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竜騎士から始める国造り 作者:いぬのふぐり

西方領域攻防編

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モノ集め

「しかし、お前は凄いなー。どこでそんな知識を拾ってきたんだ?」
「世の中には、知識が詰まった()と言う名の書物が存在しています。暇を見つけては、そればかり読んでいたので必然と知識が頭に入っているので」

 嘘だけどね! だって、時代はネットだし!
 今はリッツハークと共に製材所に足を運び、俺の指定した寸法通り切ってもらう指示を出した帰りだ。

 その指示も、折角こんな大役と言う名の面倒くさい役に指定されたので、少しくらいは実験してやろうと思い、緩衝材タイプの骨組みと転がらせて一撃を小さくする二重樽タイプと箱の下部にソリを付けたパラシュートタイプを指示した。

 ちなみに、中間業者はイスカンダル商会だ。資材の掻き集めから職人への対応まで臨機応変にお願いしてある。その代わりちょっとお金がかかるけどな!
 そして、リッツハークに褒められた、と言う話だ。

「そうですわねー。ロベール様の要望には何でもお答えしたい私ですが、さすがに作った樽を全て持って行かれるとは思っていませんでしたわ」

 魂が抜けた状態で呟いたのは、酒飲みの妖精ミシュベルだ。
 完全な蒸留装置を完成させ、その操作技術を手中に収めてからこっちワインはもとより、デンプン発酵酒などをせっせと各地から集めては蒸留し、それを焦がした樽に詰めては地下室に保管するという生活を送っていた。

 箱や骨組み(フレーム)緩衝材は一回使いっきりを考えているので、鍛冶屋に頼む釘はそこまで本気で打ってもらっていない粗悪な鍛造品だ。ただ打って投げ入れるまで折れなければ良いと言った物である。

 しかし、樽に使う板は形が弧を描いており綺麗に組む技術も必要で、何より板がばらけないようにするリングを綺麗に作る事が出来る職人も限られていたので、そこは作るよりも横からかっぱらって――借りてくるのが良いだろうと思って、皇都で個人的に()樽を一番所有しているだろうミシュベルに言ったのだ。

 ミシュベルは鼻息荒く「好きなだけ持って行っていただいて結構ですわよ!」と言ってくれたので、俺はその言葉に甘えて詰待ちと運送中の物・樽工房に置いてある作りかけの物を貰ってきた。

 もちろんイスカンダル商会を通して買ってあるので、ちょっと樽の到着が遅くなるだけでミシュベルは損をしていない。
 むしろ、少し色を付けて買っているので、酒を造る足しになるはずだ。それ以前に、本当にごめんなさい。ここまで凹むとは想定の範囲外でした。

「しかしなぁロベール。女を侍らすのは男の甲斐性として一向に構わんが、リッツハーク(こんなやつ)の前に出すと何をされるか分からんぞ」

 今回の件を任されたのは俺とリッツハークのはずだったけど、なぜかフィーノも「心配だ」と言ってついてきている。確かにあの会議室でのやり取りを見ればリッツハークの手が早いのが分かる。

 ちなみに、魂魄抜けミシュベルの隣には候補生ではない隊長クラスの竜騎士(ドラグーン)の二人が居るので恐縮しているのか、静かについて歩くアムニットも居る。

 アムニット自身は何も扱っていないが、その父親が扱っている布を提供してくれたのだ。
 アムニット父は手広く商売をやっているそうで、服用の布から幌馬車の幌まである程度の大きさの布を用意できるそうだ。

 昨日の今日でここまで行動ができたのは天運と言えば良いのか、アムニット父はたまたま皇都へは仕事で来ていたからだ。そんなアムニット父に仕事をお願いするのだからと、商売敵のイスカンダル商会とは関係ないように装って挨拶に言ったのだが、あの苦虫を何十回も噛み潰した鋭い眼光は俺の正体――偽物云々ではなく、イスカンダル商会の創設者として――を見破っているのかもしれない。

