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竜騎士から始める国造り 作者:いぬのふぐり

西国境建領編

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新しい大将

2話連続更新です。
話は前後しても問題ありませんが、ご注意をお願いします。
「おっ、おぉお…………」

 見世物広場と呼ばれる、町中にぽっかりと空いた空間で行われている見世物(・・・)に、俺は驚きの声を上げた。
 言うなれば粛清の嵐だ。

「ロベール様、ここは余り良くないです。戻りましょう」

 見入っている俺の手を掴んでこの場から離れようとしているのは、一緒に市場へ買い物に来たアムニットだった。
 俺が呻いているのを、目の前の惨劇に体調を狂わしたからと思ったのだろう。

「おっ、おぉ。マジでヤバいな」

 広場に作られた即席の舞台の上では、首つり死体が15体並んでいる。その死体は(みな)、犯罪者用の麻で作られた貫頭衣の様なポンチョを着せられ顔は丸出しだ。

 そして、その死体の顔のほとんどに見覚えがあった。
 全員、騎馬騎士本部所属の幹部たちだ。おっさん`S()アゴ髭(ビアード)やカイゼルも居た。

 この人数は少ない方で、今まで俺が見た中で一番多かったのが、奴隷の時代に捕まえた(・・・・)野盗26人の縛り首だった。
 良い具合に枝の張った木にロープを垂らし、そこに一人、また一人と吊り下げて行くわけだが、折角生かして捕まえたと言うのに皆殺しにしてしまって、どうしようもない虚しさがただただ溢れ出したのを覚えている。

 ではなぜ少ない人数で粛清の嵐と言う感想を抱いたのかと言うと、その(あと)にはこの幹部たちの家族と親戚が続けて縛り首になるからだ。
 近くに居た町人の話を盗み聞きすると、その数は何と160人くらいになるそうだ。しかも、まだ年端もいかない子供も全て。
 見せしめと言う意味合いも含まれていると思うが、それでもやり過ぎ感が否めない。

「ロベール様、ちょっと待っていてください」
「うん?」

 処刑場の熱気が無い平民街の一角で、アムニットは井戸へ向かって走って行き、タオルを水で濡らすとすぐに戻ってきた。

「失礼します」

 そう言ってアムニットは湿らせたタオルで俺の顔を拭い始めた。

「あれっ? 何か汚れてた?」

 元居た世界の現代では考えられない話だが、娯楽の少ない昔やこの世界では処刑も一種のショーになる。
 だから近くの屋台は盛況になり、人々は飯を食いながら処刑されるところを見るのだ。

 今回は処刑されたのが国の主要人物だったから結構静かだったけど、これが世の中を騒がせた大悪党だと熱狂渦巻くものとなる。
 常識と言うかマナーのなっていない奴らは口に物を含んだまま怒鳴り、手に持った食い物をヒートアップした腕と共に動かすもんだから食べかすとかが飛んでくるのだ。

 そういう場合は頭とかが汚れたりするもんだけど、今回は遠目だったし群衆からも少し離れていたのでその心配はないはずだ。

「顔色が良くなかったから……」
「なるほど」

 アムニットにされるがまま顔を拭いてもらい、いくらかサッパリしたところで再び処刑台のある方を見た。
 ココからでは見る事は出来ないが、その喧騒だけは確認することができる。

「騎馬騎士本部の人が、間者をこの国に入れていたと言うのは本当なんでしょうか……?」

 アムニットはあの様な状況になった理由を聞いてきた。

「らしいな」

 とは言うものの、前々からその気があるとは思っていたけど、まさか幹部連中が手引きしていたのは驚きだ。
 この国は、もう先が無いかもしれない。

「この国はどうなってしまうのでしょうか……?」
「どうもならん。その為に人事異動があったんだからな」

 こともなげに、そう言い放つ。本当にこの国が大丈夫なのか分からないが、不安がっているアムニットが求める言葉は弱音ではないと思ったからだ。
 その俺の言葉に何を思ったか分からないが、アムニットは小さく頷いた。



 前日――物資投下任務による特別休暇中――

 騎馬騎士本部の幹部が捕まったと言う報は、竜騎士(ドラグーン)育成学校の寮で寝転がっていた俺に、顔を腫らしたフィーノが直接伝えに来た事で知った。
 リッツハークにボコられてからこっち初めてフィーノを見たが、やはり一日程度では殴られた傷はいえないようだ。

「――そう言うわけで、騎馬騎士本部の上層部が刷新される」

 マジかよ。このクソ忙しい時期に、主力である騎馬騎士本部の頭を挿げ替えるなんて。本部側では上へ下への大騒ぎだろう。
 状況が状況なだけに仕方のない事かもしれないけど、それでも歩みが乱れるのは確実だろう。ただ良かったのは、砦へ増援として行っている連中は知らないと言う事だ。
 おかげで浮足立つことは無いはずだ。

「なるほど。内容は理解しましたが、ただの候補生に言って良い話じゃないですよね?」

 騎馬騎士本部の幹部連中が捕まったと言うスキャンダルは、帝国内に激震を走らせるほどの内容だ。後々分かる事だとしても、それをただの候補生に話して良いものじゃないはずだ。

「その通りだ。しかし、新しく騎馬騎士本部の大将となった方がお前をいたく気に入ったようでな。その柔軟な発想を今後も生かしてほしいと、次の軍議――騎馬騎士本部の大将が竜騎士本部に挨拶に来るから、そこに出席せよとのお達しだ」
「断った場合は?」
「皇族からの要望を蹴った場合はどうなるか、貴族であれば分かるだろ?」

 断るつもりは毛頭なかったが、まさかの騎馬騎士本部の大将は皇族の方でしたか。
 皇帝陛下の身内を置くことで暴走を防ぎ、また規律を高めると言った感じだろうか。

「皇族の方……ですか。皇族の方とは面識がなく、また会った時に挨拶が遅れるかもしれないので、新しく大将となる方の名前を教えていただきたいのですが?」

 顔を腫らしているので表情を読み取りづらいが、フィーノは「ん?」と言った感じで片眉を上げたように見えた。
 「何か間違えただろうか」と焦ったが、すぐにフィーノは合点がいったと言った様子で頷いたので問題はなさそうだ。

「皇帝陛下の第二子であるロベリオン皇子だ」
「分かりました。その軍議はいつからですか?」
「夕刻、会食を兼てのお披露目会だ」

 今宵の飯は美味しくなさそうだぜ。
 小悪魔的真っ赤な世界の住人的な制裁です。
 騎馬騎士本部の上層部の人間(おっさんズ等々)は、そっくりと新しい人たちに入れ替わりました。
 これは新しい組織に流れる血液の大体を入れ替えると言う意味と、新しく大将になる人が使いやすい組織にすると言う意味合いがあります。
 さてさて、これからどんな組織になるのか……。

12月20日 誤字修正しました。
1月14日 ラフィス→フィーノへ変更しました。
cont_access.php?citi_cont_id=84031287&si
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