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学校の怪談殺人事件 作者:あじろ けい

第4章 嘆きのマリア

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嘆きのマリア(1)

 風呂を使ったなり、聖歌は自分の部屋へとまっすぐに引き上げていった。急がなければ。
 いつもならすぐにベッドにもぐりこむところだが、今夜はパジャマではなくてデニムとTシャツに着替えている。
 たった今あがってきたばかりの階段を忍び足で降りていく。
 居間からはテレビの音が漏れ聞こえていた。
 母親に気取られないよう、玄関へと向かう。
 鍵をそっと開け、素早く外へ出た。
 むっとする湿気があたりに立ち込めている。今夜は雨になるかもしれない。
 聖歌は腕時計を確かめた。時刻は午後十時半を示していた。
 駅にむかって聖歌は走り出した。この時間ならまだ電車は走っている。
 あの人が言うんだから間違いはない。あの人はわざわざ怪談の呪いを解く方法を教えてくれた。あの人の言う通りにすれば、呪いから解き放たれる……。
 七美はトイレの紙さまに殺された。次は自分の番だ。
 そもそも、怪談の呪いにかけられたのは自分が先だったのだ。石膏像が津田沼校長を殺す瞬間を目撃してしまったから……。
 七美は怪談も呪いも信じていなかった。怪談なんて作り話だと言い張ってトイレの紙さまを怒らせ、そして殺されてしまった……。
 死を逃れることはできない。部屋にこもって怯える日々が続いた。
 そんな時に、あの人からメールがあった。
 聖歌はポケットに入ったケータイを握りしめた。
 あの人からのメールには、呪いを解くために行くべき場所と日時が記してあった。今夜がその時で、聖歌はその場所を目指していた。
 再び、聖歌は時計を見た。時間はぎりぎり間に合うかどうかだ。
 聖歌は走るスピードをあげた。
 夜遅くとあって電車は空いていた。上りだから酔客すらもいない。目的の駅に着くなり、聖歌は電車を飛び下り、改札を駆け抜けた。
 勝手知ったる道を駆けていくと、ものの数分で聖パトリック学園の正門前にたどり着いた。
 正門は開いていた。
 吸い込まれるようにして聖歌は正門を通り抜けた。その足で、あの人に指示された場所へと急ぐ。
 夜の学園内に明かりはなく、行く道は暗かったが、聖歌の足は止まらない。ふと、自分の足音に重なる別の足音を耳にした気がした。
 石膏像だ――聖歌は体を固くした。
 学園に足を踏み入れたものだから、石膏像が自分の存在に気づいて追ってきたのだ。
 聖歌はさらに足を速めた。
 呪いを解くために、その時間までにあの場所へ向かわなければ。
 しかし、聖歌はその場所にたどりつけなかった。
 暗闇にぼんやり浮かんでみえたその場所まであと少しというところで、聖歌は後頭部に強い刺激を感じた。薄暗がりだった世界が一瞬で暗転した。その後はずっと暗闇だった。
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