 見た目はぽっちゃりとした気の良さそうな親ばかな感じだけど、さすが商売人は仕事になると必殺仕事人になるのかもしれない。

「あぁん? 私が何をするっていうんだ? あぁ?」

 ドスッドスッ、とリッツハークはつま先で的確にフィーノのふくらはぎを蹴った。

「ちょっ、ワレ止めろや。われっ、やめっ、やめっ、やぁぁぁぁぁあ!!」

 バンブーダンスばりに足を上下させていたフィーノだが、痛みというか直ぐに力尽きて叫びながら倒れた。
 追い打ちをかけるようにリッツハークは、倒れたフィーノのケツに執拗に蹴りを入れている。
 じゃれ合っている様に見えるけど、世間様には現役の竜騎士(ドラグーン)として余り見せられた物ではないので止めようとすると、そこで声をかけられた。

「おい、ロベール」
「おぉアバスじゃん。どうした?」
「どうした……って、お前が調べてこいって言った奴を調べて来たんじゃないか」
「マジで!? 早いね!」

 騎士家出身のアバスは、その出自に似つかわしくない華美な貴族衣をまとっていた。
 俺達が居るのは職人街なので、竜騎士(ドラグーン)の鎧ならまだしも華美な貴族衣を着ていては浮きすぎる。
 落ち着いて話をするためにも、俺達は昼食もかねて貴族御用達のウルシェルツ(レストラン)へと足を運んだ。



「俺達も一緒に食事をしても良かったのか?」

 そう心配そうに言ったのは、明らかに店の雰囲気に呑まれているフィーノだった。
 確かに軍の食堂に比べれば明らかに気取った風ではあるが、お昼の客層は貴族の奥様やその子供達がメインの為、どこか砕けた感じがする。

 だからそこまで格式ばった事は無く、安心してのんびり食事をすることができる。
 そもそも、こんな昼間のウルシェルツで雰囲気に呑まれていては、夜の会合用の席に座ったらこのフィーノは挙動不審になってしまうだろう。

「まぁ、良いんじゃないでしょうか? 私たちは共に砦へ物資を放り込む仲間です。騎馬騎士本部の動向は聞いておいて損ではないと思います」
「何か分かったのか?」
「それは今から聞きます」

 クールな優男然としたリッツハークも騎馬騎士本部の腰の重さに辟易としていたらしく、アバスの持ってきた情報に強く食いついた。
 とりあえず普段であればコース料理でちまちまと一品ずつ出てくるウルシェルツだが、会合の内容によっては人払いの必要もある為、料理を一気にだす事もある。

 今回もその旨を伝えると支配人は快く受け入れてくれ、料理を部屋に一気に運びいれたあと、周囲の人払いも済ませてくれた。
 レンガ積みの部屋なので、耳を当ててもそう簡単には聞かれないだろう。

「じゃ、アバス。頼んだ」
「頼んだと言われても、別に俺は騎馬騎士本部の幹部に伝手があるわけじゃないから、それほど目新しい話は無いと思うぞ?」
「いいんだよ。そもそも、上は知らんが俺達の所まで話が降りてこないんだからな」

 騎馬騎士本部の動向によって、物資投下用の箱の製造を急がせないといけない。それに、何とかギリギリで間に合いました、と言ったヒーロー的体裁も取りにくくなる。

「なら良いんだけどな。それじゃあ、とりあえずかいつまんで話すぞ」

 そしてアバスは調べてきたことをつらつらと話し出した。
 アバス君、マジ優秀。(予定)
 騎馬騎士本部が管理している兵種は4種あり、兵→騎馬兵→騎士→騎馬騎士の順で偉くなります。(ただし、兵と騎馬兵は同じ()なので、滅茶苦茶差があるわけではありません)

10月21日 誤字修正しました。
6月30日 ラフィスをフィーノに改名しました。

次回更新は月曜日です。
 この世界での騎士とは名誉爵位で、馬に乗っている騎士も居れば徒歩の騎士も居ます。
 ユーングラントとのいざこざで貴族に成り上がった層は、このノーマル騎士でした。
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