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学校の怪談殺人事件 作者:あじろ けい

第6章 怪談の呪い

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怪談の呪い(4)

 真に受けた空と海に対し、陸は懐疑的な眼差しを真澄に向け
「オヤジ、作り話じゃねえだろうな」
「そんなわけあるか。お前たちの話を聞いていて思い出したんだ。俺たち――俺と空ちゃんとこのパパとママだが――が高校三年の時だから、二十年ぐらい前の話だな。一晩のうちに美術室の石膏像が並べ変えられていたって美術部の連中が騒いでいたっけ。泥棒にでも入られたんじゃないかって話だったけど。その話が動く石膏像の怪談のもとになっているんじゃないのか」
「血を流すマリア像はどうなんです?」
「同じ頃だったと思うよ、空ちゃん。あの年は変な年だったんだ。八角の間で靴が片方だけ残されていて、その靴の持ち主が行方不明になったこともあったし」
「異臭騒ぎもありましたよね? 宮内先生が失踪した頃と同じだから覚えているって、パパが言ってました」
「ああ、そうだ。あいつは宮内先生に惚れていたから、覚えているんだろう」
「パパは、御藏さんが宮内先生に夢中だったって言ってました」
「男子生徒はほとんど彼女に惹かれていたさ」
 照れ隠しなのか、真澄は笑ってみせた。
「血を流すマリア像の話!」
「ああ」
 陸にせかされ、真澄は先を続けた。
「血を流したっていうか、血がついていたってだけの話だな。それも血かどうかもわからん。絵の具とか、ケチャップとか、そういうオチかもしれない」
「父さん、ケチャップはないと思う」
「ん? そうか。まあ、とにかく、血のようなものが、マリア像のスカートっていうか、衣の裾のあたりについていたんで、騒ぎになったんだ。血しぶき程度だったと思うけど、いつの間にか、血を流すとか大量出血な感じになったんだな」
 海の言った通り、怪談には元ネタがあったのだ。
 ちょっと不思議だった話が、生徒たちによって怪奇なものへと変容した。それだけのことだった。マジックのネタを知った時のような脱力感を、空は得ていた。
「七つ目の怪談も、二十年前の出来事を元にしたものなのかしら」
 空は目玉焼きの乗った皿を、陸と海の二人の前に差し出した。
 朝食を口にしていなかった陸はまだしも、海も空腹を訴えたので、空は台所にたった。しかし男所帯の御藏家の冷蔵庫にはろくな食べ物が入っていなかった。真澄は締め切りがあるからとさっさと自室に引きこもっていた。
「だとすると、美人女教師の失踪事件か、異臭騒ぎが元ネタになってそうだけどな。異臭ネタはどうなんだ? オヤジによると、下水が詰まっていたって話だったけど」
「下水には何が流れているか、わからないところがあるから。そういう意味では怪談の元ネタになりそうなものだけど……」
「下水に流したものが集まって妖怪になるとか、そういう類いの話ならありそうだな」
「何にせよ、寺内くんは七つ目の怪談を知った。そして、その怪談には一連の事件の犯人につながるヒントが隠されていた。七つ目を知ると死ぬという呪いも、何らかの形で犯人を指し示していたから、その呪いの謎を解いた寺内くんは犯人にとって邪魔な存在になってしまった……」
「寺内の奴、何か言っていなかったか?」
「何も」
 空は首を横に振った。
「寺内くんは、今回の事件が連続殺人事件だって知っていたわ。それで、ひとりで犯人捜しをしていたの。どちらが先に犯人を捜しあてられるか、海と競争だって言ってた――」
 空はそれまで海には黙っていた篤史とのやりとりを打ち明けた。
 海は重いため息をついただけだった。
「寺内はバカだ……。犯人捜しの競争だとか、僕を出し抜くだとか――死んでしまったら、どうにもならないだろうに……」
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