが難しくなるせいで、作品の臨場感も減少します。その代わり全登場人物の「心の声」を書くことができるため、ドラマをより深く描くことができます。

☆まとめ
 どの人称・視点にもメリットとデメリットがあり、メリットを活かし、デメリットを回避するためのテクニックが異なってきます。自分の作品にはどういった人称・視点がふさわしいか、良く考えてから決定することをオススメします。
 一例ですが、主人公のツッコミが頻繁に入るギャグ・コメディの作品は主人公に視点がないと、地の文でのツッコミができなくなります。この場合は一人称か、主人公に視点を置く三人称一元視点が最も楽に書けるはずです。
 反対に、多くのキャラクターが頭の中で考えながらアクションを起こすバトル描写のある作品。こういう作品で主人公に視点があると、敵の隠された能力や主人公が気絶している間の描写、主人公以外のキャラクター同士が戦う描写等ができなくなります。そんな物語を一人称で書くのは相当難しいので、導入の日常シーンから一貫して三人称で書くようにするといいんじゃないかと思います。
 あとから書き換えるのは不可能ではありませんが、めちゃくちゃ面倒くさいです(経験者談)。

 ちなみに視点移動や人称変更は、新人賞等の公募では下手に扱うと減点対象になるケースが多いようです。
 上手く扱える自信が無いのであれば、極力避けるのがいいかもしれません。 M
cont_access.php?citi_cont_id=835018478&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