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学校の怪談殺人事件 作者:あじろ けい

第7章 解決編

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解決編(1)

 海に呼び出され、八角の間にむかうと、すでに何人かの関係者が集まっていた。
 校長業務で忙しいのにと、富岡校長はイライラと足を踏み鳴らしている。富岡に、何の用なのかと詰め寄られた安達刑事は、自分も海に呼び出された口だからと困った表情を浮かべるばかりだ。佳苗と希美は互いに寄り添い、胸の前で組んだ両腕をしきりにさすっている。玲子と幸子、奈穂の事務員グループは三人でかたまっていたけれど、もうすぐ退職する奈穂は幸子たちとは少し離れた所に立っていた。市川は絵の具の飛び散った白衣のポケットに両手をつっこみ、八角の間を落ち着きなく歩き回っている。
「手短にお願いしますよ」
 警備員の小野が小走りにやってきたところで、それまでベンチに腰掛けて黙っていた海が立ち上がった。
「全員そろいましたね」
 海は全員の顔を見わたした。
「御藏くん。何だって私を呼び出したのかね。私はね、忙しい身なんだよ。津田沼校長が亡くなって、その後の事件のこともあって、こんな所で油を売っているわけにはいかないんだ」
 富岡は威圧的な物腰で海を睨みつけた。富岡をかわきりに、希美、幸子たちも、柔らかい口調ではあったけれど、口ぐちに文句を言い始めた。
「先生方をお呼び立てしたのは、相馬七美を殺した犯人を捕まえるのにご協力いただきたいと思ったからです」
 物おじしない海の凛とした声に、その場にいた全員が一斉に口を閉じた。
「海くん、犯人が誰だかわかったのね」
 希美の目がきらりと光った。不倫相手の松戸は津田沼校長を殺した犯人ではないかと疑われ、姿を消したといわれている。松戸の無実を信じているのは、希美だけだ。
「はい、白石先生。津田沼校長たちを殺したのは松戸先生ではありません」
 とたんに希美は膝を折ってその場に崩れ落ちた。佳苗が支えてくれなかたらそのまま床の上に倒れ込んでしまっていただろう。佳苗に支えられ、希美は辛うじて立っていた。
「犯人がわかっているなら、さっさとそこの刑事に引き渡せばいいじゃないか」
 むすっとした表情で富岡は顎で安達をさした。
 安達はむっとした顔で富岡を睨み返した。
「その前に、もうひとつの殺人を解決しないとならないんです」
 全員が驚きの表情で海をみやった。
 前もって今回の連続事件の犯人がわかったと聞かされてはいたけれど、別に殺人事件があったなんて知らなかった空と陸もとびあがるくらい驚いた。
 殺人事件と聞いて一番驚きが大きかったのはやっぱり安達だった。海に呼び出されたからには、犯人の目星がついたのだろうとは予想していただろうが、別の殺人事件とは寝耳に水だったらしい。血相変えて海に詰め寄った。
「もう一つの殺人事件とは穏やかじゃないなあ。警察は何も聞いてないぞ」
「二十年ほど前に起きた事件なんです、安達刑事。それに当時は誰も殺人事件だなんて思ってもいませんでした」
「そんな古い話が今回の事件と何か関係があるのかな?」
 市川の口調は怒っているようだった。無理もない。誰も、昔物語を聞きたいわけではなく、今回の殺人事件の犯人を知りたいのだ。
「二十年前の殺人事件だかの犯人が今回の事件の犯人と同一人物ってことは?」
 希美を抱えたまま、佳苗が怯えたように尋ねた。
「だったら、松戸先生は犯人ではありえないわ! 二十年前、彼はまだ十歳だったもの!」
 あたりを見回しながら、勝ち誇ったように希美は叫んだ。松戸を犯人だと噂した人々へのあてつけだった。それから海にすがるような目線をおくった。
「海くん、さっき、今度の事件を解決する前に、もう一つの事件を解決しないとならないと言ったわよね。それって、二十年前の事件と今回の事件の犯人は同一人物ってことなのじゃないの?」
「いいえ、白石先生。今回の事件と二十年前の事件の犯人は別人です。別人ですが、今回の事件にまったく関係がないわけでもないんです」
「その二十年前の殺人事件とやらについて、はやいところ話を聞かせてもらえるかな」
 安達に促され、海は話し始めた。
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